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SDS-PAGEによるタンパク質のサイズ別分離の基礎

ポリアクリルアミドゲルとは、アクリルアミドとビスアクリルアミド(N,N’-メチレンビスアクリルアミド)が反応して形成される、高度に架橋したゲル基質です。ゲルは「ふるい」として機能し、電場に反応したタンパク質が「ふるい」の中を移動します。タンパク質は正または負の電荷を持つので、分子が正味の電荷がゼロになる等電点までタンパク質分子は移動できます。タンパク質分子を変性させ、均一な負電荷を与えると、正の電極に向かって移動するので、分子をサイズ別に分離することができます。

タンパク質試料のSDS-PAGEとColorBurstタンパク質マーカー

図1.タンパク質試料のSDS-PAGEとColorBurstタンパク質マーカー(C1992)

プロトコル

必要な材料・試薬

  • 電源、ガラスプレート、スペーサー、コームおよび垂直型電気泳動槽

注記:アクリルアミドおよびビスアクリルアミドには神経毒性があります。どの操作ステップもパウダーフリーグローブを着用して行ってください。

ゲル調製

  • ゲルキャスティングユニットのガラスプレートおよびスペーサーを脱イオン水およびエタノールで洗浄します。
  • 安定した平面でプレートにスペーサーを取り付けます。
  • 必要ゲル濃度(%)に応じて、下記表の分量(10 mL当たり)で分離ゲル溶液を調製してください。
  • スペーサーを装着したプレートにゲル溶液を注ぎます。分離ゲル溶液表面が凹凸のない水平面を保てるように、ゲル溶液の上に水またはイソプロパノール(I9516)を重層します。
  • 室温で約20~30分間放置し、ゲル化させます。
  • 下記表の量(10 mL当たり)で濃縮ゲル溶液を調製します。

*TEMEDは最後に添加すること

  • 分離ゲル溶液の上に重層した水またはイソプロパノールを捨てます。
  • 5%濃縮ゲル溶液をあふれるまで注ぎ、直ちにコームを挿入します。この際、ゲルまたはウェルまわりに気泡が入らないように注意します。
  • 室温で約20~30分間放置し、ゲル化させます。

試料の調製

  • 所定量のタンパク質試料(細胞または組織ライセート)に同量のローディングバッファーを加えます。
  • この混合液を95 ℃で5分間沸騰させます。16000 x gで5分間遠心分離します。
  • 調製した試料は-20 ℃で保存可能であり、このままゲル電気泳動に使用することもできます。

ゲル染色

クマシーブルー染色:クマシーブリリアントブルーR-250によるゲルの染色は、SDS-PAGEで分離したタンパク質を視覚化するために汎用される手順です。感度が極めて高く、ゲルの長期保存に適しています。

必要な試薬

手順

  • 電気泳動後、ゲル固定溶液を入れたプラスチックトレーにゲルを入れます。トレーをロッキングテーブル(振盪台)に載せ、タンパク質を2時間かけて固定します。
  • ゲル固定溶液を除去し、クマシー溶液を添加します。 ロッキングテーブル(振盪台)に載せ、2~4時間ゲルを染色します。
  • 染色ステップの後、ゲルを蒸留水で数回洗浄し、余剰の染料を落とします。
  • 脱色溶液をゲルに加えます。ロッキングテーブル(振盪台)に載せ、透明な背景で青色のバンドが鮮明に見えるまで約4時間脱色します。
  • 脱色後、ゲル保存溶液中でゲルを保存するか、必要に応じて写真撮影します。

銀染色

SDS-PAGEゲルに最適で高感度のタンパク質検出銀染色キットを販売しています。以下の試薬が追加で必要です:

  • 固定溶液

    エタノール(E7023)50 mL
    酢酸10 mL
    水40 mL

  • 30% エタノール(E7023)溶液

手順

  • 電気泳動後、ゲルを固定溶液に40分間浸漬します。固定液中で一晩浸漬することによって、背景がより透明になります。
  • 固定溶液を除去し、ゲルを30%エタノール 溶液で10分間洗浄後、超純水で10分間洗浄します。
  • 水をデカントし、ゲルを増感剤溶液に入れて10分間インキュベートします。
  • 増感剤溶液を除去し、ゲルを水で2回洗浄します。各回の洗浄は10分間続けます。
  • 水をデカントし、ゲルを銀溶液に10分間浸漬します。
  • 銀溶液をデカントし、ゲルを水で1.5分間洗浄します。
  • 水を捨て、ゲルを展開溶液に入れて3~7分間浸漬します。
  • 停止溶液5 mLを展開溶液に加え、5分間インキュベートします。展開/停止溶液を除去し、ゲルを超純水で15分間洗浄します。
  • ゲルの写真撮影や、新鮮な超純水中での保存ができます。

二重染色するには、ゲルをCBB R-250を用いて染色した後、上記手順に従って銀染色を行います。

蛍光染色:タンパク質電気泳動用に蛍光SYPRO染色およびLucy染色を販売しています。ゲルは暗室で蛍光染料に浸漬したり、電気泳動中にカソードバッファーと混合したりできます。

染色プロトコルは使用する染料によって異なりますが、以下の手順で使用できるかもしれません:


リバーシブルゲル染色

リバーシブルゲル染色により、SDS-PAGE後にタンパク質のウェスタンブロットに進むことができます。

R-PROB染色:R-PROBはPAGEゲルおよびウェスタンブロット上でタンパク質を検出するユニークな染色です。

必要な試薬

手順

  • 電気泳動後にゲルを固定溶液に20分間浸漬します。このステップを2回行います。
  • ゲルを水で2回洗浄します。各回の洗浄は30分間続けます。
  • ゲルを染色溶液に入れて20~40分間穏やかにインキュベートします。
  • 余剰の染料を10%酢酸で洗い流します。
  • 脱色する場合はゲルをEDTAで洗浄後、水または固定溶液で15分ずつ2回洗浄します。

銅染色:タンパク質の移動および分離を確認するために、ゲルをCuCl2などのリバーシブルゲル染料で染色することも可能です。

必要な試薬

  • 0.3 M CuCl2溶液
  • 0.25 M Trisおよび0.25 M EDTA溶液

手順

  • 電気泳動後、ゲルを蒸留水で最長30分間洗浄します。
  • ゲルを0.3 M CuCl2溶液に10分間浸漬します。
  • 脱イオン水で洗浄します。
  • 青色背景では、タンパク質は透明なゾーンとして見えます。
  • ウェスタンブロットの前にゲルを完全に脱色するには、染色したゲルをpH 9の0.25 M Tris-0.25 M EDTA溶液で繰り返し洗浄します。
  • 脱色したゲルを転写バッファーに移動させてから、転写のセットアップに進みます。
ブロッティングおよび垂直型電気泳動システム

図2.ブロッティングおよび垂直型電気泳動システム

電気泳動後にタンパク質をメンブレンに移動させたい場合は、本サイトのプロトコルをご参照ください。

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参考文献

1.
Sambrook J, Fritsch T, Maniatis T. 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual. 1. New York: Cold Spring Harbor Laboratory Press.