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複素環ビルディングブロック

有機合成用複素環ビルディングブロック

複素環ビルディングブロックは、化学者が有機合成のために使用する構造フラグメントグループの中で最も大規模で多様なファミリーです。複素環骨格の多くは、創薬化学の分野で特別な価値を持つ構造として認識されており、薬理活性のあるさまざまな合成化合物や天然化合物に広く存在しています。ほとんどの化学反応設計の計画は商業的に利用可能なビルディングブロックの検討からスタートします。Sigma-Aldrich独自のコア製品に、パートナー企業・ラボの多様な化合物を加えることで、業界でも有数の包括的な複素環ビルディングブロックの品揃えを実現しました。 複素環Sigma-Aldrichは化学研究試薬におけるワンストップサービスの提供を目指しています。Sigma-Aldrichと共に自然科学における飛躍的発展の第一歩を踏み出しましょう。


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製品


アクリジン類

アクリジン [ ジベンゾ(b,e)ピリジン;2,3,5,6-ジベンゾピリジン;2,3-ベンゾキノリン; 10-アザアントラセン] アルカロイドは、アントラセンと構造的に類似する平面状の芳香族、疎水性の含窒素複素環化合物で、中心のCH基の1つが窒素に置き換えられているものです)。アクリジン誘導体は、EhrlichとBendaによる抗微生物活性の報告(1912)に始まり、薬理化学の分野で長い歴史を持っています。 アクリジン誘導体はこれ以外にも、抗がん剤、抗生・抗AchE剤、抗白血病剤、抗マラリア剤、抗精神病剤、抗鬱剤、抗認知症剤、抗侵害受容剤、テロメラーゼ阻害剤などの薬効を示します。疎水性を示すことから、細胞膜に拡散し、DNAやRNAと複合化(インターカレート)することができます。この成分は、それらの固有の薬物特性をもたらし、細胞周期の決定、核酸の染色、フローサイトメトリーなど、細胞プロセスの研究に使用できる蛍光を示します。9-アミノアクリジン塩酸塩一水和物は変異原生がありますが、構造の一部を置換した9-アリルアミノアクリジン系抗がん剤は、哺乳類のトポイソメラーゼII酵素に干渉することで作用します。Sigma-Aldrichでは、創薬プロセスを加速させる数多くのアクリジン誘導体を提供しています。

アザインドール類は、ピリジン環とピロール環が縮合した二環構造を持っています。これらの化合物は顕著な生物学的活性を示すことから、新しい治療法の創出にも役立てることができるでしょう。分子中のアザインドール部位は、インドールとは異なり窒素の付加環が存在するだけで、インドール環システムの生物学的等価体となり得る優れた可能性を持っています。 7-アザインドールは、水素結合パートナーとしてのプリンを模倣できるという点で非常に興味深い物質です。

ベンゾイミダゾールはベンゼンとイミダゾールが縮合した複素環芳香族化合物です。ベンゾイミダゾールは、よく知られたイミダゾール系の延長線上にあり、N-複素環カルベンの炭素骨格として、また、遷移金属錯体のリガンドとして使用されます。ベンゾイミダゾール誘導体に含まれる薬理化合物はさまざまな酵素の強力な阻害剤となります。ベンゾイミダゾール系薬剤は次に示す各種の治療目的で使用されています:抗腫瘍、抗真菌、抗寄生虫、鎮痛、抗ウイルス、抗ヒスタミン、さらには循環器疾患、神経系疾患、内分泌障害、眼科系疾患などにも使用されています。

ベンゾジオキサン誘導体はベンゼン環とジオキサン環が縮合した2環式複素環であり、一連の合成化合物や天然化合物の中でも特に医薬品開発において大きな意味を持つ化合物です。ジオキサンまたは1,4-ベンゾジオキサンを構造部位として持つ化合物は、たとえば次のような生物学活性を示します:抗肝毒性(肝臓保護作用)、α-アドレナリン遮断、抗炎症、抗胃作用、鎮痙、抗精神病、精神安定、およびD2拮抗/5-HT1A部分拮抗活性など。

ベンゾフランはベンゼンとフラン環が縮合した構造を持つ複素環化合物であり、クマロンという名前でも知られています。ベンゾフラン誘導体は抗真菌・抗微生物作用から、H3受容体とアンジオテンシンIIの拮抗薬として作用するなど生物学的活性を示します。

