有機合成化学

Bodeのアミド化光学分割法

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

はじめに

キラリティを有するアミンやアミド類は、現代の医薬や農薬化合物に広く用いられる構造です。しかし、こうしたビルディングブロックを選択的に得る方法は、いまだ多くの課題を残しているのが現状です。特に二級アミンを合成する際には、キラルカラムを用いるクロマトグラフィーか、ジアステレオマーを作って分離する、古典的な光学分割に頼るケースが多くなります。いずれの方法を用いる場合でも、一定の検討期間と技術を必要とし、スケールや再現性などの点で問題が起きることが少なくありません。

クオラムセンシングリガンド群

Bodeらのグループでは、エナンチオ選択的アミド化を利用した、環状アミン(含窒素飽和ヘテロ環)の速度論的分割法を開発しています(スキーム1)。このプロセスでは、まず触媒となるN-ヘテロサイクリックカルベン(NHC)触媒3が、α-ヒドロキシエノン2と反応し、アシルアゾリウム種を発生します。これは助触媒となるキラルなヒドロキサム酸4と反応し、できた活性エステル種はすぐにアミン1と結合してアミドを与えます。

このアミド化の際、アミンの一方のエナンチオマーだけが優先して反応するため、反応終了後には高い光学純度のアミン5とアミド6が生成し、これらは容易に分離可能です。NHCから生成するアシルアゾリウム中間体は、アミンと直接には反応しないので、助触媒のヒドロキサム酸の存在なしにアミド化は進行しません。

アミンの速度論的光学分割

スキーム1 アミンの速度論的光学分割

特長

この光学分割法は、触媒・助触媒・α-ヒドロキシエノンを単純に混合するだけでよく、これら試薬はいずれも市販品として入手可能です。幅広い範囲の官能基を含んだ基質を利用可能であり、図1に示すような各種アミン類を光学分割できます。

含窒素ヘテロ環の光学分割により回収されたアミン

図1 含窒素ヘテロ環の光学分割により回収されたアミン

キラルなヒドロキサム酸を触媒量用いた場合でも、当量用いた場合でも、いずれも優れた選択性が達成されています。反応せずに残った光学的に純粋なアミンは、抽出操作によって簡単に分離することができます。キラルカラムを用いるクロマトグラフィー分離ではカラムスクリーニングの手間やコストがかかることがしばしばありますが、本手法は合成化学者が簡便に利用できることも特長です。シンプルな操作であるため、多数並行して実験を行うことも可能です。

一般的な実験操作

助触媒となるヒドロキサム酸4804568または804584, 7.1mg, 0.025mmol, 0.05当量)、トリアゾリウム塩3688487, 16.4mg, 0.050mmol, 0.10当量)、α-ヒドロキシエノン2804576, 81.4mg, 0.35mmol, 0.70当量)、炭酸カリウム(13.8mg, 0.1mmol, 0.20当量)及び各種のアミン(0.50mmol, 1.00当量)を酢酸イソプロピル(2.5ml, 0.20M)に溶解し、23℃で24時間撹拌した。酢酸エチル(25ml)を加え、混合液をセライトの層でろ過し、減圧下濃縮した。カラムクロマトグラフィで精製することで、高い光学的純度のアミンとアミドを分離した。

本稿の作成にご協力いただいた、Paula Nichols氏及びJeff Bode教授に感謝いたします。

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Bodeグループの試薬については左記のページもご参考ください。
     
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