静電保持を起こすには、分析対象と吸着剤の官能基の両方ともイオン化されたイオン交換形態でなければなりません。これは試料マトリックスのpHを厳密に制御することで行います。分析対象物質が塩基性である場合は、pHを分子のpKaより少なくとも2低く調整しなければなりません。分析対象が酸性である場合は、pHを分子のpKaより少なくとも2高く調整しなければなりません。
溶出ではその反対に調整します。溶出液のpHを被分析物質および/または吸着剤のpKaの少なくともpHを2高く、または低く調整すれば、静電相互作用を妨害する一方、両方の官能基を効果的にニュートラル(解離を止める)にできるため、溶出が可能になります。
注記:試料と吸着剤の官能基の間の速度論的交換過程は、イオン交換の場合のほうが順相および逆相の場合よりもかなり遅いため、流量は1滴ごと(約1滴/秒)でなければなりません。また、移動相と固定相との相互作用に十分な滞留時間を確保するために溶出および洗浄の液量を増やす必要もあるかもしれません。
図1.イオン交換法
対イオンの選択性は、イオン交換器吸着剤の官能基について、ある対イオンが他の対イオンと競合する能力の程度として定義されます。吸着剤および/または試料マトリックスを分析対象物質の官能基よりも選択性が低い対イオンであらかじめ平衡にしておけば(最低限の競合)、保持が容易になります。分析対象物質の官能基よりも選択性が高い対イオンを含む緩衝液を用いれば、分析対象物質の溶出が容易になります。
カチオン交換基について:
アニオン交換基について:
より高い選択性のイオンに交換するには、新しい対イオンの1 N溶液をベッド体積の2~5倍用意して吸着剤に通します。より低い選択性のイオンに交換するには、新しい対イオンの1 N溶液をベッド体積の5~65倍用意して吸着剤に通します。
注記:ベッド体積の何倍の液量が必要かは、新しい対イオンが吸着剤に着いている現在の対イオンよりどの程度に選択性が低いかによります。
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