FLAGタンパク質発現システム

FLAGベクターの選択(細菌、哺乳類、昆虫)

細菌

tac プロモーターやT7 プロモーターの配列を有する細菌ベクターを使って、E. coli でのFLAG タグやMAT-Tag(金属アフィニティタグ)等のタグ融合タンパク質の発現、検出、精製が可能です。FLAG 細菌ベクターは、N 末端かC 末端のいずれかにタグを有するペリプラズム発現(+OmpA)または細胞質発現を選択できます。T7プロモーター配列を有するベクターで、FLAG タグとMATタグのデュアルタグ融合タンパク質が得られます。このベクターはアンピシリン耐性遺伝子を持っているので、ポジティブなトランスフォーマントを容易に選別できます。また、このベクターはtacプロモーターとT7 プロモーターの発現を抑制するlacl 遺伝子、T1T2 転写終結配列(ターミネーター)、pMB1 複製開始配列(pBR322 に由来)、f1 起点を有しています。

tac プロモーターシステム

Vectors for Bacterial tac promoter Systems, functional system tree

強力なtacプロモーター(E.coli 由来のtrplacプロモーターのハイブリッド) を用いているので、de-repressor としてIPTG を用いると10mg/L 以上のタンパク質を発現させることができます。このベクターはほとんどの一般的な大腸菌宿主に適用できます。

FLAG-SHIFT ベクターはN 末端が未知の場合に用いられます。このベクターには“シフト”配列があり、元のクローン内にリーディングフレームがなくても、3 種のリーディングフレーム内すべてでインサートが発現するようになっています。

 
tacプロモーターシステム CAT.NO. FLAG® MAT OmpA Ek Site ampr
pFLAG-ATS™ E8158 N  
pFLAG-MAC™ E8033 N    
pFLAG-CTS™ E8283 C    
pFLAG-CTC™ E8408 C      
pFLAG-Shift™12C E9533 N N  
pTAC-MAT™-Tag-1 E5530   C    
pTAC-MAT™-Tag-2 E5405        

N = N末端タグ, C = C末端タグ, OmpA = periplasmic localization, Ek = エンテロキナーゼ 切断部位, ampr = アンピシリン耐性遺伝子

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T7プロモーターシステム

Vectors for Bacterial T7 promoter Systems, functional system tree

pT7-FLAG ベクターとpT7-MAT-Tag ベクターは、きわめて強力なT7/lacプロモーターを有しています。これらの発現ベクターを使えばtacプ ロモーター系よりも高収率で組換えタンパク質が得られます。しかし、T7 プロモーターにはバックグラウンド発現(leaky な発現)があることで知られており、組換えタンパク質が宿主細胞への毒性がある場合には欠点になる可能性があります。そこで、leaky な発現を防ぐためにSigma のベクターはプロモーターのすぐ下流にlac オペレーター(lacO)配列を有しています。tacプロモーター系とは違い、pT7 ベクターは(DE3)溶原菌等のT7 ポリメラーゼを産生する宿主株で発現させる必要があります。

切断部位があるT7 プロモーター : FLAG エピトープタグのC 末端には、エンテロキナーゼの 認識配列Asp-Asp-Asp-Asp-Lys があります。N 末端にFLAG 配列を有する融合タンパク質はすべてFLAG を除去することが可能です。デュアルタグ融合タンパク質の場合、タンパク質の配列におけるFLAG タグの位置によって1 個か2 個のタグがエンテロキナーゼに切断されて除去されます。

カナマイシン耐性があるT7 プロモーター : pT7-FLAG-3 とpT7-FLAG-4 にはアンピシリンとカナマイシンの耐性遺伝子が両方含まれているのでE. coli で容易に選別できます。

 
T7プロモーターシステム CAT.NO. FLAG® MAT Ek Site ampr kanr
pT7-FLAG™-1 P1118 N    
pT7-FLAG-2 P1243 C      
pT7-FLAG-3 P9618 N  
pT7-FLAG-4 P9743 C    
pT7-MAT-Tag-1 E5780   N    
pT7-MAT-Tag-2 E5655   C    
pT7-FLAG-MAT-Tag-1 E5280 N C  
pT7-FLAG-MAT-Tag-2 E5030 C C    
pT7-MAT-Tag-FLAG-1 E5155 N N  
pT7-MAT-Tag-FLAG-2 E4905 C N    

