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リチウムイオン電池材料

充電式リチウムイオン(Li-ion)電池は90年代初頭に開発されて以来大きく発展し、今では、携帯電話やノートPC、タブレットPC、ゲーム機、音楽プレーヤーなど、携帯用電子機器産業になくてはならない重要な構成部品となっています。リチウムイオン電池(LIB:lithium ion battery)は、その長時間駆動性および高出力密度性(W/kg)によって小型で軽量の電池を作製できることから、モバイル用途に特に最適な電池です。

リチウムイオン電池の基本原理と典型的な材料

リチウムイオン電池は、その他の電池と同様に3つの主要な材料、2つの電極(正極と負極)と電解質から構成されています。リチウムイオン電池の場合(図1)、1価のリチウムカチオンは、充電サイクルの際は負極(アノード)へ移動し、放電サイクルの際は正極(カソード)へ移動します1-2

典型的なリチウムイオン電池の模式図

図1 典型的なリチウムイオン電池の模式図

従来型の正極材料は、一般的に2つの構造に分類されます。1つはLiCoO2系の材料で、層状の菱面体構造を持ち、金属カチオンの平面シートの間を2次元的にLi+イオンが移動可能です。もう1つはLiMn2O4系材料で、スピネル構造を持ち、Li+イオンが3次元的に移動することができます3。LiCoO2やNiやAlで置換した複合金属類似体は、その優れた特性とこれまでの知見から、現在最も広く利用されている正極材料です。Mnベースのスピネル化合物はLiCoO2比べて若干性能が落ちますが、製造コストが安価で、電池を大規模に利用するニッチな用途で用いられます。一方、負極材料は通常炭素系材料(メソポーラスカーボンカーボンナノチューブグラフェンカーボンナノホーンなど)から作製され、電解質には一般的にLiBF4LiPF6が用いられています4

次世代リチウムイオン電池の材料

セルの最適化のためには正極、負極両材料の選択が重要であり、リチウムイオン電池研究では新規材料の開発が最も急務となっています。現在期待されている正極材料は、LiMn1.5Ni0.5O4などの複合金属酸化物や、LiCoPO4などの金属リン酸塩があります5。また、シリコンナノ粒子Li4Ti5O12SnO2などの酸化物は、代替負極材料として注目されています。

新規リチウムイオン電池材料の探索と平行して、新たなデバイス製造法の開発も活発に行われています。近年の成果として、ナノスケールもしくはサブミクロンスケールのLiMn2O4やLiCoPO4粉末を用いた電池材料の作製が行われています6。サブミクロンLi-ion電池材料は、その体積に対する表面の割合の大きいことや高表面積であることなどから、いくつかの興味深い特性を示します。たとえば、(1)電極と電解液との界面における接触面が広い、(2)粒子の内部から粒界までのLi+イオンの拡散距離が減少する、などの効果が挙げられます。また、機械的特性の面からは優れた耐疲労性が得られる可能性があり、充電・放電サイクルの体積変化によって生じるゆがみに耐えることが期待されます6


リチウムイオン電池用LiPF6電解液・添加剤・溶媒 好評発売中!

溶媒組成を自由に調整可能な「ready to use」電解液を使えば、お好みのリチウムイオン電池を作製することができます。宇部興産(株)製のリチウムイオン電池用LiPF6電解液、添加剤、溶媒については、「 リチウムイオン電池用電解液・添加剤」にて詳しく紹介しております。ご参考ください。


無機固体電解質材料

次世代2次電池として、無機固体電解質材料を用いた「全固体電池の研究」が活発に行われています。アルドリッチでは、酸化物系および硫化物系のリチウムイオン伝導性材料の合成に用いられる、様々な無機材料をご提供しております。

  • Lithium phosphorus sulfide (LPS) powder, battery grade:916374
  • Lithium phosphorus sulfur chloride (LPSCl) powder, battery grade:916137
  • Lithium tin phosphorus sulfide (LSPS), battery grade:915114
  • Lithium Aluminum Titanium Phosphate (LATP) powder, battery grade:915394
  • Lithium Lanthanum Titanate (LLTO) powder, battery grade:916099
  • Al-doped Lithium Lanthanum Zirconate Oxide (LLZO) powder, battery grade:915874

固体電解質向け前駆体化合物


シリコン負極材料

シリコンナノ粒子は、リチウムイオン電池用負極材料として注目されています。「 高性能リチウムイオン電池用シリコン負極材料の進展」にて詳しく紹介しております。ご参考ください。

  • High Performance Silicon Anode (Si encapsulated in 3D crosslinked polyaniline):912409
  • Silicon nanopowder, <100 nm particle size (TEM), ≥98% trace metals basis:633097
  • Silicon nanopowder, <100 nm (BET), <3% oxygen passivation:795585

Ready to Use 電極シート

electrode sheet size: 5 in. × 10 in. (127 mm × 254 mm), purity: 98+%, loading: >80%


イオン液体

イオン液体は、最高5 Vまでの電気化学的に安定な広い電位窓をもち、直火でも着火しない難燃性と比較的高い導電性をもちます。この特性ゆえに、イオン液体は、高性能で安価なアルミニウム電池、不燃性のリチウムベースの電池および高いサイクル寿命と安定性をもつデュアルグラファイト電池を含む、最先端の蓄電池の有望な電解質とされています。


グラフェン他、新規電池用材料

  • Graphite anode powder:907154
  • Graphene oxide, paste, non-exfoliated:900704
  • Sulfonated reduced graphene oxide, sodium salt:909130
  • High surface area conducting polypyrrole (3D cross-linked polypyrrole, doped by phytic acid):912573
  • High surface area conducting polyaniline (Self-healing polyaniline):912891

References

  1. Manthiram, A. Materials Aspects: An Overview. In Lithium Batteries: Science and Technology; Nazri, G.-A. and Pistoia, G., Eds.; Springer: New York, 2003.
  2. Yoshio, M. and Noguchi, H. A Review of Positive Electrode Materials for Lithium-Ion Batteries. In Lithium-ion Batteries: Science and Technology; Yoshio, M; Brodd, R.J.; Kozawa, A., Eds.; Springer: New York, 2009.
  3. Gao, Y. and Dahn, J.R. J. Electrochem. Soc. 1996, 143, 100-114.
  4. Howell, D.; Duong, T.; Deppe, J.B.; Weinstock, I. Material Matters 2008, 3(4), 26.
  5. Amine, K.; Yasuda, H.; Yamachi, M. Electrochem. Solid State Lett. 2000, 3, 178-179.
  6. Venugopal, G.; Hunt, A.; Alamgir, F. Material Matters 2010, 5(2), 14.

Material Matters

  • Vol.15, No.2 「バッテリーおよび太陽電池の進展」
  • Vol.13, No.1 「エネルギー分野におけるナノマテリアルの応用」
  • Vol.11, No.1 「エネルギーおよびエレクトロニクス用次世代ナノ材料」
  • Vol.9, No.4 「環境発電およびエネルギー貯蔵用材料」
  • Vol.8, No.4 「エネルギー貯蔵および効率化のための材料」
  • Vol.7, No.4 「ナノ材料:エネルギー変換・貯蔵技術への応用」
  • Vol.5, No.2 「代替エネルギー3」
  • Vol.5, No.2 「ナノ材料」