ベンゾピラン類は、ベンゼン環とピラン環が縮合した構造を持つ2環式複素環化合物であり、クロメンという名前でも知られています。ベンゾピラン誘導体(クロモン、フラボン)は、プロテインキナーゼ依存性のシグナル伝達経路を阻害することから、抗炎症剤としての可能性を持っています。さらに、天然に存在するベンゾピラン誘導体の中には、プロスタグランジンE2(PGE2)産生抑制活性を示すものもあります。ベンゾピラン誘導体は、潜在的な抗がん剤としての可能性を持つ物質を同定する際の、テンプレートとしても魅力的です。

ベンゼン環とチオフェン環が縮合したベンゾチオフェンは、他にはない様々な分野へ応用範囲が広がる重要なクラスの複素環です。ベンゾチオフェン類は生理活性構造を合成するための出発物質として使用されており、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、ロイコトリエン合成阻害剤、抗真菌剤などの医薬品やその他の多くの天然物に含まれています。置換パターンを変化させることにより、これらの複素環は創薬にとどまらず、材料科学の先端分野における応用に新たな可能性をもたらします。

ベンゾトリアゾール類は3個の窒素原子と縮合ベンゼン環を持つ2環式複素環システムであり、幅広い生物学的活性と薬理学的活性を示すばかりでなく、材料科学の分野でも応用されています。産業界では、写真用エマルジョンの定着剤、銅および銅合金の変色防止剤、腐食防止剤、不凍液や水冷却システムなどに使用されています。ベンゾトリアゾールの合成法は何種類か存在し、その例として無溶媒でのベンゾトリアゾールのN-アルキル化と銅フリー「クリック」法、マイクロ波照射条件下でのα-ニトロケトン、オキサゾリン、チアゾリンの調製、N-アシルベンゾトリアゾールを用いた各種応用があります。

ベンゾトリアゾール誘導体は脱離基として一般的に使用されており、新たな合成補助基としても広く用いられています。合成中に簡単に導入および除去できること、分子の他の部分を活性化できることが大きな魅力です。

ペプチド結合の形成方法については非常に多数の報告がなされています。現在、最も成功しているアプローチは、ウロニウム塩/グアニジウム塩により発生する活性エステルを経由する方法です。このファミリ―の中で最も評価が高いのは、ベンゾトリアゾール誘導体(HOBtまたはHOAt)をベースとして調製するペプチド合成試薬です。HOBtとHOAtはカルボジイミドを媒介とするペプチドカップリングの添加剤としても広く用いられています。

カルバゾール誘導体は、5員環の含窒素環の両側に2つのベンゼン環が縮合した3環式芳香族複素環です。これらの天然物の興味深い構造的特徴と有望な薬理活性により、カルバゾール化学は大きく発展しました。カルバゾールアルカロイド誘導体は抗HIV、抗ガン、抗バクテリア、抗真菌を含む多様な薬理活性を持つことはよく知られています。また、N-ビニルカルバゾールやポリ(ビニルカルバゾール)などのカルバゾール誘導体は、工業と材料科学においてオプトエレクトロニクス材料として利用されています。

クマリン類は植物由来ポリフェノール化合物の一種です。クマリン類はベンゾピロン系に属し、細胞保護機能や調節機能など幅広い医薬用途を持ち、複数の疾患の治療につながる可能性があります。クマリン誘導体は抗生物質、抗ミトコンドリア、免疫調整剤、抗ウイルス剤、抗がん剤、抗炎症剤、抗凝血剤、抗真菌剤、抗酸化剤、細胞毒などに含まれており、いくつかの生物学的なアッセイにも使用されています。

クマリン類は、この他にも産業界で応用されています。蛍光特性を持つクマリン、たとえば7-ヒドロキシクマリンは、高分子化学における研究ツールとして広く使用されています。クマリン類は、レーザー色素増感光重合開始剤、共重合によるポリマー鎖への組み込み、ポリマーの溶媒効果の評価、様々な構造的特性評価、ポリ(メチルメタクリレート)ナノ粒子の放出特性モニタリング、高分子蛍光型ソーラーコレクターなどに使用されています。

