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リチウムイオン電池に用いられるエネルギー貯蔵用ナノ材料

Ganesh Venugopal<sup>1</sup>, Andrew Hunt<sup>1</sup>, Faisal Alamgir<sup>2</sup>

Material Matters 2010, Vol.5 No.2

はじめに

充電式リチウムイオン電池(Liイオン電池)技術は1990年代初めに導入されて以降、大きな発展を遂げてきました。この20年間で、Liイオン電池は、携帯電話やノートPCなどの携帯型電子端末の電源用として用いられるようになりました。現在は、携帯型電動工具に使われているニッケルカドミウム(NiCd)電池やニッケル水素(NiMH)電池を着実に置き換えつつあります。将来的には、次世代のハイブリッド電気自動車(HEV:hybrid electric vehicle)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV:plug-in hybrid)、および電気自動車(EV:electric vehicle)の電力源としての利用が期待されています。リチウムイオン電池の用途として注目されているもう1つの例は、石炭のような従来型のエネルギー源だけでなく太陽光や風力などの間欠性の再生可能エネルギー源からも電力が供給される、「スマートグリッド」向けの電気エネルギー貯蔵システムです1

長時間駆動(求められている出力での高いエネルギー密度)と長寿命(充電特性)とを兼ね備えている点が、競合技術と比べてリチウムイオン電池技術を際立ったものにしています。言うまでもなく、電池の実用化には安全性とコストに対する要求も満たさなければなりません。携帯型電子機器用途についてはすべての要件を満たしつつありますが、電気自動車や電動工具、貯蔵システムなどの新規用途での開発はようやく始まったばかりです。たとえば、携帯型電子機器用途と電気自動車用途を区別する1つの要素は出力密度です。電気自動車用途には、携帯型電子機器と比較してはるかに高い充放電速度が要求されます。高出力特性は、バッテリーセルの作製方法を再設計することによりある程度まで実現できますが、ナノ材料も高い出力性能を得る上で一つの重要な役割を果たすことが期待されています。ナノ材料を用いることで、大容量電極における結晶構造歪みの緩和特性が改善し、サイクル寿命へのダメージを最小限に抑えながら貯蔵容量を可逆的に引き出すことが可能です。あるいは、「zero-strain」電極材料をナノサイズ化して使用することで、その安定したサイクル寿命と貯蔵寿命特性がさらに改善され、その結果、スマートグリッドやバックアップ電源システム向けの次世代電気エネルギー貯蔵が実現されます。

リチウムイオン電池電極材料の概要

従来のリチウムイオン電池材料には、一般に10~50 μmサイズの粒子が用いられ、これを導電助剤、バインダーと共にアルミニウムまたは銅の集電極上に塗布します。過去20年間、カソード用化合物には、歪んだ岩塩型構造(α-NaFeO2)を持つ層状化合物であるコバルト酸リチウム(LiCoO2)が主に使用されています2。3次元スピネル構造のマンガン酸リチウム2(LiMn2O4)などの代替カソード材料は、その性能の限界上、特定用途にしか商品化されていません2。炭素系材料はアノード用として多く使用され、グラファイトが大半の商用バッテリーに用いられています3。バッテリー開発では、エネルギー、出力、サイクル寿命、コスト、および熱安定性の観点から最適な性能を引き出せるような電極材料が選択されます。近年まで、このような最適化の多くは携帯型電子機器を想定して行われてきました。しかし、最近では、電動工具、電気自動車およびバッテリーによる電気エネルギー貯蔵システムなどの、新たな用途に対しての開発も盛んになってきました。カソードには、LiMn1.5Ni0.5O4(スピネル)、LiNi0.33Mn0.33Co0.34O2(層状)、LiNiCoAlO2(層状)のような各種複合金属酸化物や、LiFePO4、LiCoPO4、LiMnPO4(オリビン)のような各種金属りん酸塩などの新規材料の適用が進められています2,4。アノード用の新規材料には、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)や酸化すず(SnO2)などの酸化物、シリコン(Si)、すず(Sn)、さまざまなタイプの炭素系材料などがあります3,5。これらの新規化合物の多くは、ナノ粒子やナノ構造を持つ粒子もしくは膜として用いることが、最終用途に求められる性能を得るために不可欠です6

リチウムイオン電池開発におけるナノ材料の利点

バッテリー用途の観点から、リチウムイオン電池材料としてナノ材料電極を用いる利点は、エネルギー、出力、サイクル寿命の各特性を大幅に改善できる点であると考えられます。ナノ粒子またはナノ粉末の電極材料、つまり、従来から用いられているマイクロメートルサイズの電極粉末を超微粒子化した材料がリチウムイオン電池用途として最も初期に導入されたナノ材料です。実際、数十年前から出回っているナノ材料であるカーボンブラックは、研究初期の頃からリチウムイオン電池の作製に使用されています7。カーボンブラックは電極に使用されますが、電気エネルギーを貯蔵するのではなく、単に「受動的な」導電助剤として出力性能を改善する役割を果たします。ところが、電極の「能動的な」エネルギー貯蔵用材料にナノ粒子を用いると、次の2つの理由、つまり、

  1. 粒子のコアから表面、さらに電解質へと移動するリチウムイオンの拡散距離が短縮、
  2. ナノ粒子の本質的性質である高表面積特性による電極と電解質の接触面積の増加6、によって大幅な性能改善が実現可能となります。

