有機合成化学

かさ高いホスフィン配位子を有するカチオン性の金(I)錯体:金触媒の新規利用例

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はじめに

かさ高いホスフィン配位子は、様々な後周期遷移金属触媒による変換反応において効率的な配位子であることはよく知られています。最近、均一系金触媒の配位子としても、これら配位子の有用性が報告されています。

BrettPhosAuNTf21763233)とMe4t-BuXPhosAuNTf22763128)の2つのかさ高い構造の配位子を有する金触媒が、U.C.サンタバーバラ校Liming Zhang 教授らにより開発されました(Zhang研究室のWebサイトはこちら )。

利点

Zhangらによれば、一般によく用いられるトリアリールホスフィンや含窒素ヘテロ環カルベンなどの配位子にくらべ、BrettPhos や Me4t-BuXPhos のような極めてかさ高く電子豊富な配位子を有するカチオン性の金(I)錯体はより高効率的な触媒です。これらの配位子による金中心の周辺の立体効果により、求電子性の金属が安定化されて触媒の寿命が向上するだけでなく、副反応の抑制効果もあるために、これまでは困難であった反応が可能になっています。

主な利用例

  • Ellman型キラルスルフィンイミンから3段階で光学活性なアゼチジノンが合成されています(2011年)1。錯体(1)は、最終段階の酸化的環化反応に極めて高い選択性を発現し、99% eeの不斉収率で目的物質が得られました。

  • ジインから1,2-ジヒドロシクロペンタ[a]インデンが得られ、新規な金-ビニリデン種の関与が示唆されました2。IPrAuNTf2のような他の触媒にくらべ収率が著しく向上しています。

  • アジド基をナイトレン源とする分子内ナイトレン移動反応も報告されています3。以下の7-メトキシマイトセンの形式合成に示されるような二環性ピロールが種々の合成シントンから得られています。

  • よりかさ高い金錯体(2)を用い、アルキンの分子間金触媒酸化反応により、入手しやすいプロパルギルアリールエーテルからクロマン-3-オンが容易に得られます4

※本ページの内容については、Liming Zhang 教授にご協力いただきましたことを感謝いたします。

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金触媒については左記のページもご参考ください。
     
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