フラン類は、1つの酸素原子を含む5員芳香環で、重要な生物学的特性を持つ複素環化合物クラスです。フラン環系は、心臓血管系に対して活性を持つ多数の化合物に共通の基本骨格です。ヨード化された脂溶性フラン誘導体は心室・動脈細動の治療のために広範囲で使用されています。これに関係する構造部位は抗バクテリア剤、抗ウイルス剤、抗炎症剤、抗真菌剤、抗腫瘍剤、抗高血糖剤、鎮痛剤、抗けいれん剤などに広く利用されています。フラン核の置換パターンを少し変えるだけで生物学活性が顕著に変化します。フラン誘導体はいくつかのバクテリアのバイオフィルム形成を阻害し、クォーラムセンシング阻害活性を持つことが知られています。合成可能なビルディングブロックであることもあり、誘導体はリグノセルロース系バイオ燃料としても有望視されています。

ホモピペリジンは、アゼパンとも呼ばれ、1個の窒素を含む7員飽和複素環であり、いくつかの医薬品や農薬の前駆体です。これらの化合物は、カルシウム活性化カリウムチャンネルの低分子モジュレーターとして研究されています。

イミダゾールは、2つの窒素原子(C3N2H4)を含む平面状5員環です。他のアゾール系複素環が生物学活性を持つ天然物に広く存在しているのに対して、イミダゾール環は大部分が天然アミノ酸のヒスチジンに存在します。さらに、イミダゾール環は非天然環状ペプチドの一部として現れ、ペプチドミミック創薬研究におけるエステル等価体として使用されています。イミダゾールの応用はペプチドとペプチドミミック創薬の領域に限られている訳ではありません。イミダゾールは、海綿から分離されたブロモピロール‐イミダゾールアルカロイドの大規模なファミリーに含まれており、これらのアルカロイドが共通に含む代謝物オロイジンは顕著な生物学活性を示します。イミダゾール環はピロカルピンアルカロイドにも存在しており、血栓症やがん、炎症性疾患などの治療薬として期待されています。

イミダゾリンとイミダゾリジンは数多くの生物学活性化合物に含まれる重要な複素環です。イミダゾリンは不斉触媒、不斉補助剤、あるいは不斉触媒のリガンドとして使用されます。これらの化合物は抗高血糖剤、抗炎症剤、抗高血圧剤、抗がん剤、抗高コレステロール血症剤を含む広い範囲の医薬品として生物学活性を示すことに加えて、抗腫瘍、抗ウイルス、抗真菌、抗バクテリア、抗結核、抗ぜんそく、抗糖尿病、抗原虫活性も示します。脂肪酸イミダゾリンなどのイミダゾリン類は腐食防止剤として工業的に応用されています。

インダゾール類はピラゾールにベンゼン環が縮合した複素環芳香族化合物です。インドールとの相違点は窒素の付加環が存在するかどうかだけのため、インドール環系の優れた生物学的等価体となる可能性を有しています。各種インダゾール類は抗真菌剤、抗炎症剤、抗不整脈剤、鎮痛剤、および一酸化窒素合成酵素阻害剤として顕著な活性を示します。

インドールはベンゼン環とピロール環が縮合した化合物です。インドールのサブユニットは生物学活性を示す天然物にほとんど普遍的に存在する部位であることから、インドールは長きにわたり重要な研究対象となっています。これらの化合物は受容体に対して高い親和性を持ち、複数の受容体に結合する能力を持つことから、広範囲の治療領域で応用されています。このような活性を持つことから、インドール環系が複素環合成における重要なビルディングブロックや合成中間体となっていることは驚きではありません。

インドリンは2つの環を持つ芳香族複素環化合物であり、ベンゼン環が窒素原子を含む5員環と縮合しています。インドールアルカロイドの生物学活性は、特に抗ガン剤や抗腫瘍剤などの医薬分野で詳細に研究されています。この化合物ファミリーの中でもインドリノンは、様々なキナーゼファミリーを阻害することで、有望な抗腫瘍特性を発揮しています。これらの小分子は低分子量で、そのほとんどがプロテインキナーゼに結合し、ATP結合サイトでATPと競合します。複素環合成におけるビルディングブロックとしての用途に加えて、インドリン類は太陽電池の増感剤として工業的に応用されています。

