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化学ライゲーションのための新規アジドビルディングブロック

化学選択的ライゲーション戦略は、ケミカルバイオロジーの研究にとって成功の鍵となっています。ライゲーション技術は、完全人工合成の巨大ペプチドやひいてはタンパク質にさえ到達する道を切り開きました。ライゲーション技術がペプチド環化に有効であることはすでに示されていますが、化学ライゲーションの手法がますます発展するにつれ、炭水化物合成や糖鎖生物学の研究にも利用が拡大しています。化学ライゲーションによって生体分子や生体高分子が修飾され、ハイブリッド分子を得ることができるようになります。分子プローブは生物学的標的に選択的に結合させることができますが、そのいくつかは生細胞中でさえ結合でき、生物相互作用の複雑なネットワークを可視化します。固体担体やナノ粒子への生体分子の固定化は、生体分子の機能や構造に関する直接的な研究を促進します。また、ハイスループットスクリーニングにおいてタンパク質バイオチップを利用すれば、先進的な生物医学的応用のための知見が迅速に拡大するでしょう1

数多くの化学ライゲーション研究の中でも、最新の成果の中でいくつか際立ったものがあります2。生体系中で適用するためには、常温かつ水中という作用条件が要求されます。さらに、通常は生体系中に存在しない官能基を利用するのが好ましく、このアプローチ法を表現するためにPrescherとBertozzi により「バイオ直交」または「バイオオルソゴナル(bioorthogonal)」という用語が提案されました3

これら全ての要件を満たし、その結果として最近注目されるようになってきているのがアジド類です。重要な点は、アジド基は小さく、そのため本来の機能に与える影響がごくわずかであるという点です。一群のライゲーション技術は全てStaudinger反応を基盤にしています。Staudinger反応ではアジド類がトリアリールホスフィンと反応し、窒素の脱離を同時に伴いながらイミノホスホランを形成します。(Scheme 1

Scheme 1

Scheme 1: Staudinger reaction

生成したイミノホスホランは、第一級アミンへの加水分解を防ぐために求電子剤で捕捉する必要があります。ジフェニルホスフィノテレフタラート類は、安定なライゲーション生成物に導く分子内トラップ剤に自身がなります4。活性化テレフタラート679011は、アジド基を有する生体分子に、種々の分子プローブを導入することができます(Scheme 2)。

Scheme 2

Scheme 2: Nontraceless Staudinger ligation

Raines らはこのStaudingerライゲーション手法をさらに発展させ、最終的に得られる目的分子に非天然のホスフィン部分を含有しない天然アミド結合を生成する、無痕跡型のStaudingerライゲーション(traceless Staudinger ligation)を開発しました。Scheme 3に示されるようなライゲーション部位にシステイン残基を持つというネイティブ化学ライゲーション(NCL)の制約を克服し、タンパク質や糖ペプチドの完全化学合成が可能になっています。

Scheme 3

Scheme 3: Native Chemical Ligation

活性Raines 試薬は、安定に保存可能なその前駆体670359から、反応直前に調製する必要があります。その活性試薬はチオエステル活性化フラグメントと迅速に反応し、反応中間体はアジドフラグメントと結合して最終目的分子内に試薬の痕跡が全く残りません。(Scheme 4)。

Scheme 4

Scheme 4: Traceless Staudinger ligation

アジド基を利用する以外の化学ライゲーションとしては、安定な芳香族トリアゾールを生成する、アルキンとのHuisgen1,3-双極子付加環化反応が知られています(Scheme 5

Scheme 5

Scheme 5: Huisgen 1,3-dipolar cycloaddition

銅(I)触媒反応は温和で非常に効率が良く、多くの場合に保護基や精製を必要としません。生成したトリアゾールは、天然に存在する物質のアミド部分と構造が類似しており、加水分解や酸化、または還元に対して十分に安定です。アジド-アルキン付加環化反応の応用は多くの報告があり、例えば、金属-有機構造体(MOF)の修飾5、カーボンナノチューブの官能基化6、タンパク質アセチル化のモニタリング7、活性に基づくプロテオーム・プロファイリング8、DNA合成9、三次元細胞微環境の模倣10、または抗体様タンパク質捕捉剤11が挙げられます。最近では、生物医学的ポリマーや医薬ポリマーへの適用が総説としてまとめられています12。生体内での適用については特に、金属を用いない付加環化反応が望まれています。また、この研究分野の現在の進展について焦点を当てている総説もあります13

一連のStaudinger反応とアジド-アルキン付加環化反応はいずれもアジドビルディングブロックを必要とします。アルドリッチでは、側鎖を修飾したアミノ酸アジドやN-末端アジド、アジド単糖、そしてアジドポリエチレングリコールなど、ケミカルバイオロジーに用いる最も広範囲なアジド修飾ビルディングブロックを販売しております。

化学ライゲーションについては左記のページもご参考ください。
     

References

  1. Lin, P.-C.; Weinrich, D.; Waldmann, H. Macromol. Chem. Phys. 2010, 211, 136.
  2. Hackenberger, C.P.R.; Schwarzer, D. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47,10030.
  3. (a) Prescher, J.A.; Bertozzi, C.R. Nat. Chem. Biol. 2005, 1, 13. (b) Sletten,E.M.; Bertozzi, C.R. Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 48, 6974.
  4. Köhn, M.; Breinbauer, R. Angew. Chem., Int. Ed. 2004, 43, 3106.
  5. Gadzikwa, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 13613.
  6. Palacin, T. et al. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 15394.
  7. Yang, Y.-Y.;Ascano, J.M.; Hang, H.C. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 3640.
  8. Yang, P.Y.; Liu, K.; Ngai,M.H.; Lear, M.J.; Wenk, M.R.; Yao, S.Q. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 656.
  9. El-Sagheer,A.H.; Brown, T. J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 3958.
  10. DeForest, C.A.; Polizotti, B.D.;Anseth, K.S. Nature Materials 2009, 8, 659.
  11. Agnew, H.D. et al. Angew. Chem., Int. Ed. 2009, 48, 4944.
  12. van Dijk, M.; Rijkers, D.T.S.; Liskamp, R.M.J.; van Nostrum, C.F.;Hennink, W.E. Bioconjugate Chem. 2009, 20, 2001.
  13. Becer, C.R.; Hoogenboom, R.;Schubert, U.S. Angew. Chem. Int., Ed. 2009, 48, 4900.
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