Seppro-iTRAQによるバイオマーカー探索

By: George Yeh, Product Manager, Sigma® Life Science, Biofiles Vol. 8, No. 5


 

プロテオミクスの分野では、生物医学的または臨床的に必ずしも直接重要ではない大量のタンパク質を除去する、シグマアルドリッチのSepproのようなタンパク質除去技術が、サンプルのダイナミックレンジの向上に有用であることが証明されています。これは特に、推定タンパク質バイオマーカーが低濃度で存在し、大量のタンパク質によって容易に隠されてしまう中でバイオマーカーを発見するときに重要になってきます1。大量のタンパク質を除去した後、残ったタンパク質プールを標識、単離および分析し、有用になり得るバイオマーカーを把握するため、AB Sciex社製のiTRAQ™、mTRAQ™およびICAT™といった標識化学物質を利用することができます2。これはさらに、多重反応モニタリング(MRM)法による研究を進めることができます3。OhlundらはiTRAQを利用した血漿サンプル分析の体系的研究を行い、iTRAQと組み合わせて使用される、Sepproなど様々なタンパク質除去技術の利用について論じています4

ごく最近の数本の論文で、生物医学研究におけるSepproとiTRAQの連続使用が検討されています。Müllerは皮膚関連疾患の潜在的なバイオマーカーソースとして、ヒト皮膚吸引水疱液(SBF)プロテオームを調べました。彼らは2種類の免疫除去技術、Seppro IgY14技術と、その下流のiTRAQ処理による免疫除去を組み合わせた技術について検討しました。この原理証明研究は、SBFプロテオームのゲルフリー定量的MS研究としては初めてのものです5。Rehman、Evansと共同研究者らは潜在的新規バイオマーカーを探るためヒト血清前立腺癌検査サンプルを調べ、ここでもSeppro IgY14とiTRAQを連続して使用していました。この研究から、真核細胞翻訳伸長因子1α1(eEF1A1)およびアファミンといった、候補タンパク質がいくつか明らかにされました6 。Zhangらは結腸直腸癌(CRC)患者から採取した血漿検体を、Seppro技術とiTRAQを組み合わせたワークフローに従って検討しました。その結果、ORM2およびセリンペプチダーゼ阻害薬(clade D)など、13種類の潜在的CRCバイオマーカーを同定しました7

Sigma-Aldrich R&Dはこのほど、Fox Chase Cancer Center、テンプル大学、およびNational Jewish Medical&Research Centerの研究者と共同で、単一のワークフロー内でSepproとiTRAQを併用する、より新たな組み合わせについて検討しました。この新たに発表された試験では、血漿中に多量に含まれるタンパク質と中等度に含まれるタンパク質14種類を血漿中から除去するため、IgY14とSuperMix Seppro技術を合わせて使用することで、Seppro-iTRAQカップリングの範囲を拡大していました8。原理的には、タンパク質除去レベルを追加することで、血漿中から小量のタンパク質を検出できる可能性が高くなりますが、バイオマーカーになり得るタンパク質も付随的に除去されてしまうという懸念もあります4。Patelらによる論文では、そのような懸念を検討しています。その結果、免疫除去実験を計画する際には、少量の潜在的バイオマーカーと免疫除去される大量のタンパク質が会合する可能性を考慮するよう注意を払う必要があると、より定量的に指摘しています。この意見は、IgY12またはIgY14とSuperMixからなる同等のSeppro連続システム(その後のiTRAQ処理は含まれません)を調べた、Qianらによる従来の試験とも一致しています。ここで筆者らは、定量的なプロテオミクス研究では、免疫除去システム内のフロースルータンパク分画と結合タンパク分画の両方を調べるようにと指摘しています9,10

シグマ アルドリッチは、AB Sciexと提携し、定量的プロテオミクス用のSciex iChemistry試薬ポートフォリオの一部として、iTRAQ™製品ラインを提供しています。iChemistryポートフォリオには、ICAT™と mTRAQ™標識試薬も含まれています。今やシグマアルドリッチ社は、SepproやiChemistryなどの製品ラインを揃え、プロテオミクス研究のワークフロー全体に必要なツールを皆様にご提供しています。

Sepproについては「こちら」のページもご参考ください。

 

Materials

Product # Description
S4574 Seppro®、スピンカラム
SEP010 Seppro® IgY14 Spin Columns
SEP020 Seppro® IgY14 LC2
SEP030 Seppro® IgY14 LC5
SEP040 Seppro® IgY14 LC10
SEP050 Seppro® Supermix LC2
SEP060 Seppro® Supermix LC5
S4449 Seppro®中和用バッファー
S4324 Seppro®剥離用バッファー
S4199 Seppro®希釈用バッファー

 

References

  1. Makawita, S., and Diamandis, E.P., The Bottleneck in the Cancer Biomarker Pipeline and Protein Quantification through Mass Spectrometry–Based Approaches: Current Strategies for Candidate Verification. Clin. Chem., 56(2), 212-222 (2010).
  2. Li, Z., Adams, R.M., et al., Systematic Comparison of Label-Free, Metabolic Labeling, and Isobaric Chemical Labeling for Quantitative Proteomics on LTQ Orbitrap Velos. J. Proteome Res., 11(3), 1582-1590 (2012).
  3. Picotti, P., and Aebersold, R., Selected reaction monitoring-based proteomics: workflows, potential, pitfalls and future directions. Nat. Meth., 9(6), 555-566 (2012).
  4. Ohlund, L.B., et al., "Standard Operating Procedures and Protocols for the Preparation and Analysis of Plasma Samples Using the iTRAQ Methodology", from Sample Preparation in Biological Mass Spectrometry (A.R. Ivanov and A.V. Lazarev, eds.). Springer, Part 8, 575-624 (2011).
  5. Müller, A.C., et al., A Comparative Proteomic Study of Human Skin Suction Blister Fluid from Healthy Individuals Using Immunodepletion and iTRAQ Labeling. J. Proteome Res., 11(7), 3715-3727 (2012).
  6. Rehman, I., Evans, C.A., et al., iTRAQ Identification of Candidate Serum Biomarkers Associated with Metastatic Progression of Human Prostate Cancer. PLoS ONE, 7(2), e30885, doi:10.1371/journal.pone.0030885 (2012).
  7. Zhang, X., et al., The Potential Role of ORM2 in the Development of Colorectal Cancer. PLoS ONE, 7(2), e31868, doi:10.1371/journal.pone.0031868 (2012).
  8. Patel, B., et al., Assessment of Two Immunodepletion Methods: Off-Target Effects and Variations in Immunodepletion Efficiency May Confound Plasma Proteomics. J. Proteome Res., 11(12), 5947-5958 (2012).
  9. Qian, W.-J., et al., Enhanced Detection of Low Abundance Human Plasma Proteins Using a Tandem IgY12-SuperMix Immunoaffinity Separation Strategy. Mol. Cell. Proteomics, 7(10), 1963-1973 (2008).
  10. Shi, T., et al., IgY14 and SuperMix immunoaffinity separations coupled with liquid chromatography-mass spectrometry for human plasma proteomics biomarker discovery. Methods, 56, 246-253 (2012).

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