N = N末端タグ, C = C末端タグ, Ek = エンテロキナーゼ 切断部位, ampr = アンピシリン耐性遺伝子, kanr = カナマイシン耐性遺伝子

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哺乳類

Mammalian FLAG Expression Vectors を用いることにより組換えタンパク質の容易な検出、精製、分析といった広範な用途に使用できる様々なFLAG 融合タンパク質を発現できます。Sigma が提供するCMV プロモーターを有するベクターを用いることで、一過性発現/安定発現、細胞質発現/分泌、N 末端/C 末端タグ、FLAG/3xFLAG を目的に応じて選択できます。

強力なヒトサイトメガロウィルス(CMV) プロモーター調節領域によりCOS 細胞中で最大1mg/L の組換えタンパク質を発現することができます。他の産生能の低い細胞株での発現では通常約~ 0.1mg/L のレベルです。SV40 複製開始点の存在によりSV40 複製パーミッシブCOS 細胞内で高いDNA 複製能があります。多くのデュアルタグベクターはFLAG と3xFLAG に加えてc-Myc エピトープタグもしくはMAT-Tag(金属アフィニティタグ)を有しています。

CMV ベクターは、細菌細胞の複製に必要なpMB1(pBR322 由来)起点、細菌のアンピシリン耐性選択に必要なβ-ラクタマーゼ遺伝子、hGH polyA、f1 起点を有しています。プレプロトリプシン(PPT)リーダー配列を有するベクターを使えば、ANTI-FLAG 抗体レジン、プレートを用いた精製に適した培地にFLAG 融合タンパク質を分泌します。

一過性発現 Transient Expression

Vectors for mammlian transient promoter Systems, functional system tree

高度な一過性発現に適したCMV ベクターに、下記の各種融合タグ(スタンダードなFLAG タグ、3xFLAG タグ、FLAG-Myc、3xFLAG-Myc、FLAG-MAT-Tag 等のデュアルタグ)を搭載しました。

FLAG エピトープタグのC 末端には、エンテロキナーゼの認識配列Asp-Asp-Asp-Asp-Lys があります。N 末端にFLAG®配列を有する融合タンパク質はすべてFLAG を除去することが可能です。デュアルタグ融合タンパク質の場合、タンパク質の配列におけるFLAG の位置によって1 個以上のタグがエンテロキナーゼに切断されて除去されます。

 
一過性発現 Transient Expression CAT.NO. PPT FLAG® 3xFLAG® c-Myc MAT Ek Site ampr
pFLAG-CMV-2 E7033   N      
pFLAG-CMV-5.1 E6908   C        
pFLAG-CMV-5a,b,c E3762   C        
pFLAG-CMV-6a,b,c E2275   N      
p3xFLAG-CMV-7.1 E7533     N    
p3xFLAG-CMV-8 E9908   N      
pFLAG-Myc-CMV-19 E8658 N   C    
pFLAG-Myc-CMV-20 E8783   N   C  
p3xFLAG-Myc-CMV-23 E9158   N C  
p3xFLAG-Myc-CMV-24 E9283     N C  
pCMV-FLAG-MAT-Tag-1 C5864   N     C
pCMV-MAT-Tag-FLAG-1 C5989   N     N
pCMV-FLAG-MAT-Tag-2 C6114   C     C  
pBICEP-CMV-3 E7029   N(MCS1)      
pCMV-BICEP-4 E5905   N(MCS1)   N(MCS2)  

N = N末端タグ, C = C末端タグ, PPT = 直接分泌に関するプレプロトリプシンリーダー, c-Myc = c-Myc エピトープ, MAT = 金属アフィニティタグ, ampr = アンピシリン耐性遺伝子, Ek = エンテロキナーゼ切断部位(デュアルタグ融合タンパク質を切断して1 個または2 個のタグを切除することが可能)

