細胞培養

Cell-in-a-Box®

 

イントロダクション

Cell-in-a-BoxはAustrianova社によるテクノロジーで、細胞を保護的で半透過性のあるセルロースベースのカプセル(直径約2mmのビーズ状)に入れることができます。ビーズ表面の微小な孔によって栄養素や廃棄物が透過する一方、細胞はビーズ内に維持されます。ビーズは耐久性があり、導入した宿主で免疫応答を引き起こさず、移植先で6ヵ月まで保つことができます。これらの特性により伝統的な2Dの細胞培養より長期間の細胞成長がもたらされます。このテクノロジーは画期的な研究およびクリニカルアプリケーションにおいて、すでに40以上の査読済み論文に報告されています。

さらに研究者の皆様へ本テクノロジーを広めるため、Austrianova社とCell-in-a-Box Kit(製品番号:CIB001)を共同開発致しました。このキットによってご自身が研究されている細胞を容易に素早くカプセル化することができ、さらなる研究に結びつきます。下記のように容易なステップでカプセル化を行えます。

Cell-in-a-Box 製品情報
製品番号: CIB001-1KT

1回で約120カプセル作成
1カプセルに4,000~40,000 細胞を封入
使用回数:5 回分

<キットの内容>
Solution 1 (5mL)
10x Solution 2 (50mL)
ルアーロック型シリンジ 5本
G34 ニードル 5本
G18½ ニードル 5本

手順 (詳細は製品のBulletin をご覧下さい)
すべて滅菌状態で行います。

  1. スターラー一式と250mL ビーカーを用意
  2. ビーカーに90mLの水を入れてから「Solution2」を10mL添加し、10分間かくはん
  3. 細胞懸濁液を用意(通常の方法)
  4. 細胞をPBSで2回洗浄し、2x106細胞を1.5mLチューブに入れ、5分間遠心して上清を捨てる
  5. 細胞ペレットに「Solution 1」を1mL 添加し、均一になるようピペッティング
  6. G18½ ニードルをシリンジに着け、細胞液を取る
  7. ニードルを外しG34ニードルに替えて、最初の数滴を捨てる
  8. タイマーをセット。かくはんしている「Solution 2」を入れたビーカーの2~3cm上から垂直に細胞液を滴下(滴下する場所をずらして繰り返す)
  9. 1分以内に滴下を終了
  10. 最後の滴下から5分間かくはん
  11. スターラーを止め、ピペットでカプセルを取り出し100mLのPBSが入ったビーカーに移す
  12. 10分間かくはんしてリンス
  13. PBSを入れ替えて同様に5分間リンス
  14. PBSを捨てる(カプセルにかぶるくらい残す)
  15. 30mLのPBSで3回リンスし、ピペットで最後のPBSを除いて30mLの培地で3回リンス
  16. 25mLピペットでカプセルを回収し、培地を入れたプレートやフラスコに移す
  17. CO2インキュベーターで培養し、通常のサイクルで培地を交換(週に2~3 回)

カプセル化された結果は次のように見られます。

: 空のカプセル
: 細胞をカプセル化した内部
: カプセル化後、数日または数週間培養 (細胞の成長速度によって異なります)

 

証明されたアプリケーション

40を越える査読済みの論文でCell-in-a-Boxのテクノロジーについて癌や糖尿病や創薬の分野で素晴らしい報告が示されています1-7。一例として局在化された癌性腫瘍では局所的治療に望ましいことが挙げられます。膵臓がんの局所的治療作用において、Cell-in-a-Boxによるカプセル化細胞は超選択的カテーテル法を用いて腫瘍につながる血管に置かれました1。これらの細胞は化学療法的なプロドラッグから腫瘍毒性フォームに局所的に転換されます。この治療によって1年生存率が11%から36%に改善されました。この局所的治療研究は引き続き行われ、膵臓がんの治療に顕著な改善をもたらすことが期待されています。糖尿病研究においてランゲルハンス島細胞を糖尿病宿主に移植する試みがなされていますが、移植片対宿主の反応抑制が課題になっています。 Cell-in-a-Boxによるカプセル化細胞は移植片対宿主反応から保護され、多数の実験により本テクノロジーの効果が証明されています。カプセル化されたランゲルハンス島細胞はその環境下でグルコースレベルの変化の応答およびインスリン放出が示されました2。続けて行われた実験で、ブタから移植されたランゲルハンス島細胞はラットにおいて6ヵ月以上にわたり血中グルコースレベルの制御が示されました3

