RAFT重合

官能化ポリマーの精密重合に用いられる新規RAFT剤

商業規模で利用可能なRAFT剤

低コスト、高純度で高効率の可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT:Reversible Addition/Fragmentation Chain Transfer Polymerization)剤の供給は、RAFT重合技術を工業的に使用する上で不可欠な要素です。多くのRAFT剤が実験室規模の重合反応に使用されていますが、商業的な利用には、低コスト、低臭性で高純度のRAFT剤が工業規模で使用できることが不可欠です。

新たに販売された新規RAFT剤(900152900161900150900157900158)は、多用途性に優れ、低臭から無臭、低コストのRAFT剤で、グラムからトン単位での入手が可能となりました。

RAFT剤–選択表

モノマーおよび反応条件に応じてRAFT剤を選択することが、RAFT重合を行う上で極めて重要です。RAFT剤の有効性は置換基RおよびZで決まります。以下のRAFT剤–モノマー適合表は、最適なRAFT剤を簡単に選択するための指標となります。

RAFT剤の構造

RAFT剤–選択表

水溶性および有機溶媒可溶性RAFT剤

  • 900161は、水溶性かつ有機溶媒可溶性のRAFT剤です。第二級(スチレン、アクリラート、アクリルアミド)および第三級(メタクリラート、メタクリルアミド)の「高活性なモノマー(MAM:more activated monomer)」に対して分子量の制御に優れ、低い多分散度(<1.1)が得られます。水溶液中およびエマルション中での重合の場合、これらMAMからモノマーを柔軟に選択できる900161の使用が推奨されます。
  • 900152も水溶性と有機溶媒可溶性の両方を有するように設計されており、第二級MAMの重合を検討する場合に選択されるRAFT剤です。このRAFT剤を使用すると、非常に低い多分散度(<1.1)が得られます。

ピラゾール系RAFT剤

ピラゾール系RAFT剤は、電子的に全く異なる多様なモノマーのグループを使用した多機能性ポリマーの需要に応えるRAFT剤です。これらのRAFT剤は有機溶媒に可溶であり、無臭(チオール非含有)です。末端基の安定性を向上すると同時に末端基の除去にも対応します。

  • 900150は、第二級「高活性なモノマー(MAM)」および第二級「低活性なモノマー(LAM:less activated monomer)」(ビニルエステル、ビニルアミド)の単独重合、共重合、およびブロック共重合を行うために選択されるRAFT剤です。単独重合またはブロック共重合に使用する場合、第二級LAMの重合制御を可能にするため、最初に第二級MAMを含む短いブロックが必要です。
  • 900157は「多用途RAFT剤」と称され、3クラス全てのモノマーの重合を行うことができます。このRAFT剤は分子量の制御に優れており、第二級MAMの場合は低い多分散度(<1.1)、第二級LAMの場合は中程度の多分散度(1.1~1.3)が得られます。LAMの単独重合またはブロック重合の場合は、第二級LAMの重合制御を可能にするため、最初に第二級MAMを含む短いブロックが必要です。900157は、第三級MAMの単独重合、共重合、ブロック共重合を行うことができます。ただし、このRAFT剤を使用すると分子量は良く制御できるものの、多分散度は大きくなります(>1.3)。多分散度があまり重要ではない用途では、900157は多用途RAFT剤として推奨され、これら3タイプのモノマーの重合を「切り替える」必要なく行うことができます。
  • 900158も「多用途RAFT剤」であり、3クラス全てのモノマーの重合を行うことが可能です。多分散度が重要な用途では、このRAFT剤が推奨されます。分子量の制御に優れ、第二級MAMでは低い多分散度(<1.1)、第三級MAMおよび第二級LAMでは中程度の多分散度(1.1~1.3)が得られます。したがって、電子的に異なる多様なモノマーを使用した多機能性(ブロック)共重合体の精密合成を商業規模で行うことができます。LAMの単独重合またはブロック重合の場合は、第二級LAMの重合制御を可能にするため、最初に第二級MAMを含む短いブロックが必要です。

要約

今回取り上げたRAFT剤は、商業用および研究開発用に利用可能です。多用途性に優れ、低臭から無臭、低コストであるこれらRAFT剤を、グラムからトン単位で入手することが可能です。このRAFT剤–選択表は、RAFT技術により最高の重合結果を得るための、最適なRAFT剤の選択ができることを目的として作成されたものです。

     
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