キノリン類の構造異性体であるイソキノリンは、ベンゼン環とピリジン環が縮合した構造を持つベンゾピリジンです。広範囲におよぶ活性を持つことから、イソキノリンの合成は多大の注目を集めており、多くの合成アプローチによりこれらの構造にアクセスすることができます。

イソオキサゾールは酸素を持つアゾールで、その誘導体はイボテン酸を含む何種類かの天然物、COX-2阻害剤やフロキサン(一酸化窒素ドナー)など、いくつかの医薬品にも含まれています。イソオキサゾール類はピリジンの有用な等価体であり、電位依存性ナトリウムチャネルを阻害して痛みを制御したり、テトラサイクリン系抗生物質の誘導体構築を可能にしたり、鬱病治療薬としてに用いられています。

モルホリン類は、アミンとエーテル両方の官能基を持つ6員複素環化合物です。置換モルホリン誘導体は各種の天然物や生物活性化合物の中核となる構成要素です。このクラスの化合物は医薬品や農業分野で重要な用途があります。キラルモルホリン誘導体は、不斉補助剤や不斉合成配位子など、不斉合成の分野で多数の応用を持っています。合成または天然物から得られるモルホリン誘導体は次のような用途で活性を示します:抗鬱剤、食欲抑制剤、抗腫瘍剤、抗酸化剤、抗生物質、認知症やその他の中枢神経系(CNS)疾患の治療に用いられる選択的α1作動薬、強力かつ長時間継続するヒトニューロキノン-1(hNK-1)受容体拮抗剤など。モルホリンには、腐食防止、光学漂白、繊維製品の染色、果物の保存など、いくつかの産業用途があります。

オキサジアゾールは1つの酸素原子、2つの窒素原子、および2つの炭素原子から構成される5員複素芳香環化合物です。環内での窒素原子の配置によって1,2,4-; 1,2,5-; 1,3,4-オキサジアゾールのように何種類もの異性体が存在します。オキサジアゾール類は医薬品開発に有用な複素環を核とする化合物の主要なクラスを構成し、化学療法と抗生物質として最初に効能が認知された化合物の1つです。医療分野から高分子産業に至る広い領域においてオキサジアゾール類への関心が高まっています。オキサジアゾール類は特に以下の用途で活性を示します:抗バクテリア、抗炎症、抗けいれん、抗がん、抗結核、抗糖尿病、抗駆虫、鎮痛中枢神経抑制など。その幅広い生物活性の可能性から、オキサジアゾール誘導体の合成は、医薬品開発に携わる創薬化学者にとって興味深いものです。

オキサゾールは環上で酸素原子と窒素原子が1つの炭素原子で隔てられた複素芳香環化合物です。オキサゾール誘導体は新しい生物材料を調製するための中間体として使用できることから、その重要性が増しつつあります。オキサゾール環は、たとえば抗生物質や抗増殖剤などの薬理学的に重要な多数の化合物中に存在します。オキサゾールは次のような広い範囲で生物活性を示します:抗炎症、鎮痛、抗バクテリア、抗真菌、低血糖、抗増殖、抗結核、筋肉弛緩、およびHIV阻害。これに加えて、オキサゾール誘導体には合成中間体としても使用され、コンビナトリアル合成における多様性をもたらす骨格として、またペプチドミミックとしての使用も可能です。

オキサゾリンは1個の酸素と1個の窒素原子を含む5員複素環化合物であり、オキサゾリジン(1,3-オキサゾリジンとも呼ばれます)はオキサゾリンを還元して得られます。イソオキサゾリジンはオキサゾリジンの窒素と酸素原子を隣接させた異性体です。オキサゾリンはその独自の構造と多様な応用ばかりでなく、さまざまな天然物と医薬品の構造要素として利用できるという観点からも魅力に富む物質です。これらの化合物の例には抗抗酸菌オキサゾール含有アルカロイド、チューブリン重合阻害剤、2,5-2置換オキサゾリン要素から構成される抗ガン剤などが含まれます。さらに、オキサゾリン誘導体は産業環境下での腐食防止剤として、また不斉合成のキラル配位子としても使用されます。2‐オキサゾリンポリマーは疑似ペプチドのバイオインスパイアされたポリマーと見なされています。オキサゾリン誘導体が重要な応用を持つことから、これらの化合物を合成する種々の方法が開発されています。一般的には以下の3種類の標準的方法のいずれかを使用してオキサゾール誘導体を合成します:非環式前駆体の環化反応、オキサゾリンの酸化、および官能化されたオキサゾールと他の有機金属試薬とのカップリング。キラル bis-(オキサゾリン)(BOX)配位子はさまざまな反応の不斉触媒で使用されています。

