遷移金属触媒

遷移金属触媒に用いられる遷移金属の例(鉄、銀、イリジウム、ロジウム、パラジウム、ニッケル)

触媒は、天然の触媒である酵素の精巧な機能を模倣しようとする広く多様な分野です。遷移金属触媒には、他の分子との間で電子を容易にやりとりする性質があり、この性質が優れた触媒たる由縁です。触媒の魅力的な特徴として、化学反応中に触媒種が消耗しないというものがあります。金属触媒は、さらに不均一系金属触媒と均一系金属触媒に分類することができます。遷移金属化学の分野では、合成化学や合成以外の化学でも用いられるようになった反応がいくつかあります。これらの反応には、開発した研究者に因んだ名前が与えられています。例えば、Stille反応、Buchwald–Hartwig反応、根岸反応、Heck反応、鈴木-宮浦反応、薗頭反応などのクロスカップリング反応です。

Sigma-Aldrichは、合成有機化学の分野で重要性が高まる触媒と金属を幅広く提供しています。ほとんどの種類の遷移金属に対応する遷移金属触媒を取り揃えています。主要な金属触媒について以下に説明します。



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チタン触媒

有機合成用のチタン触媒の形成に必要なチタン錯体と各種有機配位子を提供しています。例えば、CpTiCl3は、効率的なチタン触媒として室温での複素環のアヌレーション反応に用いられています。電子不足オレフィンから立体異性的に純粋な7-ヒドロキシノルボルネンへの変換や、アクリル酸メチルから多置換ノルボルネン誘導体への変換には、チタン触媒としてチタノセンジクロリドやbis-(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムジクロリドが用いられています。

バナジウムは鉄鋼の生産を改善する添加剤として用いられてきましたが、現在は触媒としての用途が2番目に大きくなっています。バナジウム触媒は、過酸化物を効率的に活性化し、臭化物、硫化物、アルケンなどの基質を選択的に酸化します。バナジウム触媒は、酸素原子を効率的に基質に添加することが示されており、ラージスケールの反応で価値のある酸化分子を選択的に合成するのに役立ちます。また、オレフィン重合でも効率的な触媒として機能します。酸化バナジウムは、自動車の排気ガスの浄化や粗製油の脱硫に利用されています。また、水素やアルキルヒドロペルオキシドなど、環境に優しい酸化物の利用により、産業レベルでのバナジウム触媒の用途が著しく増加しています。

鉄と鉄化合物は天然に広く分布しており、試薬や触媒としても活用されています。例えば、塩化鉄や臭化鉄は、長年Lewis酸触媒として古典的な芳香族求電子置換反応に用いられています。有機配位子との鉄錯体は、特に注目されており、反応の進行役を務める環境に優しい鉄触媒となる可能性があります。このことは、鉄触媒が重要な水素貯蔵物質であるアンモニアボラン(NH3BH3、AB)の脱水素反応の研究にきわめて重要な役割を果たすことを示しています。

コバルト触媒は、経済的で自然に優しいクロスカップリング反応用触媒として注目を集めてきました。コバルト触媒は活性が高く、医薬品、天然物、新規化合物の効率的で選択性の高い合成に幅広く活用されています。各種炭素-炭素(C-C)結合の形成に高い反応性を示します。コバルト塩を持つコバルト触媒は、金属触媒によるクロスカップリング反応にもっともよく使われているパラジウムやニッケル触媒に比べ、官能基耐性が良好で、反応条件が穏やかで、化学選択性が高いという特徴があります。コバルト触媒は、ハロゲン化ビニル、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリルと各種有機金属試薬との各種クロスカップリング反応を可能にします。

ニッケル触媒は、炭素-炭素結合を形成するクロスカップリング反応から、Raneyニッケル触媒による電子豊富な炭素結合の還元まで、多くの合成反応における中心的な役割を果たしています。ニッケル触媒には、酸化の程度に応じて、0価ニッケル、2価ニッケル、3価ニッケル、4価ニッケルの触媒があります。 即購入可能なニッケル触媒には、アルミニウムニッケル(AlNi)合金、アンモニウムニッケル水和物、ニッケルCOD、ハロゲン化ニッケル(塩化ニッケル、臭化ニッケル、フッ化ニッケル、ヨウ化ニッケル)、シクロペンタジエニルニッケル、金属ニッケル、ニッケルアセチルアセトナート、Raneyニッケルがあります。これらのニッケル触媒はW.R. Grace and Company社の製品です。

