研究分野別リスト

オートファジー

オートファジーは、タンパク質、細胞小器官などの細胞内成分を標的とした分解プロセスです。細胞内成分を分解する方法にはユビキチン・プロテアソーム系もありますが、ユビキチン・プロテアソーム系は比較的短命タンパク質の分解で使われます。
オートファジーでは、標的分解物がオートファゴソームと呼ばれる小胞に包み込まれることから始まります。オートファゴソームはリソソームと融合し、リソソーム内で標的分解物とともに分解されます。このプロセスは進化的に保存されており、飢餓状態中の生存、細胞内成分の新陳代謝、発生、免疫など、細胞のさまざまな機能に必要であることがわかっています。

哺乳類のオートファジーは、ULK1、Atg13、FIP200 から構成されるタンパク質複合体によって引き起こされます。このULK1 複合体は、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体1(mTORC1)のリン酸化によって抑制されます。飢餓やラパマイシンなどによってmTORC1 が不活性化するとULK1 複合体が活性化し、続いて隔離膜の伸長が起こります。
隔離膜の伸長の開始は、hVps34、hVps15、Beclin-1、Atg14L からなるクラスIII 型ホスファチジルイノシトール3- キナーゼ(PI3K)複合体の作用に依存します。隔離膜は標的分解物の周囲に伸長して標的を封入し、オートファゴソームを形成します。このプロセスはAtg12、Atg5、Atg16L からなる複合体、およびLC3 を必要とします。LC3 はC 末端22 アミノ酸が切断され、フォスファチジルエタノールアミンと結合してLC3-IIとなります。LC3-II の量はオートファゴソーム形成と正の相関を示すため、オートファジーの定量化のためによく利用されます。
オートファゴソームがリソソームと融合すると、リソソーム内に存在するカテプシン、リパーゼ、糖分解酵素などによって分解されます。分解によって生じたアミノ酸、脂質、炭水化物などはパーミアーゼによって細胞質プールに戻され、代謝プロセスに利用されます。

オートファジーは、損傷した細胞小器官や不要な細胞成分を除去することで細胞内環境を整えますが、オートファジー活性は老化にともなって低下し、認知症や神経変性疾患などに関連すると考えられています。オートファジーの欠損や活性低下は、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病など、多くの疾病に関連します。
がん発生においても、オートファジーが複数の役割を果たすと考えられています。例えば、Beclin-1 やBif-1 といったオートファジー関連タンパク質の欠損マウスや発現低下マウスではがん感受性が増加し、逆にこれらのタンパク質を過剰発現させたマウスではがん増殖の抑制が示されています。しかしオートファジーは、固形腫瘍内の低栄養環境・低酸素環境下にあるがん細胞の生存には必須であり、複雑に機能していると考えられています。

オートファジー研究 製品一覧(リンク先で関連製品リストをご覧いただけます)

オートファジー誘導、阻害、マーカー、抗体

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オートファジー研究者インタビュー

『選択的オートファジーのメカニズムと生理学的意義を解明する』
東京工業大学 生命理工学院
中戸川 仁 准教授

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『オートファゴソーム膜の起源を探る』
大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞内膜動態研究室
濱﨑 万穂 准教授

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