オキセタンは3個の炭素原子と1個の酸素原子から構成される4員環であり、エポキシドに近い同族体であるため創薬の観点から魅力的なモジュールです。Rogers-Evans、Carreiraらはgem-ジメチル基をオキセタンユニットで置き換えることによって分子スキャフォルドの生理・生化学特性が改善されると報告しています。彼らは、不安定な1,3-ヘテロ原子置換シクロヘキサンの代わりにオキセタン環を含む 1,6-置換アザスピロ [3.3]ヘプタンを使用できることも示しました。オキセタン環はカルボニル基の代用としても機能します。殆どのケースにおいて著者たちがオキセタンユニットを付与するために使用した主たる構造ブロックは3-オキセタノンでした。

薬剤のような生物活性分子にオキセタン部位が存在すること自体は合成化学者や薬理研究者にとって新しい知見ではありません。おそらく、オキセタン含有薬の最もよく知られている例は、天然物のパクリタキセル(Taxol®)とその合成類似体のドセタキセルです。Joëlle Duboisと共同研究者たちはドセタキセル類似体からドキセタン環を取り除いて得られる効果を研究して、バイオアッセイにおいてはドセタキセルよりも類似体の活性がより低いことを発見しました。メリラクトンAは非ペプチド向神経性剤として有望視されており、β-アミノ酸オキセリンは除草剤および抗生剤として活性を持つことが実証されています。

ピペラジン骨格は2個の窒息を相互に対向する位置に持つ6員環であり、異なる治療領域で使用されている生物活性分子の中にしばしば見出されます。これらの治療領域には抗真菌、抗うつ、抗ウィルスおよびセロトニン受容体(5-HT)拮抗剤/作用剤が含まれます。単純なN‐置換ピペラジンは多数の薬剤分子中に存在します。産業界におけるピペラジンの応用としてはプラスチック製造、樹脂、殺虫剤およびブレーキ液などを挙げることができます。

膨大な数の合成プロトコルにおいて、ピペリジンとその誘導体のビルディングブロックとして評価が高まっています。ピペリジン環は1つの窒素原子を含む6員環であり、今日知られているアルカロイドの半分以上の構造に組み込まれているばかりでなく、興味深い生物活性を示す天然および合成化合物の多くに見出されます。1-Boc-2-(アミノメチル)ピペリジンは、ポスト-Ugiカルボニル化/分子間アミド化法で複数の多様性を持つ一連の8員マクロラクタムを生成する反応で使用されています。さらに、その非保護類自体もメラノコルチン4受容体拮抗剤の合成で使用されています。これらの拮抗剤は非意図的体重減少治療で有効性を示す可能性があると考えられています。医療化学はフッ素化ピペリジンにも興味を示しており、たとえば選択性ジペプチジルペプチダーゼII(DPP II)阻害剤合成への応用が考えられています。ピペリジン誘導体は固相ペプチド合成(SPPS)と多数の分解反応で使用されています。

ピペリドンファーマコフォアはカルボニル基を持つ窒素含有複素環であり、アミノ基と水酸基よりも細胞内のチオールに対して強い親和性を示すのが特徴です。したがって、このような性質を持つ化合物は、多くのアルキル化剤に付随するような遺伝毒性副作用を示さない可能性があります。これらの化合物は α,β-不飽和ケトンであるためMichael付加反応の適用が可能であり、その結果として細胞内の求核剤がアルキル化されます。ピペリドンは抗がん、抗炎症、抗微生物活性を示し、NF-κBシグナル伝送経路を阻害します。2-ピペリドンと4-ピペリドンはアルカロイド合成および薬剤調製における重要な中間体です。イミノ基を含むジエノフィルと共役ジエン、エノンが関与するMannich–Michaelとaza-Diels–Alder反応がピペリジン誘導体の合成を目的として使用されています。

