無機材料(金属・セラミックス)

高純度無機化合物

 

周期表

無機化学は有機化学とは対照的に、100以上の元素を対象とした多様で複雑な現象を扱う学問です。電子の数がひとつ違うだけでまったく異なる性質を持つこれら各元素が複雑に関連し結合することで、すべての物体が存在します。これらは、気体・液体・固体であり、イオン性や広い意味での共有性または分子性の結晶を作り、無限の性質を持ちます。有機化学で扱う化合物はほぼ例外なく最大配位数・原子価が4ですが、無機化合物は配位数が14まであり、酸化数は-2から+8まであります。そして当然ながら結合形式も多種多様です。

一見無秩序のように思われる現象を組織化、秩序立てて理解するのに役立つのが「周期表1」です。周期表は、周期律(元素の性質の原子量に対する周期的変化)に基づいた元素の配列した表として1869年にメンデレーエフによって発表されました。この周期表は、メンデレーエフの化学的な観察のみから似た元素が縦の列を形成するように選ぶと、それが適当な長さの横の列を作るように元素を配列したことになるというものでした。後に、縦の列は化学的に似ているというだけでなく、電子配列の点からも似ている元素であることがわかりました。電子を3つの規則「組み立ての原理」、「フントの規則」、「パウリの排他原理」に従って各原子軌道に入れていくことで、すべての元素を長周期型周期表と同じ型に配列することが可能です。

周期表

(クリックするとUSサイトの周期表検索サイトへ移動します。)

 

アルドリッチでは61種類の金属に関するナノ材料・金属酸化物・金属塩・薄膜作成用有機金属前駆体をご提供しております。上記周期表をクリックすると、各元素の説明と共にアルドリッチの金属化合物製品を検索することができます。

この周期表で分類されていない無機化合物については左記のページもご参考ください。

無機化合物

金属・合金:

過去千年間、金属とその合金ほど人類の発展に貢献してきた材料はありません。銅やスズなどの金属を鋳造して最初の機能的金属合金である青銅が作られたことで、人類が現代の技術社会に向かう道が開かれました。数世紀にわたって、金属の研究は、応用材料科学の最も古い分野の一つである冶金学に属していましたが、19世紀後半~20世紀前半に金属材料の用途が電子工学、エネルギー、航空、宇宙旅行など、科学技術のその他の領域に広がりました。今では、金属や合金なしの世界を想像することは不可能です。従来、金属はそのほとんどが熱と電気の良導体である光沢のある固体として表現されてきました。金属は延性を持ち、ほとんどが高温で溶融します。金属や合金の形状は、金属合金や複合材料の調製、修飾、および化学的変換にも使用することができる機械的処理によって容易に変えることができます。

金属・合金

金属酸化物・塩類:

酸素は、地表付近で最も多く存在する元素であり、電気陰性度が高く反応性が高いためほとんどの元素と結合します。地球の地殻の大部分は酸化物です。大気中に酸素が豊富に存在することから、酸化物も地球上で身近に多く見られる化合物であり、通常純金属と思われているものの表面はその酸化物で覆われていることが多くあります。代表的な金属の酸化物は、一般に安定な物質であり、しかも環境にやさしい物質です。太古より、セメント、ガラス、磁器などの汎用品の成分として使用されてきました。金属酸化物は金属の直接酸化でも得られますが、金属塩類などの化学的処理によって得えられます。たとえば、アルコキシド、アセチルアセトナト、酢酸系の金属化合物を用いてゾルゲル法によって酸化物が作製されます。また、シュウ酸塩を熱分解すると反応条件に応じて構造的な金属酸化物、炭酸塩、金属のいずれかとなります。アルコキシド、アセチルアセトナトなどはCVDやALDによる酸化物薄膜の前駆体として用いられます。

金属酸化物・塩類
 

機能性無機材料については、弊社季刊誌「Material Matters」の各論文をご参考ください。

高純度無機化合物

米国イリノイ州アーバナにあるアルドリッチ製造施設では、ハイテク用途からセラミクスにいたる幅広い用途に使用される超高純度無機化合物を製造しています。その製品ラインナップはアルカリ土類、遷移金属、希土類金属など、ほとんどの金属元素を含む化合物が対象となっています。アルドリッチが持つ、金属に関する独自の合成および精製技術により、最高99.9999%の高純度金属化合物を供給することが可能です。

無機ビーズ材料

ビーズ材料は従来の粉末と比較して表面積の低い、滑らかな球状の粒に加工された人工的な粉末の一種です。流動性の高いこのビーズは空気中の精密な作業に理想的な材料で、水分吸収量を減らし、凝集や粉の飛び散り、帯電を最小限にします。粒状の材料は微粉末に対していくつかの長所を持っており、坩堝への充填量を増やすことが出来るだけでなく、高温での固相反応における揮発が少なくなります。さらに、ビーズ材料は細い試料チャンバーに空気圧で充填することが可能で、微粉末では問題となる沈殿や目詰まりを防ぐことが出来ます。

