細胞生物学

生細胞染色キット(PKH & CellVue)

PKH、CellVue® は、長期間のトレース実験が可能な低毒性生細胞蛍光ラベル用キットです。PKH2,67はfluoresceinに似た緑(励起490nm、発光 504nm)、PKH26はローダミン、フィコエリスリンに類似した赤(励起551nm、発光567nm)の蛍光を呈します。PKH26はアルゴンレーザーで、488nmでも励起します。この生細胞用蛍光ラベリングシステムに新しく加わったCellVue® Claretは、生体系のpHレンジに依存せず、赤外ダイオードレーザに匹敵する赤外蛍光色素です(励起波長655nm、蛍光波長675nm)。細胞とのリンカー部位は生理的に安定しており、細胞システムへの毒性は見られません。ラベルされた細胞は、通常通りの生体反応、増殖を示し、長期トラッキングや細胞間インタラクション観察にお使いいただけます。

Distributed for Phanos Technologies, Inc. U.S. Patent No. 5,665,328, used under license. CellVue is a registered trademark of PTI Research, Inc.

CellVue® Claret

  • 生体系のpHレンジで検出可能な赤外蛍光色素です(励起波長655nm、蛍光波長675nm)。
  • 他の抗体、蛍光タンパク質(GFPなど)とのカウンター染色に適しています。
  • PKH蛍光色素やCFSEとの多重染色に適しています。
  • 蛍光退色のリスクが軽減できます。
  • 細胞遊走、転移や、分裂モニタリングなとの用途に適しています。
対数増殖期のU937細胞

対数増殖期のU937細胞
赤:CellVueClaret、青:プロロングゴールド退色防止剤使用DAPI。細胞膜だけでなく細胞内部の染色も見られるが、CFSE(非表示)と比較すると、赤と青の染色は混ざっておらず、核膜への色素侵入は見られない。

Figure 1

CellVue Claret Excitation and Emission Spectra
(1 μM CellVue Claret in ethanol)
Wavelength (nm)

  • excitation maximum wavelength - 655 nm
  • emission maximum wavelength - 675 nm

 

製品名 製品番号 CellVue Claret Dye Diluent C
CellVue® Claret Far Red Fluorescent Cell Linker Kit MINCLARET 1 × 0.1 mL 1 × 10 mL
CellVue® Claret Far Red Fluorescent Cell Linker Kit MIDCLARET 2 × 0.1 mL 6 × 10 mL

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PKH Linker Kit

  1. 標識原理
  2. PKH特徴
  3. 幅広い用途
  4. 実績

    細胞別・アプリケーション別・論文集

  5. 製品リスト

PKH Linker Kits は、従来法がもつ欠点を一掃した、鮮明、均一、安定、かつ再現性の高い「ベストな生細胞標識法KIT」です。特許取得済み*の革新技術・蛍光細胞リンカー法を使用し、レポーター分子を細胞膜に結合させ標識。細胞毒性を最小限に抑え、蛍光は最長100日間継続します。多様な細胞に適用でき、細胞からの色素漏出、細胞間の色素移行がありません。(PKH特性、比較表を参照)

* U.S. Patent Numbers: 4,783,401; 4,762,701; 4,859,584. Distributed for Phanos Technologies.

 
GFPとPKHの多重染色

GFPとPKHの多重染色
膜表面と鞭毛貯胞(PKH26赤)、エンドソームに発現したGFP(緑)が観察される。

(Dr. E.Ghedin, Laboratory of Parasitic Diseases, National Institute of Health, Bethesda, Maryland)

安定した標識PKH緑・赤、T24細胞の共培養
化学感受性、耐性(PKH26、67、赤、緑)で標識したT24細胞を共培養し、Hoechst33342(青)で対比染色。安定な為、抗ガン剤が、遊走や細胞周期の変化が観察可能。

(Cecile Rousselle and Dr. Xavier Ronot, Universite Joseph Fourier, Grenoble, France)

1. 標識原理

革新的なPKH標識原理

PKHは、強い蛍光発色部位と結合した脂質親和性の長い尾部を持っています。短時間(1~5分)の標識処理で、この尾部が細胞膜に侵入し、蛍光発色部位を細胞の外表面に露出させ留まります。その為、蛍光が鮮明で、また非特異的な標識が可能です。そして多くの種類の細胞に適用できます。

Figure2

 PKH色素で標識された細胞のモデル図

2. PKHの特徴

 

安定性・無毒性

蛍光色素分子が細胞膜に安定するので、長時間のモニタリングが可能です。細胞毒性がなく、増殖、生理活性の細胞機能はPKHによる影響を受けません。

 

鮮明、再現性の高い膜標識

標準プロトコールを最適化し、効率の良い標識ができます。蛍光輝度は、バックグランドと比較して1,000倍以上、この高いS/N比により、各娘細胞の輝度が親細胞の半分に測定でき、増殖細胞指標として使用できます。10世代まで測定可能です。

各種の生細胞用染色色素の比較(PDF:206KB)

