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有機合成化学

コバルト及びシランを用いるシンプルなオレフィンの異性化

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

Jacobsen触媒

N,N’-ビスサリチリデンエチレンジアミン配位子(略称 salen)は、優れた平面四座配位子として働き、ほとんど全ての遷移金属元素と錯体を形成します。また、不斉要素を導入することも容易で、salen配位子を用いた多くの優れた不斉触媒反応が知られています。E.Jacobsenによる、コバルトを用いた不斉エポキシド開環反応、マンガンを用いた不斉エポキシ化反応は中でも有名で、このため下図に示す錯体は「Jacobsen触媒」の名で呼ばれます。

Jacobsen触媒の構造式

最近、ShenviらはこのJacobsen触媒(Co(salen, t-Bu, t-Bu)Cl、804010)の新たな用途を報告しました。可逆的な水素原子の移動により、末端オレフィンを内部オレフィンへと変換するという反応です。このコバルトをベースとしたプレ触媒と、触媒量の有機シランを組み合わせることで、オレフィンの異性化反応が高収率で進行します。

末端オレフィンは二置換オレフィンへ、1,1-二置換オレフィンは三置換オレフィンへと異性化が進行します。1-デセンのように長い炭素鎖を持つ化合物では、オレフィンの移動は一段階でほぼ停止して2-デセンとなり、3-デセンや4-デセンはほとんど生成しません。また、α,β-不飽和エステルのような電子不足のオレフィンでも、十分な収率で反応が進行します。

Substrate

Product

Yield

E/Z

83% 3:1
69% 10:1
92% 3:1

これまでにもこの種の反応は知られていましたが、強塩基を必要とするなど、広い範囲の基質に適用できるものではありませんでした。また、パラジウムを触媒とする反応では、アミン類などルイス塩基性部位を持つ基質は、触媒に配位してしまうため使用できませんでした。しかしコバルトsalen錯体を用いるこの反応では、温和な条件で反応が進行し、三級アミンやイミダゾールなどルイス塩基性部位を持った基質にも適用可能です。

反応はラジカル的に進行すると考えられています。すなわち、コバルト-salen錯体と有機シランから生じる(salen)Co-Hが真の活性種となり、オレフィンへの水素ラジカルの付加・脱離をくり返しつつ、最も安定な内部オレフィンに落ち着いていくと考えられます(Scheme1)。

反応はラジカル機構であるため、ビニルシクロブタン型構造を持つ基質では、4員環の開裂反応が起きます(Scheme2)。また、分子内の適切な位置にオレフィンまたは芳香環がある基質では、環化反応が進行します(Scheme3,4)。

代表的な反応例

触媒前駆体であるCo(salen, t-Bu, t-Bu)Cl は結晶性で、空気や湿気に対して安定であるので、グローブボックスなどを必要とせず、通常の実験台で取り扱えます。Shenvi研究室(スクリプス研究所)の協力のもと、アルドリッチではこの試薬をお求めやすい価格で提供します。

本触媒の特長

  • 多くの官能基が許容
  • ジアステレオ選択的な異性化反応
  • シランによるオレフィンの還元を防ぐ
  • グローブボックス不要
  • 高収率、高付加価値、低コストな反応を実現(Scheme2参照)

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