低分子とは、分子量の小さい(通常900ダルトン未満)化合物を指します。一般的な低分子の例として、アミノ酸、脂質、糖、脂肪酸、アルカロイドなどが挙げられます。
低分子の分離には、さまざまな方法が利用可能です。これには高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー(LC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、キャピラリー電気泳動(CE)が含まれます。加えて、同定のためのオプションには核磁気共鳴分光分析(NMR)、質量分析(MS)、単結晶X線構造解析(SC-XRD)が含まれます。液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)は、ここ数年の間に、重要な低分子同定技術になりました。
低分子の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、UHPLCまたはLC-MS分析において最良の結果を得られるかどうかは、最も適した固定相と移動相の条件を選ぶことで決まります。分析対象物質の化学的性質が、最適な化学的性質のカラムを選ぶ際に重要になります。その他、速度、サンプルマトリックスおよび化合物の数などの要素により、固定相の最適な基材を決定します。
低分子の分析では逆相HPLCが最も多く用いられます。極性化合物の分離には、親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)および順相クロマトグラフィーが同程度に適していますが、HILICのほうが好まれます。イオン性化合物の分離にはイオン交換法、無機陰イオンまたは陽イオンにはイオンクロマトグラフィーも使用可能です。
HPLCカラムには全多孔性シリカ粒子、表面多孔性シリカ粒子、ポリメリック粒子のいずれかが充てんされているか、または固定相としてのロッド型モノリスシリカからなります。加えて、酸化アルミナ、ジルコニア粒子およびカーボン粒子が用いられます。低分子分離用固定相材料の孔径は通常、60 Å~160 Åの範囲です。HPLC用固定相の粒子サイズは通常3 µm~5 µmの範囲ですが、UHPLC用では通常2 µm以下のより小さい粒子が用いられます。異なるカラム選択性(修飾)を固定相に付加することができます。逆相(RP)クロマトグラフィーでは、C18アルキル基でカラムを化学修飾することが最も一般的です。しかし、それ以外にC30、C8、フェニル基、ペンタフルオロフェニルプロピル基(PFPP/F5)およびより極性を高めるためのさまざまな修飾に加えて、イオン交換またはキラル性を付与することにより、液体中に溶解しているほぼすべての化合物を分離することが可能になります。RP-HPLCの移動相には通常、緩衝液または水ならびにアセトニトリルやメタノールなどの水混和性の有機溶媒が用いられます。
食品、飲料、化粧品、生体サンプルおよびマトリックスを多く含む製薬処方(クリーム、シロップなど)のマトリックスを多く含む複雑なサンプルには、不要な成分の除去や分析対象物質の選択的な抽出を目的とする効率の高いサンプル調製プロトコルが必要です。2 µm以下の粒子が用いられるUHPLCのように、固定相の粒子が非常に小さい場合には、特にこのサンプル調製が重要となります。一般的なサンプル調製方法には、液液抽出や固相抽出(SPE)がありますが、生物学的サンプルにはろ過に加えて除タンパク質も用いられます。サンプル調製の主な目的は、目的化合物の選択的抽出や前濃縮に加えて、サンプルマトリックスにより引き起こされる目詰まりからHPLC固定相を保護することです。モノリスシリカベースのHPLCカラムは、マトリックスにかなりの程度耐えることが可能で、粒子カラムよりもはるかにサンプル調製が少なくて済みます。
一部の分子では、HPLCでの分離前(プレカラム)または分離後(ポストカラム)に誘導体化する必要があります。HPLCにおける感度またはクロマトグラフィーにおける保持を向上するために、分子を誘導体に変換します。必要な誘導体化のために、望ましい物理化学的性質を有する化学試薬が用いられます。
HPLCからUHPLCに移行した場合の、実行時間と移動相溶媒消費量の節減が計算されます。
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