造血幹細胞・免疫システム研究

造血幹細胞の分化

現在考えられている造血幹細胞(HSC)の分化系譜を図に示しました。HSC は自己増殖すると同時に、自己増殖能を失った多能性造血前駆細胞を産出します。多能性造血前駆細胞はリンパ球性共通前駆細胞(CLP)と骨髄球性共通前駆細胞(CMP)に分化し、それらが各種血中細胞に分化します。
HSC は、骨髄中の血中細胞のうち約10 万個に1個の割合でしか存在しませんが、全ての血中細胞に分化できる能力を有しています。例えば、放射線を照射して造血不全となったマウスに、たった1 個のHSC を移植することで、造血機能が回復することが示されています。このような知見をもとに臨床応用されているのがHSC 移植または骨髄移植です。HSC を単離するには、細胞膜の抗原に対するモノクローナル抗体を用いたフローサイトメトリーを使用が使用されています。
HSC が分化能と自己増殖能を維持するためには、ニッチ(niche)と呼ばれる微小環境が必須です。ニッチに存在する間質細胞表面には幹細胞因子(SCF)が発現し、SCF との結合を介してHSC の分化能と自己増殖能が制御されていると考えられています。ただし、ニッチを構成する細胞群がどのようなものか、あるいはHSC とニッチとの相互作用については不明な点も多いです。かつては骨芽細胞がニッチであると考えられていますが、最近ではサイトカイン CXCL12 を高発現する細網細胞(CAR 細胞)がニッチではないかとする考えが広まっています。
なお、HSC は他の細胞に比べて分裂能が低いという特徴があります。これは、細胞分裂時におけるDNA 複製エラーを最小限に抑えることで、がん化するのを防ぐ意味があると考えられています。

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造血・免疫システム 研究者インタビュー

『樹状細胞の分化制御メカニズムを探る』
東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生体防御学分野
小内 伸幸 講師

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『造血幹細胞の性質を維持する微小環境(ニッチ)を探る』
大阪大学大学院 生命機能研究科 幹細胞・免疫発生研究室
尾松 芳樹 助教

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