ご存知のように生命活動に必須の化合物であるピリミジンとプリン塩基は、DNAとRNAの構造に組み込まれています。プリンは、イミダゾール環にピリミジン環が縮合した構造の複素芳香環有機化合物です。プリン類(置換プリンと互換異性体も含めて)は天然に最も広く分布する窒素含有複素環化合物です。

ピランは1個の5個の炭素原子と1個の酸素原子から構成される6員複素非芳香環であり、2本の二重結合を含みます。ピラノフラボノイドのようなピラン誘導体は生物学的に重要な化合物です。6員環を含む単糖類はピラノーズという名前で知られています。

ピラジン(パラジアジン)は、パラ位に窒素原子を含む複素6員環芳香属化合物です。ピラジン誘導体は抗腫瘍剤、抗生剤、抗けいれん剤、抗結核、利尿剤としての活性を持ち、キナーゼ、酵素反応、強力なチュービリンとおよびFtsZ重合を阻害することで知られています。ピラジンは化粧品や食品、香料、風味、芳香関係の産業も興味を示す揮発性化合物です。

ピラゾールは、3個の炭素原子と2個の窒素原子が隣接して配置された5員複素ジアゾールアルカロイドであり、創薬開発における主要な骨格として使用されています。ピラゾールの誘導体は、鎮痛、抗炎症、解熱、抗不整脈、鎮静、筋弛緩、精神鎮痛、抗けいれん、モノアミンオキシダーゼ阻害、抗糖尿病、抗菌作用に使用されます。ピラゾール環は、さまざまな重要非ステロイド抗炎症剤(NSAID)と高血圧抑制剤の中核成分として使用されています。金属触媒の2官能基配位子としても使用されています。

1,2-ジアジンとも呼ばれるピリダジンは2個の隣接する窒素原子を含む6員環化合物です。ピリダジンは、フェニルまたは複素芳香環の等価体としても使用されます。ピリダジンは水素結合受容体として機能し薬剤分子の水溶性を向上させて生理学的特性を改善し、その双極子モーメントを利用して目標分子と形成した錯体を収納する能力が大きなことも特徴です。ピリダジンは、特にCNSを対象として生体利用能を付与する効果を持ち、さらに毒性を軽減します。ピリダジンは何種類かの薬剤分子の一部を構成し、ピリダジンのファーマコフォアを利用したさまざまな薬理学的活性分子が作られています。

ピリジンは1個の窒素原子を含む6員複素芳香環化合物です。ピリジン類は重要な複素環化合物の一種であり、ピリジンの多置換体が生物活性を示す多くの天然物や薬理活性分子、キラル配位子に含まれています。ピリジンの構成部位だけを見ると殆ど無数の分子に含まれており、それらの応用も触媒から薬理設計、分子認識、天然物合成まで非常に多様です。よく知られているアルカロイドリコジンやA3アデノシン受容体拮抗体、有機合成で頻繁に使用されるN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)類似体もピリジン類に含まれます。ピリジン誘導体も、低分子α-螺旋模倣体として、タンパク‐タンパク相互作用の阻害および、機能的には選択性GABAA配位子として関連しています。ハロゲン化ピリジンはさまざまなクロスカップリング法(たとえば鈴木‐宮浦クロスカップリング反応)にとって非常に魅力的なビルディングブロックです。

ピリミジンはピリジンに類似した複素芳香環有機化合物ですが、6員環の1‐、3‐位置に窒素原子を含みます。この環はジアジン他の2つの異性体、1-, 2-位置に窒素原子を持つピリダジン、1-, 4-位置に窒素原子を持つピラジンが存在します。DNAとRNAに含まれるヌクレオチドとして、ピリミジンヌクレオチド誘導体は幅広い生物学的応用を持っています。たとえば、ピリミジン誘導体は、がんとエピジェネティックスとの関連において、DNA修復の研究に役立ちます。

