このプロトコルは、組織や細胞サンプル中の個々のタンパク質、タンパク質の修飾、およびタンパク質の相互作用を免疫蛍光で検出、可視化、および定量化にDuolink® PLA試薬を用いる方法について説明しています。Duolink® PLA法の詳細については、ガイドブック『Duolink®PLA近接ライゲーションアッセイの最適化』をご覧ください。その他のプロトコルについては、『Duolink® PLA Brightfieldプロトコル』および 『Duolink® PLA Probemakerユーザーガイド』をご覧ください。
具体的な製品については『Duolink® PLA製品選択ガイド』をご覧ください。蛍光検出でDuolink® PLA 実験を行うためには、以下のDuolink® PLA 製品が必要です:
注記:ご希望の抗体にプローブを自家調製できるDuolink® Probemakerプラスおよびマイナスキットもご利用いただけます。詳細はProbemakerガイドをご覧ください。
下記プロトコルはスライド1枚にサンプル1 cm2を載せた場合で、この面積に必要十分な試薬液量は40 µLです。反応面積およびサンプル数に応じて量を調整してください。インキュベーションはすべて加湿環境下で行ってください。洗浄ステップはすべて、染色バットにバッファー70 mL以上を入れ、室温で穏やかに攪拌しながら行ってください。
開始前に、サンプルをスライドガラス上に置き、固定、抗原回復、透過処理の前処理を行います。詳細は『Duolink®近接ライゲーションアッセイの最適化』をご覧ください。
Duolink® PLA実験の結果は通常、使用した蛍光色素の検出に適したフィルターを装着した蛍光顕微鏡で得られます。Duolink® PLAシグナルはサンプル細胞のさまざまな位置に明確な蛍光の斑点として認められます(図1A参照)。個々のシグナルはμm以下の大きさで、複数の焦点面に現れる場合があります。その場合は、サンプルの厚み全体を画像化する必要があります。しかし、サンプル中の近接した位置で比較画像すべてを収集するのであれば、1平面だけで画像を取得しても構いません。ネガティブコントロール(例:一次抗体なしの場合、図 1B参照)で数個のシグナルが検出されることも多いのでご注意ください。ただし、10細胞当たりのシグナルが1~2を超える場合、一次抗体の最適化が必要な場合があります。
Figure 1.A431細胞をサイトスピンで処理しDuolink® PLAを用いてEGFRを検出した。写真はZ平面20枚を基に原画像を最大強度で投影したもの。PLAシグナルは赤色、核は青色。核の画像は1つのZ平面で取得した。A)陽性サンプル、B)一次抗体なしのネガティブコントロール。
1つの実験では、すべての画像を同じ設定(露光時間、ゲイン、使用するフィルターなど)で撮影することが重要です。ポジティブおよびネガティブコントロールを用いて設定を最適化してください。PLAシグナル数が多い場合、PLAシグナルがマージ/融合することがあります(図2参照)。この現象は高発現タンパク質が対象の場合、または画像取得中のばく露過剰によって発生することがあります。よってPLAシグナルを個別で得るには撮影の設定に注意が必要です。シグナル融合の予防やその他、実験の最適化については Duolink® PLAトラブルシューティングガイドをご参照ください。
図2.SKBR-3高発現細胞のFFPE標本中のHer2をDuolink® PLAで検出した。写真はZ平面20枚をもとに原画像を最大強度で投影したもの。PLAシグナルは赤色、核は青色。核の画像は1つのZ平面で取得した。A)陽性サンプル、B)一次抗体なしのネガティブコントロール。
PLAシグナルの定量化に使用できる画像解析ツールがいくつか市販されています。画像データの解析により、細胞内での細胞ごとまたは範囲ごとのPLAシグナルの平均蛍光強度および/または総数を得ることができます(図3)。したがって、定量値は実施した実験内の技術的および/または生物学的コントロールとの相対値の形で報告されます。しかしながら、信頼性の高い定量は、PLAシグナルの融合がなく、画像の画素数が飽和状態に達していない場合に限り可能です。
図3.画像ソフトウェアを用いた画像解析。DAPI染色核(青色)は自動検出し、細胞質の大きさはユーザーが推定した(緑色枠)。対象タンパク質を示すPLAシグナルは赤色で示している。白丸のPLAシグナルおよび黄色で囲った核を解析で定量した。
実験が上手くいくヒントやコツ、一般的なトラブルシューティング、よくある質問(FAQ)についてはDuolink® PLAトラブルシューティングガイドをご参照ください。
問題が解決しない場合やDuolink® PLA全般については、いつでもお気軽にメルクのテクニカルサポートチームまたは営業担当にご連絡ください。
Duolink® PLAアッセイは比較的簡単にタンパク質相互作用などを検出可能ですが、対象のタンパク質や実験内容によってはカスタマイズが必要な場合があります。その場合は本国のDuolink® PLA Custom Services teamがお客様のニーズにお答えします。Duolink® PLAのカスタムサービスについてはこちらをご覧ください。
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