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導電性ポリマー(ICP:Intrinsically conducting polymer)とは、分子の主鎖に沿って拡張π電子共役系を持つポリマーであり、ドーピングによってその導電性を半導体状態から金属状態まで数桁のオーダーで変化させることができます。p型ドーピングは、化学的酸化や電気化学的手法を用いてポリマーを部分酸化し、「正孔」を形成することで結合性p軌道(HOMO)の電子不足が生じます1。ポリピロールやポリアニリンはドープ型が安定ですが、ポリチオフェンなど一部のポリマーは非ドープ型でも安定です。導電性ポリマーは有機ELや有機太陽電池、エレクトロクロミックデバイス2のようなプリンタブルエレクトロニクスの用途に加え、トランジスタ3、電荷散逸(帯電防止)層、導電性複合材料、アクチュエーター(人工筋肉)4、化学/バイオセンサー5,6の研究にも応用されています。各導電性ポリマー・モノマーの製品リストは、USサイトのWebカタログ「ポリチオフェン:ポリマー、モノマー、PEDOTなど」、「オリゴチオフェン」、「ポリピロール」、「ポリアニリン」をご覧ください。
ポリチオフェンPEDOT(ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン))を含むポリチオフェンは、良好な導電性、ドープ型(導電性)での優れた環境安定性、および薄膜として使用した場合の光透過性などを兼ね備えた、最も一般的に使用されている導電性高分子のひとつであり7、発光ダイオード(LED)や電界効果トランジスタ、太陽電池などで応用されています。3-アルキルチオフェンは非対称の構造のため、結合位置の種類が混在するとアルキル基の立体反発によってよじれた構造となり、全体として導電性が低くなります。一方、重合中に2-5’結合(head-to-tail)が連続すると同一平面内の立体配座をもつ「regioregularポリ(3-アルキルチオフェン)」となり、低いバンドギャップをもつ高度に共役したポリマーを得ることができます8,9,10。
オリゴチオフェン17オリゴチオフェンとその機能性誘導体は、有機ELや有機電界効果トランジスタ、有機太陽電池などの幅広いハイテク用途で用いられており、オリゴチオフェン骨格の官能基化によって電子特性の細かな調整が可能となります18。これら官能化オリゴチオフェンはさまざまな反応によって合成中間体から合成されます。特に、鈴木-宮浦カップリングは工業スケールの合成に適した反応です19。鈴木-宮浦カップリングの特長には、スケールアップしても予測可能な反応であることや用いる化合物の毒性が低いこと、金属不純物の除去が簡単なことなどが挙げられます。さらに、カップリング反応に用いられる化合物が広く市販されており、さまざまなオリゴチオフェンの合成が容易であることもその理由となっています。図2にはオリゴチオフェンビルディングブロック化合物のさまざまな合成経路を示しました。最終的には鈴木-宮浦カップリング反応によって、パラジウム触媒および塩基の存在下で有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物を反応させることで、官能化オリゴチオフェンを合成します。図3にはオリゴチオフェンの代表例を示しました。
ポリピロールポリピロール(PPy)はポリチオフェンと比較して低い酸化電位を持ち、膜形成特性に優れ、水媒体とも非常に高い適合性をもちます。化学的および熱安定性が高く、誘導体や共重合体、カウンターアニオンによって物理的、電気的特性を調整することが可能です11。電池や化学センサー、イオン選択性電極などの表面に容易に固定化することが可能です。また、ポリピロールは生体適合性を示し、生物電気化学やバイオセンサーの研究分野でも利用されています12。
ポリアニリンポリアニリン(PANI)はエメラルジンとしても知られており、一般的には、アニリンの電界重合や、アニリン塩酸塩とペルオキソ二硫酸アンモニウムの各水溶液を混合することによって容易に合成することができます13。PANIは異なる化学的、物理的特性を示すさまざまな形態をもつことのできる導電性ポリマーで、環境安定性および熱安定性を有します14,15。PANIは3つの安定な酸化状態で存在し、ドープされたエメラルジン塩型のPANIは非常に高い導電性を示し、高分子LED(PLED)や有機太陽電池(OPV)の正孔注入層16として用いられています。アルドリッチでは安定なドープ型・非ドープ型のPANIを幅広く取り揃えており、PANI用のドーパント化合物も販売しております。
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