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安定発現 Stable Expression

Vectors for mammlian stable promoter Systems, functional system tree

弊社の安定発現用ベクターは、一過性発現用ベクターと同様に強力なCMV プロモーターを有し、哺乳動物細胞での高レベルな構成的発現が可能です。このベクターはさらにG 418 硫酸塩等のアミノグリコシド系抗生物質への耐性を与えるアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼII 遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子、neor)を搭載しており、そのため安定したトランフェクション産物のセレクションが可能となります。

デュ アルタグ(FLAG-Myc や3xFLAG-Myc)融合タンパク質の安定発現用ベクターは下記の通りです。デュアルタグ融合タンパク質によって検出の融通性が高まり、全長組換えタ ンパク質のスクリーニングを行うことも可能になります。3xFLAG タグは検出感度が高いので、発現レベルが低い場合に適しています。デュアルタグ融合タンパク質もエンテロキナーゼで切断され、タンパク質配列における FLAG タグの位置によって1 個か2 個のタグを除去することができます。

 
安定発現 Stable Expression CAT.NO. PPT FLAG® 3xFLAG® c-Myc Ek Site ampr neor
pFLAG-CMV-3 E6783 N    
pFLAG-CMV-4 E7158   N    
p3xFLAG-CMV-9 E9783   N  
p3xFLAG-CMV-10 E7658     N  
p3xFLAG-CMV-13 E7783   C    
p3xFLAG-CMV-14 E7908     C    
pFLAG-Myc-CMV-21 E8908 N   C
pFLAG-Myc-CMV-22 E9033   N   C
p3xFLAG-Myc-CMV-25 E9408   N C
p3xFLAG-Myc-CMV-26 E7283     N C
pBICEP-CMV-1 E0779   N(MCS1)    
pBICEP-CMV-2 E0904     N(MCS1)  
pBICEP-CMV-3 E7029   N(MCS1)      
pCMV-BICEP-4 E5905   N(MCS1)   N(MCS2)  

N = N末端タグ, C = C末端タグ, PPT = 直接分泌に関するプレプロトリプシンリーダー, c-Myc = c-Myc エピトープ, MAT = 金属アフィニティタグ, ampr = アンピシリン耐性遺伝子, neor = 安定発現に関するネオマイシン耐性, Ek = エンテロキナーゼ切断部位(デュアルタグ融合タンパク質を切断して1 個または2 個のタグを切除することが可能)

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昆虫

昆虫細胞発現用 バキュロウィルストランスファーベクター

pPolh 挿入ベクターは昆虫細胞発現システムで使用される組換えバキュロウィルスのコンストラクション用です。強力なpolyhedrin(polh)プロモー ターは感染の遅延相の間、目的遺伝子の高レベル発現をさせます。AcNPV ORF 603 とORF 1629領域はpolh プロモーターとMCS に隣接して、バキュロウィルスDNA と相同な組換え用と組換えバキュロウィルス用です。

pPolh ベクターもまた、バクテリア細胞の増殖と選択用と同様、pUC 複製開始点とβ -lactamase gene(ampr)を含んでいます。次のバキュロウィルストランスファーベクターはN 末、C 末FLAG(DYKDDDDK) またはMAT(HNHRHKH)タグを有し、組換えタンパク質の検出と精製に便利です。

 

Polh プロモーターシステム

Vectors for Baculovirus transfer, insect cell expression promoter Systems, functional system tree

Sigma が提供しますバキュロウィルストランスファーベクターは、バキュロウィルス発現ベクターシステムを用いた昆虫細胞中での高発現FLAG またはMAT(Metal Affinity Tag)融合タンパク質の発現用ベクターです。

市販のORF1629 欠失バキュロウィルスDNA と適合できるよう設計されています。エントロキナーゼによりN 末端FLAG タグは除去できます。

 
一過性発現 Transient Expression CAT.NO. FLAG® pPolh MAT Ek Site ampr
pPolh-FLAG-1 T6824 N  
pPolh-FLAG-2 E6155 C    
pPolh-MAT-Tag-1 T6699   N  
pPolh-MAT-Tag-2 T6574   C  

