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過去数年にわたり、Buchwaldらのグループは電子豊富でかさ高い一連のホスフィン類を開発し、種々のC-C, C-N, C-O結合生成を左右する機能が大きな注目を集めています1。特に、SPhos配位子、XPhos配位子は、立体障害の大きな芳香族及び芳香族ヘテロ環ハロゲン化物の鈴木-宮浦反応全般に広く利用可能な配位子であり、XPhos(製品番号638064)の場合、Pd触媒による非活性な芳香族及び芳香族ヘテロ環塩化物とのカップリング反応に極めて有効です(Scheme 1)2。
さらに、tert-ブチルXPhosとそのテトラメチル類縁体はC-O, C-N結合生成反応の優れた配位子となることが最近報告されました。いずれも、フェノールと芳香族及び芳香族ヘテロ環ハロゲン化物とのカップリング反応で高収率を与えます3。より重要なのは、これらの配位子が、KOHを求核剤とし芳香族臭化物・塩化物からPd触媒による直接的なフェノールの合成法に用いられている点です。得られたフェノールは芳香族アルキルエーテルへとワンポットで変換されました(Scheme 2)4。
Buchwaldらは、2-アミノヘテロ環化合物のアリール化と、これまで困難であった種々の含窒素ヘテロ環化合物のN-アリール化においてもこれらの配位子の有用性を報告しています(Scheme 3)5。
数多くのC-N結合生成反応が開発されてきたものの、イミダゾール類のN-アリール化については、一般的な良い反応法がありませんでした。最近、MITのBuchwaldらは、Cu(I)と1,10-フェナントロリン配位子をスキャフォールドとする触媒を用い、穏やかで高収率を与えるイミダゾールのアリール化を見出しました(Scheme 4)6。反応は、芳香族臭化物・ヨウ化物のいずれも求電子剤として用いることができ、かさ高い置換基や種々の反応性の高い官能基に対しても適用性があります。
Buchwaldらは、CuIとβ-ジケトン配位子の共存下、芳香族ハロゲン化物と一級及び二級アミンの穏やかなUllmannタイプのカップリング反応で大きな成果をあげています(Scheme 5)7。この反応は、幅広い基質に適応性があり、カップリングする基質のどちらにヘテロ環構造があっても進行する、穏やかで適用範囲の広い反応です。また、芳香族ヨウ化物の反応の多くは室温で進行します。類似した2,2,6,6-テトラメチル-3.5-ヘプタンジオンもこの反応における効果的な配位子であることが確認されています。
最近、銅触媒を用い、アミノアルコールのN-またはO-アリール化の合成も報告されました8。ジケトン配位子はN-アリール化に適し(Scheme 6)、一方、テトラメチルフェナントロリンはO-アリール化に効果的です(Scheme 7)。n=2の場合、配位子がなくてもN-アリール化は進行しますが、n≧3のアルキル基に対しては配位子が必要です、またO-アリール化はn≧4の場合に最も選択性が高くなりました。
Buchwaldらは、Cu触媒によるC-Nカップリング/ヒドロアミド化のワンポット反応を利用した、5員環ヘテロ環化合物の優れた反応例も報告しています9。t-ブチルカルバマートもしくはビス(t-ブトキシカルボニル)ヒドラジンとハロエニンをCuI触媒とジアミン配位子の存在下で反応させることにより、対応するピロールもしくはピラゾールが高い収率で得られました(Scheme 8)。臭化アルケニル、ヨウ化アルケニルはドミノ反応を起こし、ヘテロ縮合環が容易に生成します(Figure 1)。
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