このプロトコルはDuolink®PLA Multicolor試薬を使用して、一つの組織または細胞のサンプルでタンパク質、タンパク質修飾、もしくはタンパク質間相互作用を最大4つ同時に検出、視覚化そして定量するための手法です。
Duolink®PLA Multicolor実験をするためには、以下のDuolink® PLA Multicolor製品が必要です:
注:すべてのコンポーネントは-20℃で保存します。一次抗体をオリゴヌクレオチドで特定の組み合わせで標識する方法はマルチカラー検出のためのDuolink® PLA Probemakerガイドをご参照ください。抗体を標識した後は、調製したPLAプローブを+2~8℃で保存します。凍結禁止。
注:1xブロッキング溶液と1x Probemaker PLAプローブ希釈液は到着後+2~8℃で保存します。他の試薬は-20℃で保存します。
以下はスライド上の1 cm2のサンプルを十分に被覆するために必要な40 μLの溶液でのプロトコルです。
ご自身のサンプルの反応範囲と反応数に応じて量を調節してください。すべてのインキュベーションは加湿チャンバー内で実施することを推奨します。また、すべての洗浄ステップは室温下の染色ジャーで少なくとも70 mLの洗浄バッファーでやさしく撹拌します。
洗浄バッファーAとBはアッセイ開始前の作製をお勧めします。1パックを終容量が1,000 mLになるように高純度水で溶解します。溶液は短期(2週間以内)なら室温で、長期なら+2~8℃で保存可能です。
注:溶液は使用前に室温に戻します。
実験前に、サンプルをガラススライド上に置き、固定、回復および透過に関する前処理をします。
Duolink® PLA Muliticolor実験の結果は用いた検出蛍光色素に適したフィルターを使って蛍光顕微鏡で観察します。Duolink® PLAのシグナルは様々な細胞位置で分散した蛍光スポットとして認識されます(図1A)。個別のシグナルはマイクロメーター以下のサイズで複数の焦点面にあるかもしれません。したがって、サンプルの厚さ全体で画像を得る必要がある場合があります。また、例えばオリゴヌクレオチド標識済み一次抗体を除いた状態など、Duolink® PLAを用いて直接検出した場合、PLAシグナルが検出されないことも合わせて確認してください。生物学的コントロールは可能な場合、含めてください(図1B)。
図1.EGFで刺激したSK-OV3細胞(A)と生物学的コントロールとして刺激しないSK-OV3細胞(B)。Duolink®PLA Multicolorを用いて、EGFR-HER2相互作用(緑)、EGFRのリン酸化(オレンジ)、およびHER2のリン酸化(遠赤)を観察した。核はDAPI(青)で染色した。
シグナル強度を元に、各蛍光色素の取得の条件(露出時間やゲインなど)は異なります。しかしながら、実験を通じてすべてのサンプルで画像の獲得のために用いる各蛍光色素のセッティングが最適で同じであることが重要です。取得の条件は、ポジティブコントロールやネガティブコントロールを用いることにより最適化することができます。PLAシグナルの数が大きい場合、PLAシグナルは結合/融合します(図2)。これは対象が高発現のタンパク質である、または画像取得時に露出過多である場合に起こります。よって画像取得の条件、および個々のPLAシグナルを得るために適した一次抗体価の設定には注意が必要です。
図2.Duolink® PLA Multicolorを用いて、EGFR(緑)、HER2(オレンジ)、およびGAPDH(赤)で検出した刺激していないSK-OV3細胞。核はDAPI(青)で染色した。
画像解析ツールを用いることでPLAシグナルの定量が可能になります。画像データの解析により、細胞内での細胞ごとまたは範囲ごとのPLAシグナルの平均蛍光強度および/または総数を得ることができます(図3)。したがって、定量値は実施した実験内の技術的および/または生物学的コントロールとの相対値の形で報告されます。しかしながら、信頼性の高い定量は、PLAシグナルの融合がなく、画像の画素数が飽和状態に達していない場合に限り可能です。
図3.画像ソフトウェアを用いた画像解析。DAPIで染色された核(青)は自動的に検出され、細胞質の大きさ(緑線)はユーザーによって推定された。PLAシグナル(赤)は対象タンパク質ターゲットを示す。白点でマークしたPLAシグナルおよび黄線で輪郭を示した核を解析によって定量化した。
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