高分子材料

ニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)

Nam S. Lee and Karen L. Wooley

Departments of Chemistry and Chemical Engineering, Texas A&M University

精密ラジカル重合は、高分子のサイズや構造、組成、アーキテクチャの優れた制御と実験上の利便性とを兼ね備えた、高分子化学の研究になくてはならない反応です。この種の重合のリビング特性によって、制御された分子量や狭い分子量分布を持つポリマーの合成が可能になるだけでなく、さらに、異なる種類のモノマーを用いて分子鎖を成長させることで、マルチブロック共重合体を得ることができます。ニトロキシドを介したラジカル重合(NMP)は、このような制御されたラジカル重合反応の一つですが、その他の代表的な例には、原子移動ラジカル重合(ATRP)や可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合があります。NMPはその簡便さが最大の利点であり、外部ラジカル源や金属触媒がなくても、熱的に重合が開始します。

NMPに関する飛躍的な進歩の一つに、単一の分子から、重合を開始する反応性ラジカルと、反応を媒介する安定ニトロキシドラジカルの両方を供給することの可能なアルコキシアミンの単離があります1。Hawkerは汎用開始剤(Univeral Initiator)を開発し2、世界中の研究室で応用されており、現在、この汎用NMP開始剤(USサイトの製品リスト)はアルドリッチから販売されています。

我々は水中での両親媒性ブロック共重合体の自己組織化によるナノスケール物質の構築のために、汎用開始剤(700703)を、5当量パーセント未満の対応するニトロキシド(710733、重合中にポリマー末端の成長をキャッピングしやすくするために添加)存在下で使用し3、制御された分子量と狭い分子量分布を持つ両親媒性ジブロック共重合体前駆体とpoly(tert-butylacrylate)-b-poly(4-acetoxystyrene)を合成しました(スキーム1)。(以降実験の詳細は、弊社季刊誌「Material Matters Vol.5 No.1 最新高分子合成」の12ページをご覧ください。)

汎用NMP開始剤を用いた両親媒性ジブロック共重合体の合成

スキーム1 汎用NMP開始剤を用いたpoly(tert-butyl acrylate)の合成と、poly(tert-butyl acrylate)-b-poly(4-acetoxystyrene)の合成

精密ラジカル重合については左記のページもご参考ください。
     

References

  1. Hawker, C. J. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 11185.
  2. Benoit, D.; Chaplinski, V.; Braslau, R.; Hawker, C. J. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 3904.
  3. Lee, N. S.; Li, Y.; Ruda, C. M.; Wooley, K. L. Chem. Commun. 2008, 42, 5339.
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