有機合成化学

ChemDose:触媒と試薬の簡便なタブレット

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

ChemDoseタブレットの外観

はじめに

ChemDose®は、試薬や触媒を錠剤として使用可能にした新しい技術です1-2。約5 mm大のタブレットは、化学的に不活性な珪酸アルミン酸マグネシウムのマトリクスに試薬と触媒を吸着させて形成されています。溶媒に加えると、試薬と触媒はただちに溶出し、残った不溶のタブレットは簡単に除去できます。Reaxa社との共同開発によるChemDoseの技術により、mmolまたはμmolスケールの試薬を迅速・精確かつ高い信頼性で秤量して反応に用いることが可能になり、時間を節約し試薬の廃棄量を低減できます。ChemDoseタブレットは、秤量しにくく空気や湿気によって失活しやすい不安定な触媒や試薬を取り扱う際に特に有用です。ChemDoseには学習曲線(learning curve)がないことも重要です、すなわち、タブレットは、単純に、所定の化学反応で従来用いる配位子、触媒、試薬の代用となります。

ChemDoseの概要

ChemDoseタブレットは、反応パラメーターの迅速な最適化が要求される液相パラレル合成や、マイクロ波合成技術に適しています。下の写真は、マイクロ波を用いた鈴木-宮浦クロスカップリング反応の最適化を行うスクリーニング実験を示しています。ChemDoseの6種の異なるパラジウム触媒で検討したところ、反応時間5分で生成物の収率を確認できました。

ChemDoseを使った反応例

各種ChemDoseタブレットからの溶出の様子

アルドリッチでは、鈴木カップリング、薗頭カップリング、アミノ化反応といったクロスカップリング反応やその他の反応に有用なパラジウム触媒と配位子、さらにペプチド結合反応用試薬をChemDoseタブレットとして提供しています。各製品は、10錠または100錠入りです。

Catalysts (Loading)* Ligands (Loading) Coupling Reagents (Loading)
Pd(OAc)2 (2 or 10 µmol) X-Phos (2 µmol) DCC (0.15 mmol)
Pd2(dba)3 (0.5 µmol) S-Phos (2 µmol) DIC (0.15 mmol)
Pd(dppf)Cl2•CH2Cl2 (2 µmol)   HATU (0.02 mmol)
Pd(PPh3)4 (2 µmol)    
Pd(PPh3)2Cl2 (1 µmol)    
PEPPSI-IPr (2 µmol)    

* All loadings given on a per tablet basis

特徴

  • 試薬と触媒の取り扱いと秤量が簡単
  • 少量の試薬を秤量する煩わしさから解放
  • 廃棄の低減
  • パラレル自動合成とマイクロ波合成に利用可能:反応の最適化を迅速に行えます
  • 反応の後処理が簡単:反応終了後に、不活性タブレットは簡単に取り除けます
  • タブレット中の試薬含量の一貫性、制御された溶出速度
  • 通常の試薬を用いた場合に近い反応速度論
  • 学習曲線はなし(初めてでも失敗しません)

主な反応例

鈴木カップリング

鈴木カップリング反応式

鈴木カップリング転換率

薗頭カップリング

薗頭カップリング反応式

薗頭カップリング転換率

アミド結合形成

アミド結合反応式

Chromatograms after 1 hour

アミド結合形成転換率

ChemDose FAQ:よくあるご質問

  1. ChemDoseタブレットは何からできていますか?大きさは?

    化学的に不活性な珪酸アルミン酸マグネシウムのマトリクスに試薬と触媒を吸着させています。タブレットの大きさは、直径約5 mmです。

  2. ChemDoseの各ロットの正確な試薬含量を知りたいのですが?

    試験成績書(Certificate of analysis, CoA)に各ロットの成分含量を試験方法と共に記載しています。CoAはWebで公開しています。

  3. 使用後のChemDoseタブレットは、どのように廃棄しますか?

    反応混合物の付着した固体廃棄物として廃棄してください。マトリクスそのものは無害で環境に低負荷です。

  4. ChemDoseタブレットはどのように保管しますか?

    ほとんどの触媒・試薬と同様、一般的な注意として、活性を維持するために不活性雰囲気下、冷蔵庫で保管するのが最適な保管法です。Pd(dppf)Cl2·H2Cl2など、触媒によっては安定性が高く空気中で問題なく取り扱えるものもあります。ChemDose各製品のラベルに記載された取り扱いの注意に従ってください。

  5. どんな溶媒にも使えますか?

    はい。また、水溶液中でも使用できます。

  6. 反応中にタブレットが崩れてしまうことはありますか?

    通常はそのままの形状で回収されますが、水溶液での反応では多少崩れやすくなります。その場合には、ろ過により反応混合物から除去できます。マトリクスの珪酸アルミン酸マグネシウムの粒径は60~120 μmですが、ほとんどの場合、ここまで細かくなることはありません。

  7. pHに対する安定性は?

    ChemDoseは弱塩基性で、無機酸で溶解します。

  8. マイクロ波合成や加圧容器でも使用できますか?

    もちろんできます。マイクロ波合成を含むクロスカップリング反応のその他の例は、下の技術資料をご覧ください。

技術資料(PDF):

  1. ChemDose Presentation (2.8 MB PDF)
  2. ChemDose Technical Flyer (563 KB PDF)

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References:

  1. Ruhland, T. et. al. J. Comb. Chem., 2007, 9, 301.
  2. ChemDose® is a registered trademark of Reaxa Ltd. and is covered by international patent application no. PCT/DK05/000428 and related patent applications, including European patent application no. 05753717.7.
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