有機エレクトロニクス材料

高効率光吸収材料:スクアライン色素

Siyi Wang, Mark E. Thompson, and Kanth V.B. Josyula

† Department of Chemistry, University of Southern California, Los Angeles, CA 90089
‡ New Products R&D, Sigma-Aldrich Co. LLC, 6000 N. Teutonia Ave, Milwaukee, WI 53209

Material Matters 2012, 7(1), pp.11 → PDF版

スクアライン色素

有機太陽電池(OPV:organic photovoltaic)は低コストで軽量、柔軟性のある再生エネルギーデバイスとして有望なことから、その研究には大きな関心が集まっています。太陽電池研究で高性能有機太陽電池を得るための重要な手法の一つが、新規材料の探索です。ここでは有機太陽電池に応用可能な高効率光吸収材料としてのスクアライン色素について簡単に解説します。

スクアラインはスクエア酸の1,3-誘導体で、スクアリン酸の縮合化合物であり、電子の豊富な芳香族あるいは複素環化合物です。スクアライン色素の溶液は太陽光スペクトルの可視光(赤)から近赤外(NIR)領域で鋭く強い吸収を示します。より重要な点はスクアライン薄膜の吸収がきわめて広範であることで、太陽光の吸収には大きな利点となります。近年、新たな高純度スクアライン化合物が合成されています1。2,4-bis[4-(N,N-diisobutylamino)-2,6-dihydroxyphenyl]squaraine(SQ758337)は、真空蒸着法と溶液処理法による有機太陽電池のいずれにおいても、高性能ドナー材料としての利用が可能です2。SQとPC70BM(C70-フラーレンアクセプター)とを組み合わせて用いた場合、5.5%という高い電力変換効率が得られていますが、これは主として高い開放電圧、大きな短絡電流密度、大きな曲線因子によるものです3。また、ジイソブチルアミノ置換基をジフェニルアミノ基で置き換えた2,4-bis[4-(N,N-diphenylamino)-2,6-dihydroxyphenyl]squaraine(DPSQ757233)は溶解性が改善され、溶液処理によって電荷キャリア移動度の高い有機太陽電池が作製されました。HOMOエネルギーがSQより0.2 eV深いDPSQによって、より開放電圧が高い、つまりより高いデバイス性能をもつ有機太陽電池デバイスの作製が期待されます(図14

スクアライン色素を用いたOPVの各種特性

図1 A) ITO/MoO3 (80 Å)/SQ(85 ± 5 Å)/C60(400 Å)/3,4,9,10-perylenetetracarboxylicbisbenzimidazole(PTCBI, 80 Å)/Ag (1000 Å)の構造をもつ、SQ/C60とDPSQ/C60電池(as-cast)の1 Sun照射における電流密度(J)と電圧(V)特性 B) 外部量子効率(EQE)のグラフ

このように、これらスクアライン誘導体を有機太陽電池デバイスの光吸収材料として用いた初期段階の研究では、従来のスクアライン化合物に比べて電荷キャリア移動度が向上し、開放電圧が高くなることがわかりました。現在、この低分子化合物を用いた、さらなるデバイス性能の最適化が行われています。

     

References

  1. Wang, S. Y.; Hall, L.; Diev, V. V.; Haiges, R.; Wei, G. D.; Xiao, X.; Djurovich,P. I.; Forrest, S. R.; Thompson, M. E., Chem. Mater., 2011, 23, 4789.
  2. Wang, S. Y.; Mayo, E. I.; Perez, M. D.; Griff e, L.; Wei, G. D.; Djurovich, P. I.; Forrest, S. R.; Thompson, M. E., Appl. Phys. Lett., 2009, 94, 233304.
  3. Wei, G. D.; Wang, S. Y.; Sun, K.; Thompson, M. E.; Forrest, S. R., Adv. Energy Mater., 2011, 1, 184.
  4. Wei, G. D.; Xiao, X.; Wang, S. Y.; Sun, K.; Bergemann, K. J.; Thompson, M. E.; Forrest, S. R., Manuscript in preparation., 2011.
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