N = N末端タグ, C = C末端タグ, MAT = 金属アフィニティタグ, ampr = アンピシリン耐性遺伝子, Ek = エンテロキナーゼ切断部位

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用語説明

  • tacプロモーター

    E.coliホスト内におけるDNAコード配列の発現は、tacプロモーターにより制御されます。このtacプロモーターはtrpプロモーターの-35コンセンサス配列とlacプロモーターの-10コンセンサス配列を組み合わせたものであり、E.coliにおいて融合タンパク質を大量発現する際に用いられるプロモーターの中でも、最も発現量が高く、最も広く使われているものの一つです。lacオペレーターはlaclリプレッサータンパク質の結合部位です。このlaclリプレッサータンパク質は、FLAG融合タンパク質の翻訳を抑制します。laclリプレッサーは同一のプラスミド上にコードされており、laclqプロモーター( lacl に変異の加えられたもので、より発現量の高いプロモーター)により構成的に合成されます。FLAG融合タンパク質の合成は誘導により開始させます。この誘導はlacオペレーターをコードするFLAG ExpressionVectorで形質転換した細胞に、IPTG(Isopropylβ-D thiogalactoside)を添加することにより行います。IPTGは特異的にlaclリプレッサータンパク質に結合し、リプレッサーがオペレーターに結合するのを妨げます。

    致 死的な影響を与えるおそれのある遺伝子産物は、発現量の大きなプロモーターの制御下においた場合、抑制状態に保つことが重要です。また、非抑制状態におけ る過剰なタンパク質発現はホスト細胞が正常な増殖を維持する能力、および細胞のメンテナンス機能に過剰な負担となるおそれがあります。tacプロモーターは、すでに多くの遺伝子で大量発現に使用されており、この目的に十分かなうことが証明されています。ただし、tacプロモーターからの発現は必ずしも完全に抑制されないこともあり、ある種の致死的遺伝子産物のクローニングには使用できないことがあります。

  • T7/lacプロモーター

    バクテリオファージ由来のT7プロモーターは強力で、tacプ ロモーター系よりも高収率で組換えタンパク質を得る事ができます。T7プロモーターはバックグラウンド発現があることが知られており、組換えタンパク質が 宿主細胞への毒性を有する場合は、その性質が欠点になる場合があります。FLAG発現ベクターには、T7プロモーターの下流にlacオペレーター配列を有しており、このベクターをDE3溶原菌において目的タンパク発現誘導を行うと、lacリプレッサーが宿主染色体のlacUV5プロモーターに作用し、宿主のポリメラーゼによってT7 RNAポリメラーゼの遺伝子の転写が制御され、同時にベクターのT7/lacプロモーターにも作用し目的タンパク質遺伝子の転写も制御されます。この様にT7 RNAポリメラーゼの発現をより厳密に制御することにより、上述のバックグラウンドの発現をより抑える様になっています。

  • 翻訳開始部位

    翻訳開始部位はShine-Dalgarnoリボソーム結合部位のコンセンサス配列を含んでおり、ATG翻訳開始コドンとの位置関係が最適となるように間隔を調整してあります。

  • OmpA シグナルペプチド

    pFLAG-ATSおよびpFLAG-CTS Expression Vectorには63塩基対、21アミノ酸のOmpAシグナルペプチドをコードする配列が含まれています。このOmpAシグナル配列は通常、E.coli内に豊富に存在するタンパク質であるOmpA(外膜タンパク質A)の分泌に関わっています。このOmpAシグナルペプチドはタンパク質が内側の細胞質膜を通ってペリプラズムに輸送される際に、シグナルペプチダーゼによりFLAG融合タンパク質から除去されます。

  • 翻訳終止コドン

    FLAG-Shift Expression Vectorには、MCSの下流に3つすべてのリーディングフレームに対応する翻訳終止コドンが存在しています。他のすべてのベクターにも翻訳終止コドン が存在します。クローニングの際、フレームを合わせていただく必要があります。

