有機合成化学

BRIDP: クロスカップリング反応の新規配位子

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

はじめに

過去20年間クロスカップリングは不可欠な反応のひとつであり、医薬品から高分子まで非常に広範囲な高機能分子の合成に利用されています。最初に辻-Trost反応が報告されて以来、数年間に触媒システムに関する報告が急増しました。クロスカップリング反応の典型的な触媒は、リンを基本とする配位子を用いるパラジウム錯体であり、最も有用なクロスカップリング反応は、アルケンやアレーンとハロゲン化アリールとの反応に関する、辻-Trost反応、鈴木-宮浦反応、根岸反応、Stille反応、Heck-溝呂木反応です。また、アミンと塩化アリールをカップリングパートナーとするBuchwald-Hartwig反応も重要です。この反応は、多くの生物学的に活性な化合物がこの反応を利用することにより達成されているため、特に製薬分野で関心が高くなっています。高砂香料工業株式会社は、アミンとハロゲン化アリール類のクロスカップリング反応に有用な、適用範囲が広く効率の高いリンを基本とする新規な配位子を開発しました。

利点

  • 効率的な配位子
  • アトムエコノミカル
  • 少量の触媒使用量
  • N置換ビアリールを合成可能

主な利用例

ハロゲン化アリールのアミノ化

鈴木らは様々なハロゲン化アリールの効率的なアミノ化に有用な新しい配位子を開発しました1。開発にあたり、研究チームは触媒活性に影響をおよぼすいくつかの要素に注目しましたが、その中でも、このうち電子密度と立体障害が最も重要であると考察しました。新しい配位子はジシクロヘキシルホスフィニルプロピリデンに結合する2つのフェニル基を有します。 この配位子を用いた芳香族アミノ化は、臭化アリールと第二級アミンの反応に非常に効果的であることが明らかになりました。

ビニル基を有するホスフィン配位子を用いた2007年の報告に後、鈴木らはこの配位子を改良し、第一級アミンや第二級アミンと様々な塩化アリールとのアミノ化に有用な配位子を報告しました2。この新規配位子はメチルシクロプロパン部位に2つのフェニル基とジ-(tert-ブチル)ホスフィンが結合しています。改良された配位子は、臭化アリールのアミノ化において使用量が0.2mol%と少量であり活性が向上しています。様々な第三級アミンが良好な収率で合成されました。アミンやハロゲン化アリールに電子不足の置換基がある場合や立体障害が大きい場合でも、反応の収率にほとんど影響を与えていないことが注目されます。

X Product Yield %
Br 97
Cl 80
Cl 98
Br 91
Cl 95
Cl 94
Cl 82
クロスカップリングについては左記のページもご参考ください。

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References:

  1. Suzuki, K. et al. Adv. Synth. Catal. 2007, 349, 2089.
  2. Suzuki, K. et al. Adv. Synth. Catal. 2008, 350, 652.
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