ピロール(1H-ピロール)は1個の窒素原子を含む5員複素芳香環化合物です。ピロールは天然物を合成しようとするときの重要なシントンです。ピロール類は注目すべき生物学的特性、たとえば脂質低下、抗微生物、抗炎症、抗腫瘍活性を持っており、レトロウィルス逆転写酵素 [1型ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)]、細胞DNAポリメラーゼ、タンパクキナーゼを阻害する能力を有します。さらに、これらの化合物の何種類かは自然界に存在する生物学的に重要なアルカロイドや非天然複素環誘導体の合成における有用な中間体です。立体的にかさ高く電子リッチなビアリールホスフィン配位子の新しいクラスであるホスフィノ置換N-アリールピロールは、ですが、高い触媒回転数と低い触媒ローディングを示します。

ピロリジンは4個の炭素原子と1個の窒素原子から構成される5員環を持つ環状2級アミンです。ピロリジン環はアミノ酸プロリンとその誘導体の中心部を構成します。キラルピロリジンは補助基のキラルビルディングブロックとして、また、生物活性物質に頻繁に現れる構造体として重要な役割を果たしています。メチルピロリジン骨格を持つ誘導体は、一連のHIV-1逆転写阻害剤やヒスタミンH3受容体、ドーパミンD4拮抗剤などを含む何種類かの阻害剤と拮抗剤に共通に含まれる構造要素です。Sigma-Aldrichではピロリジンの大多数をラセミ体、または2つの鏡像異性体のいずれかの形態で提供しています。

ピロリンは窒素を含む5員複素環化合物であり、天然物や医薬品に頻繁に現れる構造です。ピロリン誘導体には天然物と合成品の両方があり、いずれも特徴的な生物学的、薬学的特性を示します。ピロリンは生物活性ピロールやピロリジンの合成過程で現れる中間体です。タンパクキナーゼ阻害剤であるスタウロスポリンとゲラニルゲラニル転移酵素は医薬品の観点から重要なピロリンベース化合物の例です。

キナゾリン(1,3-ジアザナフタレン)はベンゼン環とピリミジン環が縮合した構造を持っています。これらの化合物は合成操作のための非常に優れたスキャフォルドであると同時に、環構造が求電子、求核置換において予測可能な反応性を示すことから非常に大きな薬理活性を備えています。キナゾリン誘導体は抗マラリア剤とがん治療の分野で応用されています。

ベンゼン環をピリジン環に縮合させたキノリン誘導体は、防腐、解熱、抗周期性の特性を持ち、抗マラリア薬や他の抗マラリア薬の調製に使用されます。このスキャフォルドを含む最も有名な医薬品であるクロロキノンが発見されたことにより、この何十年間にわたるマラリアのコントロールと治療が可能になりました。キノリンとその誘導体は殺菌剤、殺生物剤、抗生物質、アルカロイド、色素、ゴム薬品、および香料添加剤として広く使用されています。その他の産業界での応用には腐食防止剤、保存料としての使用、樹脂やテルペンの溶剤としての使用、均一重合における遷移金属錯体触媒や発光化学などが含まれます。また油溶性染料、食用着色剤、医薬品、pH指示薬、その他の有機化合物の製造にも使用されます。キノリンはトリプトファンの異化代謝産物であり、末梢血管拡張薬プラゾシンおよびドキサゾシンを含む一部の降圧薬の基本骨格です。

1,4-ジアザナフタレンまたはベンゾピリンとも呼ばれるキノキサリンは、ベンゼン環がピラジン環に縮合した構造を持つ二環式複素環です。キノキサリン誘導体は抗バクテリア、抗生、抗腫瘍、抗真菌、抗炎症、鎮痛などの薬理活性を持つ化合物の重要な構成要素であるほか、RNA合成阻害剤、反応性染料と色素、アゾ染料、蛍光染料、腐食防止剤、光起電高分子などの用途にも使用されています。

二環式アミンであるキヌクリジンは、OsO4触媒によるオレフィンのジヒドロキシル化の研究で使用される配位子として、多くの用途があります。これらの窒素含有複素環化合物は、PAC-拮抗剤活性テストを目的としたオニウム塩の形成においても使用されています。3-キヌリジオールはコリン作動性受容体リガンドや麻酔剤を調製するためのシントンであり、メチルビニルケトンをアルデヒドと共に縮合させるための触媒でもあります。