PKH26標識ヒトPBLの第0日における非増殖コントロール親細胞群の簡易ヒストグラム

PKH26標識ヒトPBLの第0日における 非増殖コントロール親細胞群の簡易ヒストグラム

 

豊富な製品群(2蛍光、5種類の製品)

  • 【PKH2GL、PKH67GL】

    緑蛍光(励起波長490nm、蛍光波長504nm)、FITCの波長に近く、その検出システムで使用可能。PKH67はPKH2より尾部の脂肪族炭素が長く、その為、細胞間の色素移行が少なく、半減期が長い特性をもつ。長期トラッキング用、自家蛍光を抑えたい植物細胞で使用可能です。

  • 【PKH26GL】

    赤蛍光(励起波長551nm、蛍光波長567nm)ローダミンの波長と近く、その検出システムが使用可能。半減期が100日以上と長期で、In vivoでの長期トラッキング、増殖研究に使用できます。またGFPとの多重染色に使用できます。

  • 【PKH2PCL、PKH26PCL】

    貧食細胞を選択的に標識します。希釈剤により色素は微小塊を形成し、その粒子により貧食細胞内での局在を観察できます。

  • 【一般的な蛍光検出装置使用可能】

    蛍光顕微鏡、コンフォーカルレーザー顕微鏡(488nm、543nm)、フローサイトメトリーで検出できます。

PKH26の波長

PKH26の波長表

PKH2、PKH67の波長

PKH2、PKH67の波長表
 

迅速で簡便な操作、最適化条件プロトコール付属

キット内容は、PKH Cell Linker色素、希釈剤、検証し最適化されたプロトコールを含みます。多くのモデル系における最適条件が検討済みです。染色は、細胞懸濁液と色素液を混濁し5分間インキュベートする簡単な操作です。また、標識反応は色素と細胞の濃度に依存し、調整が必要となります。細胞回収率の最適条件データを付属しています。

PKHキットによる標識プロトコール

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3. 幅広い適応性・用途

 

幅広い用途

 
【貪食作用】

PKH2PCL、26PCLキットでは、貧食細胞を選択的に標識できます。希釈剤PCLDILにより色素は微小擬集塊を形成します。それは非食細胞に取り込まれず、貧食細胞に取り込まれます。そして食作用部分に局在化し、蛍光は点状で検出できます。

マクロファージの貧食アッセイ

マクロファージの貧食アッセイ。マクロファージ(FITC緑)、悪性リンパ球(PKH26赤)、二重特異性抗体を37℃でインキュベート後、30、60、360分後に共焦点顕微鏡にてデータを取得。標的細胞への結合、貪色、分解のプロセスを観察。

Ely, P., Wallace, P.K., Givan, A., et al., "Bispecific-armed interferon-gamma primed macrophage mediated phagocytosis of malignant non-Hodgkins lymphome",Blood, 87, 3813, (1996).

 
【タイムコース】

PKHの色素は細胞膜表面に留まる為、色素の細胞間移行と漏出、細胞機能の影響がありません。細胞機能の長期モニタリングに最適です。移植細胞のin vivoトラッキングにもご利用いただけます。

L292細胞のインターナリゼーション動態

L292細胞のインターナリゼーション動態。L292細胞をPKH67で標識し、共焦点顕微鏡を使用し3-5分間隔、40分間のタイムコースで観察。右上より0分。

(Cecile Rousselle and Dr. Xavier Ronot, Universite Joseph Fourier, Grenoble, France)

 
【フローサイトメトリーに最適】

フローサイトメトリーにて、非均一細胞集団内の細胞小集団の細胞増殖を測定できます。PKHで標識された細胞は、0時間で特有の蛍光強度を示し、細胞分裂ごとに1/2減少します。各娘細胞中の色素は母細胞の半分になります。

  • 細胞分裂・第10世代まで、各娘世代の相対比、非増殖細胞の分画、増殖指標を測定可能。
  • 免疫的表現型測定を用いて全細胞集団内の特定のサブセット測定できます。
  • CD69 アップレギュレーションのような多段階の活性化における各段階のエンドポイントを測定できます。
  • リファレンスマイクロビーズによりパラメーターの標準化と細胞数の正規化できます。
  • あらゆる種類の細胞を標識でき、カイネティック解析が迅速に行えます。
 

2.5μg/mL PHA 存在下で6日間培養し活性化された PKH26

2.5μg/mL PHA 存在下で6日間培養し活性化された PKH26

標識ヒトPBL中CD4+/CD45RO+サブセットの簡易ヒストグラム。挿入図は散乱光およびイムノフェノタイプを示しています。

 

多種の細胞に利用可能

造血幹細胞

造血幹細胞

PKH26 で標識したマウス造血幹細胞。細胞膜がループを形成しているのが観察される。

(Dr. K. Francis, University of California at San Diego)

遊走性ニューロン

遊走性ニューロン

PKH26で標識した初期遊走性ニューロン。皮質に侵入しているのが観察される。

(H. Wichterle andDr.A. Alvarez-Buyalla, The Rockefeller University)

