一分子レベルでの翻訳後修飾の可視化・定量

By: Caleb Hopkins, Product Manager, Sigma® Life Science, Biofiles Vol. 8, No. 11


 

Duolink® In Situ製品は、顕微鏡用に調製された組織および細胞サンプルにおけるタンパク質イベントの検出、可視化、定量を可能にします。これらの製品のベースとなるin situ PLA®技術には、従来の手法にはない次のようなメリットがあります。抗体プローブによる標的タンパク質の二重認識により選択性が向上しており、その抗体プローブがきわめて近接して結合することで単一のシグナルのみが生成され、またDNA増幅により感度が向上します1

このin situ PLA技術は、それぞれのエピトープに特異的な一次抗体を用いて2個のエピトープの近接性を決定するようデザインされています2,3。まずそれぞれのエピトープに、結合オリゴヌクレオチドと抗体の複合体が形成されます。次にライゲーション試薬を添加すると、2個のエピトープがきわめて近接していれば、その結合オリゴヌクレオチドがコネクターオリゴヌクレオチドにハイブリダイズします1,3。この形成された環状DNA分子がローリングサークル増幅(RCA)反応のテンプレートとして機能します1-3。RCA反応後、適切に標識した検出用オリゴヌクレオチド(蛍光用にはフルオロフォア、明視野顕微鏡用にはセイヨウワサビペルオキシダーゼ[HRP])を添加すると、500~1,000個の検出用標識オリゴヌクレオチドがDNAサークルにコード化された反復配列にハイブリダイズし、これにより単一のタンパク質イベントが観察できます。

in situ PLA試験により検出できるタンパク質イベントには、タンパク質の翻訳後修飾(PTM)、タンパク質間相互作用、タンパク質発現があります。

シグナル伝達の研究を行うことによって、増殖、遊走、アポトーシスなどの細胞プロセスを制御する機序がより深く理解できるようになります1,2。経路タンパク質のリン酸化、ユビキチン化、アセチル化、グリコシル化などのPTMは、これらのプロセスに対する必須の制御コンポーネントです1,2。シグナル伝達カスケードを総合的に理解するには、これらの翻訳後修飾の空間的および時間的力学の知識が必要です。こうした情報は、従来の手法で常に得られるとは限りません。近年、in situ PLA実験により、細胞株モデルとホルマリン固定/パラフィン包埋組織の両者において、他の方法を用いた研究では見過ごされていたPTMが発見されました1

シグナル伝達経路の酵素のリン酸化状態は酵素活性に重要ですが、in situ PLA研究を用いればリン酸化イベントの検出が可能です1,3in situ PLA法では、個々のタンパク質の発現量を測定する現行の診断法とは異なり、標的タンパク質とリン酸化部位に対し別々の一次抗体を用いることによって、細胞応答における変化を測定します。最新の論文で、メラノプシンシグナル伝達を決定するための方法が説明されています3。シグナル伝達は、細胞内ループ2および3上のセリンおよびスレオニン残基のプロテインキナーゼAによるリン酸化によって調節されていることが明らかにされました3。メラノプシンのカルボキシテールに対する抗体とホスホセリンに対する抗体を、オリゴヌクレオチド結合二次抗体(PLAプローブ)と併せて用いました。増幅DNAに特異的な蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブ(Duolink In Situ Detection Reagent)を添加することにより、相互作用している抗体分子のペアそれぞれに対し、明確な蛍光スポットが得られました。

別の論文では、細胞株および乳癌腫瘍組織におけるAkt1およびAkt2のアイソフォーム特異的活性化(リン酸化)レベルの定量的解析について記載されています4。活性化Akt量を測定し、活性化Akt1およびAkt2アイソフォームと乳癌転帰の相関を決定しました4。興味深いことに、既発表の免疫組織化学的データはin situ PLA法により得られたリン酸化Akt1またはAkt2測定値と比較されておらず、Duolink In Situ試薬によるin situ PLA実験により、標準的アッセイ法では得られなかった情報が提供される可能性が示唆されています4

in situ PLA法の変化により、PTM以外のタンパク質イベントの検出も可能になっています。タンパク質間相互作用のバリデート、特性評価、確認を行うためには、これまで免疫共沈降、ウェスタンブロット、架橋、プルダウンアッセイが用いられてきました。しかし、これらの方法には限界があります。in situ PLA反応に必要となる近接性という条件は、内因性発現においても、各標的タンパク質に対し別々の一次抗体を用いて行うタンパク質間相互作用の検出に理想的です。

in situ PLA研究における今後の目標としては、低量のタンパク質の存在および活性に焦点を当てること、マルチプレックスアッセイにより疾患のバイオマーカープロファイルを作成すること、臨床試験での使用における有効性および安全性を解明するための薬理研究を行うことがあげられます1

Duolinkに関連する論文、プロトコール、製品については、こちらのページをご覧ください。

 

Materials

Product # Image Description
B4180   Anti-BAPTA antibody produced in rabbit 1.2 mg/mL, IgG fraction of antiserum, buffered aqueous solution
A1076 BAPTA-AM ≥95% (HPLC)
DUO80102   Duolink® In Situ Brightfield Mounting Medium
DUO92012   Duolink® In Situ Detection Reagents Brightfield
DUO92013 Duolink® In Situ Detection Reagents FarRed
DUO92014 Duolink® In Situ Detection Reagents Green
DUO92007 Duolink® In Situ Detection Reagents Orange
DUO92008 Duolink® In Situ Detection Reagents Red
DUO82065   Duolink® In Situ Microplate Heat Transfer Block
DUO82064   Duolink® In Situ Microplate Nuclear Stain, Anti-Fade
DUO82040   Duolink® In Situ Mounting Medium with DAPI
DUO92006   Duolink® In Situ PLA® Probe Anti-Goat MINUS Affinity purified Donkey anti-Goat IgG (H+L)
DUO92003   Duolink® In Situ PLA® Probe Anti-Goat PLUS Affinity purified Donkey anti-Goat IgG (H+L)
DUO92004   Duolink® In Situ PLA® Probe Anti-Mouse MINUS Affinity purified Donkey anti-Mouse IgG (H+L)
DUO92001   Duolink® In Situ PLA Probe Anti-Mouse PLUS Affinity purified Donkey anti-Mouse IgG (H+L)
DUO92005   Duolink® In Situ PLA® Probe Anti-Rabbit MINUS Affinity purified Donkey anti-Rabbit IgG (H+L)
DUO92002   Duolink® In Situ PLA® Probe Anti-Rabbit PLUS Affinity purified Donkey anti-Rabbit IgG (H+L)
DUO92010   Duolink® In Situ Probemaker MINUS
DUO92009   Duolink® In Situ Probemaker PLUS
DUO82047   Duolink® In Situ Wash Buffer, Brightfield
DUO82049   Duolink® In Situ Wash Buffers, Fluorescence
73881 Fluo 3-AM ≥90% (TLC)
DUO90806   Duolink® ImageTool
17783 カルセイン AM BioReagent, suitable for fluorescence, ≥96.0% (HPLC)
56496 カルセイン AM Small Package (20 X 50 μg ), ≥96.0% (HPCE)
32670 4′,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール 二塩酸塩 BioReagent, suitable for fluorescence, ≥95.0% (HPLC)

 

References

 

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