 

可能性のあるアプリケーション

Cell-in-a-Boxキットはお手持ちの細胞をセルロースベースのビーズにカプセル化するために用いられ、細胞に優れた成長と保護された環境をもたらします。この特性によって、Cell-in-a-Boxキットによる研究用途の幅が広がり、in vitroとin vivoの両方において宿主環境と細胞がどのように関連するかを分析するなどユニークな機会が生まれます。本キットを用いたin vitroアプリケーションの例はバイオリアクターにおける使用です。バイオリアクター内でカプセル化された細胞は物理的なダメージから守られ、長期間にわたり抗体やタンパク質を発現することができ、生産性が向上します。以下の特性によってその他のアプリケーション応用へのカギになるでしょう。

重要な特性

  • セルロースベース
  • 耐性(in vivoで1年以上)
  • 人工的、半透過性
  • 生物的適合性
  • 様々な細胞タイプに使用可能
  • 長期間の細胞生存性
  • カプセル化細胞は凍結保存可能

Cell-in-a-Box Kitはシンプルで再現性が高く様々な細胞をカプセル化することができます。前述のように、本テクノロジーはすでに複数のアプリケーションで証明され、研究者の方々のアイデアによってさらなる革命的なアプリケーション開発がもたらされると期待されます。

 

 

References

  1. Löhr M, Hoffmeyer A, Kröger J, Freund M, Hain J, Holle A, Karle P, Knöfel WT, Liebe S, Müller P, Nizze H, Renner M, Saller RM, Wagner T, Hauenstein K, Günzburg WH, Salmons B. Lancet. Microencapsulated cell-mediated treatment of inoperable pancreatic carcinoma. (2001) May 19;357(9268):1591-2.
  2. Stadlbauer, V., Stiegler, P.B., Schaffellner, S., Hauser, O., Halwachs, G., Iberer, F., Tscheliessnigg, K.H. and Lackner, C. (2006) Morphological and functional characterization of a pancreatic beta-cell line microencapsulated in sodium cellulose sulfate/poly(diallyldimethylammonium chloride). Xenotransplantation 13, 337-344.
  3. Stiegler, P., Stadlbauer, V., Hackl, F., Iberer F., Lackner, C., Hauser, O., Schaffellner, S., Strunk, D., Tscheliessnigg, K.H. (2009) Xenotransplantation of NaCS microencapsulated porcine islet cells in diabetic rats. Organ Biology, 16(1) : 104.
  4. Salmons, B., Brandtner, E.M., Hettrich, K. Wagenknecht, W., Volkert, B., Fischer, S., Dangerfield, J.A. and Gunzburg,W.H. (2010) Encapsulated cells to focus the metabolic activation of anti-cancer drugs. Current Opinion in Molecular Therapeutics 12(4):450-60.
  5. Chua, A.J.S., Brandtner, E.M., Dangerfield, J.A., Salmons, B., Gunzburg, W.H. and Ng, M.L. (2010) A novel cell encapsulation mode for delivery of therapeutic antibodies against West Nile Virus infections that maintains steady plasma antibody levels throughout therapy. International Congress on Infectious Diseases (ICID): Abstract 24.010. doi:10.1016/jijid.2010.02.
  6. Salmons, B., Dangerfield, J.A., Brandtner, E.M., Toa, P., Tan, W Jin and Gunzburg, W.H. (2010) A method for protecting therapeutic cells and microenvironment containment in patients for gene and cell therapies: a clinically proven enabling cell encapsulation technology. Human Gene Therapy 21 1476-1477.
  7. Salmons, B. and Gunzburg, W.H. (2010) Therapeutic application of cell microencapsulation in cancer. Advances in Experimental Medicine and biology 670, 92-103.

Cell-in-a-Box is a registered trademark of AUSTRIANOVA Singapore Pte Ltd.

 

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