住血胞子虫の接合子

住血胞子虫の接合子

PKH26標識したプラスモディウム・ガリナセウムのオーキネート。Aedes aegypti の腸管表面に結合しているのが観察される。

(Dr. M. Shahabuddin,National Institutes of Health, Bethesda, Marylan)

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4. PKH使用実績

 

細胞種類別実績

分類 細胞名
造血細胞 CD34陽性幹細胞、CFU-s、骨髄移植促進細胞、長期培養開始細胞、原始前躯細胞、ストローマ細胞、血液細胞、赤血球 好中球、血小板
免疫細胞 リンパ球、単球、マクロファージ、胸腺細胞、脾細胞、臍帯血T細胞、細胞障害性T細胞、自己免疫性T細胞、NK細胞、ランゲルハンス細胞、樹状細胞
その他1次細胞 ニワトリ胚細胞、胚細胞、繊維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、幼若白血球、マスト細胞、間葉細胞、筋芽細胞、ニューロン前躯細胞、平滑筋細胞
培養細胞 ハイブリドーマ、T細胞及びクローン、腫瘍細胞(K562,HL60)
細菌、ウィルス、寄生虫 Bacillus subtilis, Haemophilus somnus, Leishmania donovani, Listeria monocytogenes, Plasmodium galinaceum, Salmonella typhimurium, Schistosoma mansonii, HIV, Trichinella spiralis, Vibrio cholerae
哺乳類以外 Dictyostelium discoideum, イモリの水晶体再生細胞、ウシガエルの赤血球、ゼブラフィッシュ胚
粒子 赤血球ゴースト、フルオロカーボンエマルジョン、リポゾーム

使用実績(細胞種類別)の文献情報はこちらをご覧ください(英文PDF:153KB)

 

細胞機能別実績

In Vitro In Vivo
アポトーシス 遊走
分化 ホーミング
薬剤感受性/耐性 移植
細胞間伝達 免疫再構築
抗原由来増殖能 増殖
複合体形成、接着、融合 成長抑制
細胞毒性 分化
バイスタンダード効果 胚形成
抗腫瘍性免疫 接着
ワクチン接種が抗原特異的前躯体頻度に
及ぼす影響
血流
抗腫瘍性免疫
ファゴサイトーシス(貧食作用) 抗原提示

使用実績(細胞機能別)の文献情報はこちらをご覧ください(英文PDF:199KB)

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5. PKH製品リスト

 
PKH26 Red Fluorescent Cell Linker Kit
製品番号 詳細 半減期 キット内容
PKH26GL 一般細胞膜用
赤蛍光
励起551 nm
蛍光567 nm
100日以上 Diluent C 6×10 mL
PKH26 Cell Linker in ethanol 0.5 mL
MINI26 一般細胞膜用
赤蛍光
励起551 nm
蛍光567 nm
100日以上 Diluent C 1×10 mL
PKH26 Cell Linker in ethanol 0.1 mL
PKH26PCL 貧食細胞用
赤蛍光
励起551nm
蛍光567nm
in vivo
21日以上安定
Diluent B 6×10 mL
PKH26 Cell Linker in ethanol 0.5 mL
 
PKH2 Green Fluorescent Cell Linker Kit
製品番号 詳細 半減期 キット内容
PKH2GL 一般細胞膜用
緑蛍光
励起490 nm
蛍光504 nm
10-11日 Diluent A 6×10 mL
PKH2 Cell Linker in ethanol 0.5 mL
PKH2PCL 貧食細胞用
緑蛍光
励起490nm
蛍光504nm
in vivo
21日以上安定
Diluent B 6×10 mL
PKH2 Cell Linker in ethanol 0.5 mL
 
PKH67 Green Fluorescent Cell Linker Kit
製品番号 詳細 半減期 キット内容
PKH67GL 一般細胞膜用
緑蛍光
励起490 nm
蛍光504 nm
in vivo
10-12日
Diluent C 6×10 mL
PKH67 Cell Linker in ethanol 0.5 mL
MIDI67 一般細胞膜用
緑蛍光
励起490 nm
蛍光504 nm
in vivo
10-12日
Diluent C 6×10 mL
PKH67 Cell Linker in ethanol 2 ×0.1 mL
MINI67 一般細胞膜用
緑蛍光
励起490 nm
蛍光504 nm
in vivo
10-12日
Diluent C 1×10 mL
PKH67 Cell Linker in ethanol 0.1 mL
 
希釈剤
製品番号 希釈剤 詳細 キット内容
GLDIL Diluent A PKH2
一般細胞膜用
Diluent A 6×10 mL
PCLDIL Diluent B PKH2、26
貪食細胞用
Diluent B 6×10 mL
CGLDIL Diluent C PKH26, 67
一般細胞膜用
Diluent C 1×10 mL
 
リファレンスマイクロビーズ PKH26用
製品番号 詳細 内容
P7458 PKH26で標識した白血球と同等の
性質、強度の散乱光を示すマイクロビーズ
100 mL

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