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パラジウムなどの遷移金属触媒を用いるクロスカップリング反応は、医農薬、電子材料、高分子など様々な分野の有機合成化学における最も重要な炭素-炭素結合形成反応のひとつです。一般に実施されている均一系触媒プロセスは、様々な高効率的触媒システムが開発され非常に強力な手法である一方で、触媒の遷移金属が高価であること、反応後の生成物との分離が困難または精製にコストがかかることなどから、もし再利用可能な不均一系触媒が開発されれば、特にプロセス化学において大きなメリットとなります。現在、不均一系Pd触媒としては高分子担持型触媒が市販されていますが、熱や溶媒に耐性がないという課題を抱えています。
Figure 1. 半導体基板触媒の作製法1
この基板触媒の性能を代表的なクロスカップリング反応であるHeck反応、鈴木-宮浦反応、薗頭反応で評価した結果、高分子担持型Pd触媒よりも耐熱性が高い、繰り返し利用が可能である、特にマイクロ波合成に適し、高い触媒活性を示す、などの利点が見出されました。また、酸化・還元反応にも適用でき、従来法とは異なる生成物がより温和な反応条件下で得られるなどのユニークな性質が確認されています。
Scheme 1. Heck反応への適用
GaN-S-Pd触媒の特長
クロスカップリング反応での触媒の再利用Heck反応において高分子担持型Pd触媒とGaN-S-Pd触媒をそれぞれ3回ずつ繰り返し使用して比較した初期実験では、基板触媒の方が高分子担持型よりも再利用性に優れていることが示され、その後の最適化により、同じHeck反応では6回まで繰り返し使用してもほぼ定量的に生成物が得られるという結果を得ています。活性が低下した後も、酢酸パラジウムで処理してPdを再定着することにより、再び利用可能です。
Figure 2. 鈴木-宮浦反応での繰り返し使用
酸化反応・還元反応GaN-S-Pd触媒は、酸化反応や還元反応にも適用可能です。第2級アルコールはケトンへ、ベンジルアルコールはアルデヒドを経てカルボン酸へとそれぞれ定量的に酸化されます(Table 1)。
Table 1. 酸化反応への適用
還元反応では、Pd/Cを用いるよりも温和な条件で異なる生成物が得られるほか、ニトロ基の還元では少なくとも10回再利用可能であることが確認されています。また、フェニルアセチレンを基質とした場合、Lindlar触媒では定量的にエチルベンゼンに還元されるのに対し、GaN-S-Pd触媒ではスチレンが93 %の収率で得られます(Table 2)。
Table 2. 還元反応での適用
現在、GaN-S-Pd触媒反応の反応条件の最適化、適用反応のさらなる拡大を目指して研究が継続しています。 参考文献 1) N. Nishiwaki, M. Shimoda, T. Konishi, S. Tsukamoto, Applied Physics Express 2 (2009) 051002. 特許 : 塚本史郎、西脇永敏、小西智也、小池晴夫、杉岡智教、奥山彰 「固定型遷移金属触媒及びその製造方法並びにその使用方法」 特願2009-1641. ・ なお、この研究開発は、科学技術振興機構(JST)地域イノベーション創出総合支援事業 重点地域研究開発推進プログラム「育成研究」
本触媒に関してご興味をお持ちの方には、より詳細な資料をご用意しています。
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