銅触媒は穏やかな反応条件で使用でき、高収率を示しますが、反応速度が遅く高温を必要とします。遷移金属触媒を用いる炭素-炭素結合や炭素-ヘテロ原子結合形成反応のうち、銅触媒は、Ullmann反応、Diels–Alder反応、 環拡大反応、Castro–Stevensカップリング反応、Kharasch–Sosnovsky反応に用いられています。また、MeldalとSharplessが独自に開発したHuisgen 1,3-双極子環化付加反応の変法にも銅(I)触媒が用いられています。この反応は、銅(I)触媒によるアジド-アルキン環化付加反応(CuAAC)と呼ばれ、4級アルキンとアジドからトリアゾールを形成します。

炭素-炭素結合や炭素-ヘテロ原子結合に用いられる触媒は合成化学や、医薬品、材料、生体分子の合成の中枢を担っています。銅触媒によるクロスカップリング反応の添加剤として用いる有機溶媒や配位子は、収率を改善し、より穏やかな条件での反応を可能にします。私たちは、効率的な銅触媒や触媒前駆体の他、銅を含む金属有機構造体(MOF)製品を提供しています。

亜鉛触媒は、合成化学や有機合成に幅広く応用されています。塩化亜鉛触媒は、中等度の強度のLewis酸触媒として作用し、アリールヒドラゾンをインドールに変換するFischerインドール合成や、アレーンと塩化アシルからモノアルキル化化合物を生成するFriedel–Craftsアシル化反応を触媒します。塩化亜鉛触媒の他、酸化亜鉛触媒も各種触媒反応に有用です。他にも、立体特異的反応や位置選択的反応を触媒する各種ハロゲン化亜鉛を提供しています。Sigma-Aldrichの亜鉛化合物は、触媒としてだけでなく、化学発光性の量子ドットやナノマテリアルに関する材料化学分野でも用途があります。根岸カップリング反応に用いられる有機亜鉛試薬を合成する際の出発物質としても用いられています。

ノーベル化学賞を受賞した根岸英一氏が開発したジルコニウム触媒を用いる不斉カルボアルミ化(ZACA)反応は、おそらくジルコニウム触媒の一般的な用途として最もよく知られた用途の一つでしょう。ZACA反応は、不斉bis-(インデニル)ジルコニウム触媒下で有機アルミニウム試薬を用いてアルケンを不斉官能基化する手法です。この他、二酸化ジルコニウム(ジルコニア)も有名なジルコニウム触媒です。不均一系反応におけるジルコニア触媒の用途が急速に増加しています。例えば、酸化ニトリルの分解反応や、カルボン酸からアルデヒドへの還元反応、2級アルコールから4級アルケンへの脱水反応、一酸化炭素からイソブタンへの水素化反応などの用途があります。

適切なルテニウム触媒を用いることで、環境に優しく入手しやすい酸化剤と各種官能基の選択的酸化反応を難なく実現できます。ルテニウム触媒は、アルケンの不斉エポキシ化反応、酸素分子種の生成、オレフィンのジヒドロキシル化反応、アルコールの酸化的脱水素反応などの酸化反応における選択的触媒として、合成化学の強力なツールです。

オレフィンメタセシス反応の触媒としてもっとも有名なGrubbs触媒として、メタセシス反応にも広く用いられています。Grubbs触媒は各種官能基の耐性が高く、空気中や過剰の溶媒中で高い安定性を示すことから、汎用されています。

