代替エネルギー材料

水素貯蔵研究用ホウ素化合物

10年以上にわたって、世界中の技術先進国は石油や天然ガスなど従来のエネルギー源に代わるエネルギーとして、「水素」に研究開発の重点を置いてきました。水素は、増加し続けるエネルギー需要と地球規模の気候変動に対する切り札と考えられています。実際、水素は化石燃料、再生可能なエネルギー、水などのさまざまなエネルギー源(原子力、風力、太陽光エネルギーなどを含む)から製造できます。水素は無毒で、エネルギーに変換したときの唯一の廃棄物は水であるため、極めて環境にやさしいエネルギー担体です1

ホウ素は、大量の水素と結合しマイルドな実験環境で放出可能な性質をもつ元素に分類されます。現在、ホウ素をベースとした化合物は重量にして19%までの水素を蓄えることができ、100℃から400℃の温度範囲にて、もしくは適切な化学処理によって放出が可能です2-5

ホウ素を用いた水素貯蔵の研究における材料カテゴリには、まず、アルカリ金属、アルカリ土類金属(リチウムやナトリウム、もしくはカルシウムやマグネシウム)の水素化ホウ素化合物(686026, 685917, 686018, 715247, 6952543があります。前者の場合、金属触媒の存在下で水溶液中にて可逆的な水素放出が可能です7

水素化ホウ素の構造

2つ目は、ボラン(BH3)とアンモニアの単純な錯体をベースとしたもので、アンモニア-ボラン錯体(H3N-BH3, 6820982が知られており、100℃以上の温度において段階的に約13%の水素を放出します。近年では、リチウムアンモニアボラン6710199)が優れた水素放出特性を持つことが明らかになっています(水素吸蔵量:13.5wt%、水素放出温度:90℃)。

カルシウム水素化ホウ素からの水素放出

アンモニア-ボラン錯体からの水素放出

表1 水素貯蔵研究に関するボロンベース化合物の製品リスト

化合物名 示性式 製品番号
Magnesium borohydride dimethylsulfide complex Mg(BH4)2·x(CH3)2S 731226
Borane ethylenediamine complex, 96% (8)
H3B-H2N-(CH2)2-NH2-BH3 737488
Lithium ammonia borane LiNH2BH3 710199
Borane-ammonia complex, 97% H3N-BH3 682098
Calcium borohydride Ca(BH4)2 695254
Magnesium borohydride Mg(BH4)2 715247
Lithium borodeuteride, >=95% LiBD4 685917
Lithium borohydride hydrogen-storage grade, 90+% LiBH4 686026
Sodium borohydride hydrogen-storage grade, 98% NaBH4 686018
水素貯蔵材料については左記のページもご参考ください。

References

  1. Balema, V.P. Material Matters, 2007 2.2., 2.
  2. Karkamkar, A.; Aardahl, C.; Autrey, T. Material Matters, 2007 2.2., 62.
  3. Soloveichik, G.L. Material Matters, 2007 2.2., 11.
  4. Johnson, S. R.; Anderson, P. A.; Edwards, P.P.; Gameson,I.; Prendergast, J. W.; Al-Mamouri, M.; Book, D.; Harris, I.R.; Speight, J.D.; Walton, A. Chem. Commun., 2005 2823.
  5. Sudik, A.; Yang, J.; Halliday, D.; Wolverton, C. J. Phys. Chem. C., 2008 4384 112.
  6. Z. T. Xiong, C. K. Yong, G. T. Wu, P. Chen, W. Shaw, A. Karkamkar, T. Autrey, M. O. Jones, S. R. Johnson, P. P. Edwards, W. I. F. David, Nat. Mater., 2008 7, 138.
  7. Wu,Y.; Mohring R.M. Am. Chem. Soc., Div. Fuel Chem. Preprints, 2003 48, 940.
  8. Anne A Staubitz et. al Chemical Reviews, 2010, 110, 4079.
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