  • 転写ターミネーター

    クローニングした遺伝子の転写は、E.coliリボソームRNA転写ターミネーター(rrnB)26によりMCSの下流で強制的に停止します。2つ並んだ停止コドン(T1およびT2)がターミネーターとして働きます。

  • 選択マーカー

    E.coli FLAG Expression Vectorはampr(アンピシリン耐性)選択マーカーを有し、形質転換の成功したE.coliの同定が可能です。アンピシリン耐性能(ampr)はプラスミド中のβ-ラクタマーゼ遺伝子によりコードされます。E.coliの培養培地に50~100μg/mlのアンピシリンを加えることで、FLAG Expression Vectorを持つクローンを選択できます。

    安 定発現用ベクターにはネオマイシン耐性遺伝子(aminoglycoside phosphotransferase II gene)がコードされています。ネオマイシンは原核細胞に対する抗生物質ですが、真核細胞に対しても増殖阻害を示します。ネオマイシン耐性遺伝子をトラ ンスフェクトした細胞は、G418の様なアミノグリコシドを含む培地で選択可能です。

  • pORI 複製起点

    FLAG発現ベクターはcolE1二本鎖複製起点によりE.coliホスト内で複製を行う環状エピソームです。ベクターの二本鎖DNAはクローニング、発現、制限酵素地図作成およびシークエンシングに使用できます。

  • f1-ori 複製起点

    FLAGベクターは一本鎖DNAのクローニングおよびシークエンシングにも対応するように設計されており、一本鎖DNA生成用に、f1-ori複製起点29をプラスミド内にコードしてあります。適切なE.coli宿 主にM13KO730ヘルパーファージを重感染させることにより、複製機構をf1-oriによる制御に切り替え、環状の一本鎖FLAG DNAを生成します。培地にカナマイシンを添加しておくと、ヘルパーファージが重感染した宿主だけを選択でき、FLAG発現ベクターのトップ鎖(プラス 鎖)が、一本鎖としてえられます。(このプラス鎖にはFLAGマーカーペプチドをコードする24塩基のDNA配列が含まれています。)

  • FLAG-BAP Positive Control Plasmids

    FLAG-BAP Positive Control Plasmidは、FLAG ペプチドの融合したBAP(Bacterial Alkaline Phosphatase)タンパク質(49kD)を発現させます。このプラスミドは他のFLAG融合タンパク質の発現、アフィニティー精製および検出に対 するポジティブコントロールとして有用です。

  • N-26 and C-24 Oligodeoxyribonucleotide Primers

    N- 26およびC-24 Oligodeoxyribonucleotide Primerは、挿入した遺伝子配列のアミノ末端またはカルボキシル末端FLAG融合連結部分をシークエンシングする際に使用します。N-26およびC- 24プライマーはサイクル・シークエンシングにも適しています。また、これらはFLAG融合タンパク質の配列を修飾する際に、目的配列の増幅反応用プライ マーとしても使用できます。

    N-26プライマーはDNAマイナス鎖(マップポジション:1~26)に結合する26塩基のオリゴデオキシリボヌクレオチドです。この結合部位はE.coli FLAG Expression Vector のtacプロモーターおよびT7プロモーターのすぐ上流に位置しています。N-26プライマーはAmino-terminal Expression Vector内にクローニングしたインサートのアミノ末端FLAG融合連結部分をシークエンシングする際に使用します。

    C- 24プライマーはFLAGコードDNAプラス鎖に結合する24塩基のoligodeoxyribonucleotideです。結合部位はFLAG Expression Vector MCSのすぐ下流、翻訳終止コドンと転写ターミネーターの間に位置して。C-24プライマーはCarboxy-terminal Expression Vector内にクローニングしたインサートのカルボキシル末端FLAG融合連結部分をシークエンシングする際に使用します。

