有機エレクトロニクス材料

ナノテクノロジーにおける色素

Sean Dingman

ChemFiles 2006, 5(8), pp 3.

ナノテクノロジーと色素

色素のテクノロジーは古代中国にまでさかのぼることのできる技術です。また、中世ヨーロッパの錬金術師はその不可思議で超常的な試みに金コロイドを使いました。これらの技術が今日の科学の目覚しい発展につながっているのです。最近の文献では、色素とナノ材料を組み合わせることで、それぞれを単純に合わせた以上の材料特性が得られることが示されています6

Ichinoseらは、表面が著しく正に帯電した水酸化カドミウムのナノスケールのストランドについて発表しています1。このナノストランドは、エバンスブルー(E2129)、コンゴレッド(C6767)、ダイレクトイエロー50、DATSのようなアニオン性色素と相互作用します。そして、この相互作用によってナノ合成物が自然形成されるのですが、ここで色素はCd(OH)2とストランドの間で「分子ファスナー」の働きをしています。これらの色素はポリアニオン系であるため、色素によっていくつかのナノストランドが一緒に引き付けられて結び付き、興味深い光学的特性を持つ多層ナノファイバーを形成します。

Nolteらは、液晶ベースのセンサーならびに太陽電池としても機能する自由に調節可能な層を作る方法について報告しています2。この場合、フェニルトリエトキシシラン(175609)または3-アミノプロピルトリエトキシシラン(440140)などの誘導体分子をITO基板上で自己集合させます。亜鉛-フタロシアニン色素(459720)と配位するようにルイス塩基部分を含んだ分子が自己集合することで、液晶の配向性が高くなります。ナノ層状構造の特性は層の高さを変えることで調整することができます。

ナノテクノロジーの説明に、カーボンナノチューブは欠かせません。Maoらは、メチレンブルー(MB)色素(28514)と単層カーボンナノチューブ(SWNT)の相互作用について報告しています3。MBは平らなポリエン構造で、π‐π相互作用を通じてSWNTのグラフェン構造に引き付けられます。この結果生じる合成物は、MBが電子受容体でありSWNTが電子供与体となる電荷移動特性を示します。更に、MBはナノチューブと共有結合することなくSWNTを水溶性にします。プロセス加工が可能で電気化学的に活性であるこのSWNTは、光電池やバイオセンサーに応用できる可能性があります。

その他の色素/ナノ技術の応用としては、半導体の量子ドット上で分子スイッチの役割を果たす色素4や、バイオ蛍光用の無毒性量子ドットとして機能する色素/シリカナノ粒子5などがあります。

References

  1. Luo, Y. H.; Huang, J.; Ichinose, I. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 8296.
  2. Hooganboom, J.; Garcia, P.; Otten, M.; Elemans, J.; Sly, J.; Lazarenko, S.; Rasing, T.; Rowan, A.; Nolte, R. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 11047.
  3. Yan, Y.; Zhang, M.; Gong, K.; Su, L.; Guo, Z.; Mao, L. Chem. Mater. 2005, 17, 3457.
  4. Zhu, L.; Zhu, M.; Hurst, J.; Li., A J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 8968.
  5. Ow, H.; Larson, D.; Srivastava, M.; Baird, B.; Webb, W.; Wiesner, U. Nano. Lett. 2005, 5, 113.
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