テトラゾールは、4つの窒素を含む5員環で構成されており、材料科学と製薬分野の両方に応用されています。テトラゾールは強酸から塩基性、酸化条件から還元条件まで幅広い範囲の化学環境に対して耐性を示します。テトラゾールは代謝安定性を有するカルボン酸基の生物学的等価体であり、Huisgen再配列法を用いて各種の窒素含有複素環化合物を調製するための前駆体として利用することができます。これらの化合物はシンプルな脂溶性スペーサーとしても機能して2つの置換基を適切な方法で表示します。ここで、埋め込まれたテトラゾールユニットの接続性パターンは1,2,3-トリアゾールの接続性パターンと驚くほどの類似性を示します。

チアジアゾール誘導体(2個の窒素と1個の硫黄を含む5員環)の抗けいれん剤および抗微生物剤として活性が研究されてきました。1,3,4-チアゾールの誘導体は抗バクテリアと抗真菌活性を示すことが知られています。

1,4-チアジン類とも呼ばれるチアジン類(は、相互にパラ位となるように配向した1個の硫黄と1個の窒素を含む6員環から構成されています。これらの化合物は抗がん、抗微生物、抗炎症、および解熱活性を示すばかりでなく、中枢神経抑制剤としても作用します。チアジン誘導体は色素、鎮静剤、殺虫剤としても使用されています。

1個の窒素と硫黄を含む5員環化合物であるチアゾール類は、特に広い範囲で抗腫瘍剤、抗ウイルス剤、抗生物質活性を示します。これらの化合物はペプチド中に存在し、タンパク質やDNA、RNAへの結合能を持つことに注目して多くの合成と新規応用へ向けた研究が行われています。チアゾール環は数え切れないほど多数の天然物に現れる主要な骨格と見なされており、特に良く知られているのがエポチロン類です。チアゾールはペプチド研究においても頻繁に現れます。チアゾールは保護されたホルミル基として使用されることがあり、複雑な天然物を合成する後半の段階で保護が外れます。

チアゾリンは1個の硫黄と1個の窒素原子を含む5員複素環化合物です。チアゾリジンはチアゾリンを還元して調製します。システイン残基は一般的に転写後修飾されてチアゾリンとなります。チアゾリン誘導体はPPARγの活性化剤であり、2型糖尿病のインスリン耐性を向上させると共に血糖レベルを低下させます。さらに、Raf/MEK/細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)とホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)の信号カスケードを阻害することによって抗ガン剤として機能します。

チオフェン(チオフラン)はフランとピロールの類自体として機能する重要な硫黄含有複素環化合物であり、多くの農薬や薬剤、材料科学におけるビルディングブロックとして広く使用されています。ベンゾチオフェンとジベンゾチオフェンはそれぞれ、1つ、および2つのベンゼン環と融合したチオフェン環を含みます。芳香性を持つことの結果として、チオフェンは通常のチオエーテルが示すのとは異なる特性を持っています。たとえば、チオフェン中の硫黄原子はアルキル化と酸化に対して抵抗します。チオフェンは、たとえばピロキシカムのチオフェン類自体であるNSAIDロルノキシカムのように、ベンゼン環の生物学的等価体としても使用されます。

トリアジン誘導体は3個の窒素原子を含む6員芳香環から構成されています。異性体として1,2,3-; 1,2,4-; および1,3,5-トリアジンが存在します。3置換1,3,5-トリアジンは最も古くから使用されている有機化学クラスの1つですが、抗がん、抗血管形成、抗HIV、抗マラリア、抗バクテリア、抗微生物などの効果的な薬理学的特性を持つことから現在でも多くの化学治療剤の重要な中核構造として使用されています。これらの化合物は優れた光学的、電子的特性を持ち、複数の水素結合を形成する能力を備えていることから超分子構造を構築するサブユニットとして使用されています。トリアジン誘導体はP13KとmTOR阻害作用を持つことが分かっており、酸性溶液に浸漬した軟鋼の効果的な腐食防止剤であることも知られています。

トリアゾールは、3つの窒素原子を含む5員環で構成されており、特に抗真菌剤、抗菌剤、酵素阻害剤として生物活性を示します。低刺激で選択性に優れたアジド―アルキンHuisgen付加環化反応の最終生成物として1,2,3-トリアゾールが得られます。この反応はバイオ直交型化学と有機合成で広く使用されています。トリアゾール環は比較的安定な官能基であるため、DNAリン酸骨格の置換を含むさまざまな応用でトリアゾール結合を利用することができます。