  • エンテロキナーゼ切断部位

    エ ンテロキナーゼは8アミノ酸FLAGマーカーペプチドのカルボキシル末端側の5アミノ酸を認識して切断します。この認識配列が天然に存在することは非常に まれです。このためエンテロキナーゼによりFLAG融合タンパク質からFLAGマーカーを除去する際に目的タンパク質の内部を切断する可能性はほとんどあ りません。(詳しくはFLAGマーカー除去(PDF 283kb)の項目をご覧ください。)

  • MAT-TAGシステム

    MAT-Tag すなわち金属アフィニティタグ(HNHRHKH)は、HIS-Select® ニッケルおよびコバルトアフィニティゲルを用いた組換えMAT-Tag 融合タンパク質の精製用に作られました。HIS-Select 製品により、MAT-Tag 融合タンパク質のようなヒスチジンタグ付き融合タンパク質の選択性の高い精製が可能になります。当社の最新ベクターの多くは、MAT-Tag を使用しており、多くは既知のFLAG タグと組み合わせられています。MAT-Tag を含むベクターは、N末端またはC 末端にタグを付加したフォーマットで提供しています。

    • デュアルタグ融合タンパク質
    • HIS-Select のようなニッケルやコバルトアフィニティレジンに適応
    • FLAG やMAT 抗体での抗体検出に最適
  • CMVプロモーター

    CMV(Cytomegarovirus) は、ヒトに感染する通常無害(不顕性)のウイルスで、CMVプロモーターは、哺乳動物細胞内で遺伝子の構成的な発現を行います。哺乳動物の内在性遺伝子は プロモーターによる複雑な制御を受けているので、発現ベクターのプロモーターには、より単純なウイルスプロモーターを利用することが多いです。さらに、こ れらウイルスプロモーターは哺乳動物のプロモーターより強力で、大量の転写産物を発現するという利点もあります。

  • hGH polyAシグナル

    ヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列。ポリA(polyA)は、真核細胞のmRNA3'末端についているアデニン・ヌクレオチド鎖をさしますが、DNA上の遺伝子末部にもポリA配列があることが多く、転写効率を増大させる効果があります。

  • SV40オリジン

    SV40由来の複製開始点。SV40複製パーミッシブな細胞内で高いDNA複製能があります。SV40オリジンを含むプラスミドは、上記のような細胞内で複製いたします。

  • SV40 プロモーター

    SV40は、サルなどに対して感染能を持つウイルスで、哺乳動物細胞内で非常に強いプロモーター活性を示します。

  • SV40 polyAシグナル

    hGHpolyAシグナル参照。SV40由来のポリアデニル化付加シグナル。

  • BICEP発現システム

    最 適化されたEMCV IRES が最高のタンパク質レベルと安定発現を実現 : BICEP(BICistronic Expression Plasmid:2 シストロン性発現プラスミド)ベクターは1 つのmRNA(2 シストロンmRNA)から2 つのオープンリーディングフレーム(ORF)を翻訳するために脳心筋炎ウイルス(EMCV)由来内部リボソーム侵入部位(IRES)を有しています。 BICEPベクターは、強力なヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターの制御下で2 シストロンmRNA の転写を駆動するようにデザインされています。IRES のDNA 配列は比較的短く、5'cap 非依存的にRNA の翻訳を開始します。第1 目的遺伝子(ORF 1)の下流にIRES と第2 目的遺伝子(ORF 2)があるため、cap 依存的にOFR 1 とcap非依存的にOFR 2 を同時発現して、1 つのmRNA 転写物から2 つのタンパク質が翻訳されます。BICEP ベクターにより、2 つの標的遺伝子の同時発現、あるいはneor 等の選択マーカーを有する標的遺伝子の同時発現が可能です。現在、哺乳動物細胞の一過性および安定発現用pBICEP-CMV ベクターは、FLAG、3xFLAG、c-Myc の各エピトープタグを様々に組み合わせて提供しています。

