有機エレクトロニクス材料

高純度P3HT高分子有機半導体

はじめに

太陽光発電と固体照明(SSL:solid-state lighting)は、実用可能な代替エネルギー技術として期待されているテクノロジーです。プリントエレクトロニクスによる低コストの生産方法と太陽光、固体照明パネルが組み合わさって、経済的にも環境的にも現在及び将来のエネルギー問題を解決できるかもしれません。太陽光発電(OPV:organic photovoltaic)や有機EL素子(OLED:organic light emitting diode)の研究は、試験デバイスで確実に動作する高純度有機化合物を見つけることができるかにかかっています。「Plexcore® OS 有機半導体」はポリチオフェン(P3HT)をベースとした有機エレクトロニクスデバイス開発用材料です(現在販売を終了いたしております。ご了承ください)。

Plexcore OS P3HT 有機半導体

Plexcore OS 2100とOS 1100は、化学的にはどちらもp型有機半導体であるレジオレギュラー型半結晶性ポリ(3-ヘキシルチオフェン)ポリマー(P3HT、RR-P3HT)で、分光学的にも電子的にも優れた性質を示します(図1)。独自の製造方法によって、分子量(Mw)、多分散指数(PDI:polydispersity)、regioregularity、金属不純物などに関するロット間の違いを小さくすることが可能となりました。ロットごとの一貫性は、プラスチックデバイスの導電性をはじめとするパフォーマンスの再現性を維持するのに重要な要素です。

表1 Plexcore OS 1100 と Plexcore OS 2100

Aldrich
製品番号
製品名
(Tech Bulletin)
分子量
(Mn)
PDI
(Mw/Mn)
Regioregularity
(RR)
金属含有量 サイズ
698989 Plexcore OS 1100
(AL-248 : 80KB)
15,000 - 45,000 < 2 > 95% < 50 ppm 250mg, 1g, 5g
698997 Plexcore OS 2100
(AL-250 : 208KB)
54,000 - 75,000
< 2.5 > 98%

*Products of Plextronics, Inc., U.S. Pat. 6.166.172. Plexcore is a registered trademark of Plextronics, Inc.

P3HT - Plexcore OS 2100の太陽光発電素子への応用

Plexcore OS 2100は、OS1100と比べて高分子量であり、太陽光発電素子(OPV)への応用のために開発された、超高純度(<50 ppm trace metals)でregioregularity(>98% head-to-tail)なP3HTポリマーです(図2)。さらに、OS 2100は大面積のデバイスプロセス用のプリンタブルインクとして設計されています。そのため、スケールアップした場合にも一貫性や再現性に優れています。

PlexcoreOS構造式 太陽光発電セル
図1 Plexcore OS 図2 Plexcore OS 2100を用いてプリントした太陽光発電セル

図3aは、太陽光発電素子の積層構造の模式図です。光活性層は[6,6]phenyl C61 butyric acid methyl ester(PCBM、684449など)とPlexcore OS 2100の混合物で構成されています。この混合物は光活性インクとして作成され、正孔輸送層(hole transport layer: HTL)の上にスピンコートすることで太陽光発電素子を作成しました。この素子の活性層中のP3HT-PCBMバルクへテロ接合によって優れた電荷分離(励起子解離)が起こり、素子の電極へと効率的に電荷が移動します。

下記の電流-電圧曲線(図3b)は、国立再生可能エネルギー研究所(the National Renewable Energy Laboratory: NREL)で認定された、Plexcore OS 2100を用いた典型的なP3HT-PCBMのパフォーマンス示したもので、3.39%の変換効率です。これはP3HT-PCBMの典型的な性能で、太陽光発電システムを最適化することでより高いパフォーマンスを達成することができます。たとえば、約4.4%の電力変換効率のデバイスをすでに作成済みです1

太陽光発電素子の積層構造

図3a P3HT-PCBM太陽光発電素子の積層構造
(ITO: Indium Tin Oxide、PCBM: [6,6] phenyl C61 butyric acid methyl ester(684449)、Ca/Al: Calcium / Aluminum)

電流-電圧曲線

図3b 典型的なPlexcore® OS 2100太陽光発電セルの電流-電圧曲線

P3HT - Plexcore OS 1100の有機電界効果トランジスタへの応用

Plexcore OS 1100は、OS 2100と比べて低分子量であり、有機電界効果トランジスタ(organic field effect transistors: OFET)の活性層用に最適化されたP3HT高分子半導体です。P3HT-OFETは一般的にボトムゲート構造(図4a)にて使用されますが、他のデバイス構造でより高いホール電流を運ぶことも可能です。たとえば、チャネルの長さが10ミクロンで幅10,000ミクロンの典型的なボトムゲート型OFETでキャリア移動度:5×10-4 cm2/Vs、ON/OFF比:104という結果が得られています。具体的なデバイスの性能はP3HT膜の形態、つまり、コーティング条件とregioregularityを含むポリマーの性質に影響されます。図4bにボトムゲート型OFETの一般的な性能を示します。

太陽光発電素子の積層構造

図4a Plexcore OS 1100を用いたボトムゲート型OFETの模式図

電流-電圧曲線

図4b Plexcore OS 1100を用いたボトムゲート型OFETの性能図

ポリ(3-アルキルチオフェン)や関連製品については左記のページもご参考ください。
     

References

  1. Li, G.; Shotriya, V.; Huang, J.; Tao, Y.; Moriarty, T.; Emery, K.; Yang, Y.; High-Efficiency Solution Processable Polymer Photovoltaic Cells by Self-Organization of Polymer Blends, Nature. Mater. 4, 2005, 864-868.
Redi-Driのご案内