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有機エレクトロニクス材料

有機太陽電池・有機EL用無機プリンタブル界面層インク

Samuel Halim, Ph.D.

Nanograde AG, Switzerland

はじめに

有機太陽電池(OPV:organic photovoltaic cell)や有機EL(OLED:organic light-emitting diode)照明などの有機エレクトロニクスデバイスは、商業化に向けて開発が加速し続けていますが、広範かつ汎用のアプリケーションとしてマスマーケットに完全に受け入れられるためには、生産コストの大幅な低減が必須です。そのための有望な方法として、印刷可能なインクなどの材料で溶液プロセスによるデバイス製造が挙げられます。材料製造には以下の項目が課題となります。

  • 産業用加工技術でプリンタブルであること
  • 優れたデバイス性能を示すこと
  • 低コストで大量生産可能であること

活性層が光を電荷に変換(OPVの場合)または電気を光に変換(OLEDの場合)する一方で、デバイス効率はOPVやOLEDの界面層によって決定されます。例えば、正孔選択性界面層は活性層と電極の間で正孔を良好に伝達して電子をブロックし、電子選択界面層は効率的に電子を伝達して正孔をブロックします。溶液プロセス可能な最新の材料として、PEDOT:PSS、正孔選択性有機材料、および正孔選択性有機材料と電子選択材料としてのソルゲル成膜酸化亜鉛(ZnO)が挙げられます。

PEDOT:PSS をはじめとするポリマー材料の主な欠点は、デバイスの安定性に悪影響を与える酸性度と、その有機物特有の性質(例えば、相対的に劣る化学的安定性)です。ゾルゲルZnOの主な欠点は、短い保存安定性、再現性の欠如、および高いアニール温度です。これら欠点を改善し、商業ベースで利用可能な材料の開発が強く求められています。

無機電荷選択性インクは、スロットダイコーティングまたはスピンコーティングなどの印刷技術を用いて、フレキシブル基板または通常の基板上に溶液処理で有機太陽電池または有機ELを作製可能であり、コスト効率の高い材料として有望です。現在、インクジェットまたはスクリーン印刷可能なこれら次世代インクが開発されており、酸化亜鉛ナノ粒子インク(N-10、793361)、アルミニウムドープ酸化亜鉛ナノ粒子インク(N-10X、793388)、およびタングステン酸化物ナノ粒子インク(P-10、793353)は、80℃での処理を可能にするナノ粒子ベースの印刷用インクが販売されています(表11-9

表1 ナノ粒子ベースの印刷用インクの一例

Aldrich Prod. No. Solid composition mean primary particle size
(nm)
Mean hydrodynamic particle size
(nm)
Viscosity
(cP)
Surface tension
(mN/m)
Work function
(eV)
Process Application
793361 ZnO 12 14 2.5 24 4.2 Slot-Dye & Spin Coating ETL, EIL (OPV, OLED)
793388 Al:ZnO 16 17 2.5 24 4.2 Slot Dye & Spin Coating ETL, EIL (OPV, OLED)
793353 WO3 15 23 2.5 24 5.4 Slot Dye & Spin Coating HTL, HIL (OPV, OLED)

(固体含有量はすべて2.5wt%。すべてのデータは一般値であり、規格を保証するものではありません)

ナノ粒子ベースの印刷用インク

酸化タングステン ナノ粒子インク(P-10、793353)は、酸化タングステン(WO3)ナノ粒子をイソプロパノールに分散させたコロイド懸濁液の正孔選択性界面層インクです。酸化亜鉛ナノ粒子インク(N-10、793361、イソプロパノール溶液)は、電子選択性界面層インクであり、一方、793388(N-10X)は、無機界面層の導電率を高めるアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:aluminum-doped zinc oxide)を含有します。

これらの無機インクは安定であり、有機ELと有機太陽電池のコーティング用に最適化されています。また、有機電子デバイスの電子的性質に悪影響を与える恐れのある界面活性剤/分散剤が含まれていないため、プラズマまたはオゾン処理などで界面活性剤を除去することなく、100℃未満の温度でプロセス処理が可能です。

ZnO、AZO、およびWO3粒子の平均粒度は、約12~16 nmで最適化されています。固体無機物質の濃度に応じて、通常のコーティング方法(例えば、スロットドライコーティング、ドクターブレーディング、またはスピンコーティング)によって15~200 nmの乾燥フィルムが得られます。

通常および逆構造型有機太陽電池セルへの応用

有機太陽電池(OPV)セルは、光活性層が2つの電極の間に挟まれた積層構造をとります。正孔抽出層(HEL, hole extraction layer)と電子抽出層(EEL, electron extraction layer)は、活性層と電極の間の効率的な輸送を確保します。

1つのセルモジュールは、通常型と逆構造型の2つの異なるOPV構造が可能です(図1)。通常のセルでは、一般に、インジウムスズ酸化物(ITO)が陽極として用いられ、仕事関数がITOよりも低い金属(例えば、アルミニウム)が陰極として用いられています。逆構造型セルでは、陰極は通常ITOであり、陽極としてITOよりも仕事関数が高い金属(例えば、銀)が用いられています。逆構造型OPVモジュールはより高い安定性を示す傾向にあり、概してより高い効率を示します。

有機太陽電池セル構造の模式図

図1 有機太陽電池セル構造の模式図(通常型と逆構造型)

高い仕事関数、優れた加工性、ならびに親水性基板および疎水性基板の両方に対して層形成可能であるという利点により、WO3ナノ粒子インク(P-10、793353)をHEL材料としてOPVセルに利用することができます。ZnOとAZOナノ粒子インク(N-10とN-10X、793361793388)は、同じような理由からEEL材料として機能します。これらのインクは、逆構造型OPVセルと同様に通常型OPVセルにも適用可能です。OPVセル用正孔選択性界面層および電子選択性界面層として評価した結果、PEDOT:PSSなどの材料と同等またはより優れた性能を示しており、完全溶液プロセスモジュールに問題なく利用可能であることが明らかになっています。

無機界面層インクの利点

  • さまざまなコーティング技術(例えば、スロットダイ法、ドクターブレード法、スピンコーティング法)による溶液処理が可能
  • 低いアニール温度(100℃未満)
  • 疎水性基板上であっても良好なぬれ性(例えば、光活性層の上面)
  • 保存安定性
  • 高いバッチ間再現性(粘度、ぬれ性、粒径に関して)
  • 腐食性・反応性の高い化学物質を含まない(有機光活性材料にダメージを与えない)
  • 無機物質のため分解しにくい
  • 酸化タングステンナノ粒子インクはPEDOT:PSSと混合して、電子特性や形態の調整が可能
     

References

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  9. Chen et al. An Effi cient Triple-Junction Polymer Solar Cell Having a Power Conversion Efficiency Exceeding 11%, Adv. Mater., 2014, 26, 5670–5677.
  10. Yiling Wang et. al. Solution-Processed MoO3:PEDOT:PSS Hybrid Hole Transporting Layer for Inverted Polymer Solar Cells, ACS Applied Materials & Interfaces, 2015, 7(13), 7170-7179.
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