ロジウム触媒は炭素-水素(C-H)結合を活性化する適切なプロモーターであることが示され、有望かつ魅力的な触媒として登場しました。ロジウム触媒は、触媒的脱水素化クロスカップリング反応に用いて簡潔にC-C結合を形成することで注目が高まっています。ほとんどの事例でパラジウム触媒が選ばれていましたが、ロジウム触媒は活性化に適したプロモーターです。ロジウム触媒を使用することで、重要な有機構造の合成経路として、アリール-アリール、アリール-アルケン、アルケン-アルケンなどの重要なカップリングが可能になります。

反応条件(温度、溶媒、配位子、塩基、その他の添加剤)の微調整が可能であるという点で、パラジウム触媒は有機化学合成におけるきわめて汎用性の高いツールとなっています。さらに、パラジウム触媒は、各種官能基の耐性がきわめて高く、優れた立体特異性と位置特異性を示すことから、保護基の導入する必要がありません。この汎用性の高い触媒は、とりわけHeck反応、鈴木-宮浦反応、Stille反応、檜山反応、薗頭反応、根岸反応、Buchwald–Hartwigアミノ化反応などの炭素結合(主にC-C、C-O、C-F結合)形成反応で知られています。

Lindlar触媒などの不均一系のパラジウム触媒は、三重結合からcis-二重結合への変換や、ポリオレフィンの一水素化、アジドからアミンへの水素化など、選択的水素化反応を高効率で進行させます。

汎用性の高い均一系・不均一系のパラジウム触媒を豊富に取り揃えています。精製や反応後クリーンアップにおける利便性をさらに高めるため、各種結合形成反応や、水素化反応、還元反応に適した各種担持パラジウム触媒や、リサイクル可能な固定化触媒Pd Encat®も取り揃えています。

有機合成に用いる遷移金属触媒として高品質の各種銀触媒を取り揃えています。銀触媒は、銀錯体の強い酸化力と酸化電位の高さから広く利用されており、金などの他の触媒の電気陰性度を高める銀活性化剤としても利用されています。有機合成や無機合成には、銀化合物の化学量論的な酸化電位が有用です。均一系の銀触媒を用いた有機合成では、立体選択性および位置選択性の高い反応を触媒する銀のユニークな酸化還元特性が強調されています。銀触媒は、分子間結合形成と分子内結合形成の両方を効率的に触媒します。銀触媒による不均一系の反応の例として、窒素酸化物の還元反応や、一酸化炭素から二酸化炭素への酸化反応が挙げられます。銀(I)塩は、銀触媒による求核付加反応や、有機合成に用いられています。銀イオンの高い酸化電位が、銀触媒、銀錯体、銀配位子を化学合成に欠かせないものにしています。

Adam触媒とも呼ばれる二酸化白金など、各種官能基の水素化反応や、有機合成における脱水素反応に用いられる効率性に優れた白金触媒を提供しています。反応中に、白金黒、すなわち活性白金触媒が形成されます。白金触媒をアルキンに適用すると、syn付加が生じてcis-アルケンが形成されます。白金触媒によるもっとも重要な反応は、ニトロ化合物からアミンへ、ケトンからアルコールへの水素化反応です。特に、ニトロ基の存在下でAdam触媒を用いると、ニトロ基は還元されずアルケンを還元することができます。白金触媒は、ニトロ化合物のアミンへの還元反応の際に水素化分解を最小限にするため、パラジウム触媒よりも好まれています。白金触媒は、パラジウム触媒では起こらないリン酸フェニルの水素化分解反応にも利用されています。

1980年代以前、金には触媒活性はほとんどないと認識されていました。しかし、F. Dean Tosteら(カリフォルニア大学バークレー校)などの主導によって、金が遷移金属触媒の最前面に押し出されることになりました。特に近年、ホスフィン配位子を有する金(I)錯体は、穏やかな反応条件下で各種C-C結合形成反応を行える強力な触媒として注目されるようになりました。有用なC-C結合形成反応として、シクロプロパン化反応、エニンの異性化反応、Rautenstrauch転位反応、エン反応、環拡大反応などが挙げられます。通常、 in situで触媒活性種を生成するには、ホスフィン塩化金(I)錯体に銀塩を共触媒として加える必要があります。

有機触媒や有機金属触媒の用途にかかわらず、お客様が必要とする遷移金属触媒を確実にご提供いたします。