高純度無水無機材料の応用例には、シンチレーションや放射線検出にCeCl3429406)やYCl3450103)などの希土類ハロゲン化物が用いられるほかに、発光材料の原料としての利用などがあります2-4。さらにビーズ材料は、リチウムイオン伝導体(LiI、450952)の合成や色素増感太陽電池(ヨウ素、451045)の作製にも用いられています5-6

アルドリッチでは、酸素や水分に敏感な用途で取り扱いの簡単なビーズ製品を幅広く取り扱っております。その種類は、無機塩類、金属ハロゲン化物、合金、共晶混合物、純金属にわたります。アルドリッチのビーズ材料は、高純度(99.9 - 99.999%)で水分含有量が低く、高い単分散性(D50の厳格な管理など)といった特徴を持っています。超無水高純度塩類は不活性環境下でパッケージングされ、ガラスや石英アンプルに封入されています。弊社独自のビーズ化技術によって、CsCl/NaCl(2:1、555282)やLiCl/KCl(1:1、479330)などの多成分固溶体や共晶混合物の製造が可能です6

高純度無機化合物イメージAldrichビーズ材料の外観

高純度無機材料については左記のページおよびPDFもご参考ください。

セラミックス

セラミックスは非金属の無機材料で、通常は粉状であり焼結してさまざまな形状にして利用されます。セラミックスは、アモルファスから多結晶、単結晶まで広範な構造を持ち、一般に非常に硬い反面、脆いために、機械的な応力を加えると壊れやすい傾向を持ちます。セラミックスは非金属であるので、通常は非導体かバンドギャップの広い半導体ですが、ドーパントを添加してバンドギャップを狭めることで半導体にすることも可能です。また多くの場合、セラミックスは高温で特筆すべき熱安定性を示します。

例えば、炭化ケイ素(SiC)は優れた高温特性を持っていますが、機械的に脆弱であるために、構造材料としての利用には限界があります。板状のSiCにミクロン厚のアルミナ(Al2O3)を塗布すると、従来のSiCセラミックスの2~3倍強い複合材料が得られます。その結果、高温構造に適合するストレス耐性と酸化耐性を持つ材料になります8。炭化ケイ素は、他の構造材料の特性改善にも用いられます。たとえば、SiCの単繊維を分散させたチタン複合材料は、航空機の部材に使用される堅くて強い熱安定性を持つ構造材料になります9

アルミナは、その化学的、電気的、機械的、および熱的特性によって、一般的によく利用される多用途の構造セラミックスの一つです。ただし、破砕耐性は弱く、イットリアで安定化したジルコニアをアルミナに加えると、Al2O3の破砕強度が大幅に向上します10

References

  1. F. A. コットン; G. ウィルキンソン; P. L. ガウス 基礎無機化学[原著第2版]、培風館
  2. van Loef, E.V.; Wilson, C.M.; Cherepy, N.J.; Hull, G.; Payne, S.A.; Woon-Seng, C.; Moses, W.W.; Shah, K.S. IEEE Trans. Nucl. Sci. 2009, 56, 869.
  3. Cherepy, N.J.; Payne, S.A.; Sturm, B.W.; Kuntz, J.D.; Seeley, Z.M.; Rupert, B.L.; Sanner, R.D.; Drury, O.B.; Hurst, T.A.; Fisher, S.E.; Groza, M.; Matei, L.; Burger, A.; Hawrami, R.; Shah, K.S.; Boatner, L.A. IEEE Nucl. Sci. Conf. R 2010, 1288.
  4. Matson, D.W.; Graff, G.L.; Male, J.L.; Johnson, B.R.; Nie, Z.; Joly, A.G.; Olsen, L.C. Thin Solid Films 2010, 518, 3194.
  5. Maekawa, H.; Fujimaki, Y.; Shen, H.; Kawamura, J.; Yamamura, T. Solid State Ionics 2006, 177, 2711.
  6. Lewis, L.N.; Spivack, J.L.; Gasaway, S.; Williams, E.D.; Gui, J.Y.; Manivannan, V.; Siclovan, O.P. Sol. Energ. Mat. Sol. C 2006, 90, 1041.
  7. Nagai, T.; Uehara, A.; Fujii, T.; Shirai, O.; Myochin, M.; Yamana, H. Radiochimica Acta 2008, 97, 209.
  8. Berkeley Lab, the Materials Science Division, the University of California (http://www.lbl.gov/msd/PIs/DeJonge/94Hi.html, accessed 3/31/03).
  9. Williams, J.C. The Production, Behavior and Application of Ti Alloys, pp 85-134; In High Performance Materials in Aerospace; Flower, H.M., ed.; Chapman & Hall, London; 1995.
  10. Mangalaraja, R.V. et al. Mat. Sci. Eng. A 2003, 343, 71.
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