有機合成化学

C(sp3)-H 活性化補助剤(Yu-Wasa Auxiliary)

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

はじめに

C-H活性化は、リード化合物への様々な官能基導入において有用です。一般的に、金属触媒の反応性は様々な配位子によって調整されます。これまで、C(sp2)-H結合の活性化については、多くの配位子―金属の組合せが開発されてきた一方、メチレンより立体障害の大きなC(sp3)-Hの活性化手法はほとんど報告されていませんでした。C(sp3)-H活性化の例としては、パラジウム触媒へ強く配位するホスフィンやピリジン補助剤を用いる方法がありますが、この場合、C-H結合へのパラジウムの挿入効率が低下してしまいます。

近年、Jin-Quan Yuらにより開発されたYu-Wasa補助剤(791806)は弱い配位の-アリールアミド補助剤で、環状および非環状β-メチレンC(sp3)-H結合の活性化が改善されます。

利点

Yu-Wasa補助剤はPd 触媒に弱く配位し、配位子コントロールが可能となります。そのため、基質-触媒の錯体の配座が最適化され、C(sp3)-H結合へ金属が効果的に挿入されます。この補助剤はPd(II)/Pd(0)やPd(II)/Pd(IV)、Pd(0)/Pd(II)など、異なる触媒サイクルの関与する広範囲な転換反応に利用可能で、高い汎用性を有しています。Yu研究室では、低分子や生物活性ペプチドの有用なビルディングブロックである非天然アミノ酸の合成に適用し、入手が容易で安価な出発物質であるアラニンから、アリール化、オレフィン化、アルキル化、アルキニル化などにより多種多様な非天然アミノ酸合成を達成しています。

主な利用例

Yu-Wasa補助剤は非天然アミノ酸合成に限らず、他のカルボン酸の多様な誘導体合成にも有用であることが明らかになっています。

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C-H活性化については左記のページもご参考ください。

References

  1. Wasa, M; Chan, K.S.L; Zhang, X.-G.; He, J.; Miura, M.; Yu, J.-Q. "Ligand-Enabled Methylene C(sp3)-H Bond Activation with a Pd(II) Catalyst." J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 18570-18572.
  2. He, J.; Li, S.; Deng,Y.; Fu, H. Laforteza, B.N.; Spangler, J.E.; Homs, A.; Yu, J.-Q. "Ligand-Controlled C(sp3)-H Arylation and Olefination in Synthesis of Unnatural Chiral α–Amino Acids." Science 2014, 343, 1216-1220.
  3. Zhu, R.-Y.; He, J.; Wang, X.-C., Yu, J.-Q. "Ligand-Promoted Alkylation of C(sp3)–H and C(sp2)–H Bonds." J. Am. Chem. Soc. 2014, DOI: 10.1021/ja508165a.
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