    Sigma のEMCV IRES は他の競合製品の30 倍以上の成績を示しています。pBICEP-CMV-1 とpBICEP-CMV-2 は、G418 硫酸塩への耐性を与えるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neor)を有しています。neor はIRES に翻訳調節されます。G 418 存在下で増殖する哺乳動物細胞は、1 つの2 シストロンmRNA から標的遺伝子と選択マーカーの両方が翻訳されるために組換えタンパク質を高レベルで発現することが判明しています。安定発現用BICEP ベクターは哺乳動物細胞の複製起点を欠いているので、プラスミドDNA の遺伝子組込みによって安定したセルラインを形成しています。BICEPベクターは、シストロン間の長さと組換えタンパク質の発現レベルを最適化するよう にEMCV IRES を戦略的に配置しているため、競合製品を上回る性能を発揮します。

    特長と利点

    • 組換えタンパク質発現レベルが非常に高い。
    • プラスミドの脱落の無い安定なセルラインを構築できる。
    • 植え継ぎを重ねても高発現を維持できる。
    • 安定発現と一過性発現の選択。
    • 安定した選択マーカーもしくは複数の目的遺伝子のクローニングに適した2 つのMCS 領域を有する新しいベクター。
     

    Vectors for BICEP promoter Systems

    [参考文献]:
    Attal, J., Theron, M.C., Puissant, C., Houdebine, L.M., Medline® Effect of intercistronic length on internal ribosome entry site (IRES) efficiency in bicistronic mRNA. Gene Expression Volume 8, Issue 5-6, 1999, Pages 299-309.

    Vectors for BICEP promoter Systems, data image

    左 図 : 1 日目、6-well プレートに植えたCHO-K1 細胞を2µg/well のpBICEP-CMV-1-lacZ でトランスフェクションする。10% FBS、4mML- グルタミン、1mg/mL のジェネティシンを加えたDMEMで培養。72 日目、植え継ぎ回数20 回の細胞を0.5% グルタルアルデヒドで固定し0.25mg/mL のX-Gal で染色。

    右図 : CHO- K1 細胞を6-well プレートに植える。2µg/well のDNA をEscort II を用いてトランスフェクションし、10%FBS、4mM L- グルタミンを加えたDMEM で培養。1mg/mL のジェネティシンを48 時間後に加える。シグマの試薬を用いてβ -gal およびBCA assay を28 日目に行った。

    Vectors for BICEP promoter Systems, vector map

    哺乳類用バイシストロン性発現システム安定発現ベクター
    Bicistronic Expression in Mammalian SystemsStable Expression Vectors

    pBICEP-CMV-1 ベクターとpBICEP-CMV-2 ベクターを使えば、1 つの2 シストロンmRNA から目的遺伝子とneor 遺伝子を発現して組換えタンパク質を高レベルで発現する細胞を選択できます。neor 遺伝子はEMCV IRES による制御下でcap 非依存的に翻訳されます。このベクターは哺乳動物細胞の複製起点を欠いているので、プラスミドDNA の遺伝子組込みによって安定した転写産物を形成しています。

    Vectors for BICEP promoter Systems, two multiple cloning sites, vector map

    哺乳類用バイシストロン性発現システム安定発現ベクター
    2 つの目的遺伝子の一過性発現

    pBICEP-CMV-3 ベクターとpCMV-BICEP-4 ベクターは、1 つのコンストラクトから2 つの目的遺伝子を同時に一過性発現できる哺乳動物用バイシストロン性ベクターです。目的遺伝子は2 つのMCS 領域にそれぞれクローニングされます。MCS1 にクローニングされた遺伝子はcap 依存的に発現し、MCS2 にクローニングされた遺伝子はEMCV IRES による制御下でcap 非依存的に翻訳されます。この2 つの遺伝子はいずれも1 つのコンストラクトから発現するので、コトランスフェクションした場合と異なり、トランスフェクションされた細胞の大部分が両方の遺伝子を発現します。し たがって、pBICEP-CMV-3 ベクターとpCMV-BICEP-4 ベクターは、マルチサブユニットタンパク質や、多タンパク質複合体、タンパク質間相互作用等に適しています。このベクターは対応する宿主細胞のエピソーム 複製に必要なSV40 複製起点を有しています。

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