電極材料の粒径をナノスケールのオーダーに小さくすると、充放電中に体積が膨張/収縮することによる機械的応力が大幅に低下すると考えられます。最近報告されたモデルでは、リチウムのインターカレーションによって生じたひずみが塑性変形によってではなく、弾性的に吸収されて元の安定な構造を完全に復元するためには、粒子のサイズがある臨界半径未満でなければならないことが示唆されています8。エネルギー密度の減少を最小限に抑えながらサイクル寿命を最大化するために、ナノ粉末の形態をはじめ、ワイヤー、ロッド、ウィスカ(whisker)、あるいは円柱の形態を持つナノ構造膜としてのナノ材料が精力的に探索されています5,9

ナノサイズのLiイオン電池用電極材料を用いると、電極作製の上でも利点があると考えられます。たとえば、ほとんどのリチウムイオン電池カソード材料はリチウムやその他の遷移金属を含む前駆体から合成されますが、これらは混合後にさまざまな条件下で熱処理され、目標とする酸化物やりん酸塩になります。熱処理反応には長い時間と大量のエネルギーを必要とする場合があります。これは、特に大きな粒子凝集体の場合、凝集体表面がバルクと異なる温度プロファイルを持つ可能性のあるためです。熱処理が不適切であると、材料の組成が不均一となり性能が低下します。一方、ナノ材料を熱処理する場合、材料全体で温度プロファイルを均一に保つことが容易になり、大量のエネルギーを消費する処理方法に頼らずに均一な化合物が得られます。

また、ナノ材料によってフレキシブルな超薄膜電極の作製が試みられており、民生用途および医療用途のセンサー、RFID、フレキシブルデバイスなどに利用される薄型コンポーネント向け次世代急速充電式バッテリーの実現可能性があります。ナノ粉末電極を使用して作られた分散液やインクは、ロール・ツー・ロール方式による低コスト印刷による薄型電池の製造や、インクジェット方式で製造されるプリンテッドエレクトロニクス機器における薄膜電池と他の素子との集積に使用できる可能性があります10

ナノ材料の分類および製造

一般に「ナノ材料」という用語は、少なくとも1つの寸法が100 nm未満である材料を指すのに使用されます11。また、同じ組成で粒径が大きい材料と比較して、性質または特性に何らかの改善が見られるという言外の意味も含まれます。ナノ材料は、最近注目を集めてきたことから新たなカテゴリーの材料のように思えるかもしれませんが、ナノ材料の中には、火山塵(灰)のように以前より自然界に存在しているものや、カーボンブラックやヒュームドチタニア(fumed TiO2)などの人工的な材料は、数十年前から存在しています。ナノ材料を分類する方法の1つは、製造方法(物理的または化学的)で類別することです。物理的方法は、さらに機械的方法と相変化法(phase-change)に分けることができます。物理的-機械的方法では、目標とする化合物の粒径の大きな粒子を粉砕することにより、化学的変化を伴わずにナノメートルサイズの粒子が得られます12。この方法は、一般にナノ材料合成の「トップダウン」手法と呼ばれます。物理的-相変化法では、相変化反応によってナノ材料を合成します。その例として、溶液中の材料を固体ナノ材料として沈殿させる直接沈殿や、材料を蒸発、凝縮させて固体ナノ粒子を得る、熱処理法、プラズマ法、またはレーザーアブレーション法があります。物理的方法を使用した場合、目標とするナノ材料化合物を得るのに化学変化は必要ありません。化学的方法では、目標化合物と化学的に異なる出発材料からナノ材料を合成する反応が用いられます。つまり、化学合成によって目標とする化合物をナノスケールで直接得る方法で、その例には、フレーム熱分解、噴霧熱分解、湿式化学法(ゾルゲル合成、ソルボサーマル合成など)があります12。化学的方法と物理的-相変化法は、どちらもナノ材料合成の「ボトムアップ」手法の例です。

化学的なナノ材料の作製方法に、「NanoSpray Combustion」があります。これは、本稿の著者の1人が開発したもので、「combustion chemical vapor condensation(nCCVC)法」によってナノ粒子またはナノ粉末を合成する方法です13。この合成方法では、最終的に得られるナノ粒子を構成する元素を含んだ前駆体の溶液を超微粒子エアロゾルに変換し、これを燃焼させてナノ粒子を生成します。このプロセスの概略図を図1に示します。火炎の中に蒸気種(微細な霧状の液滴、nanospray)を生成するためには、nGimat社独自のNanomiser®デバイスが不可欠です。液滴は、凝縮されて乾燥ナノ粉末状として、もしくは液状媒質中へ凝縮されて分散溶液状として回収されます。また、前駆体物質の組成やプロセスパラメーターを調整することにより、nCCVCを使用してドーパントの添加と表面を炭素コーティングしたナノ材料を製造し、最終用途における性能を改善することも可能です。

nCVCC法の概略図

図1ナノ粉末製造のためのNanoSpray combustion chemical vapor condensation(nCVCC)法の概略図

定義では、ナノ粒子またはナノ粉末のサイズは100 nm未満ですが、それ以外のナノ材料には、構造的な特徴は100 nm未満でありながら2次粒子や膜などの大きな凝集体として存在するものがあります。たとえば、リソグラフィー・パターニング、化学気相成長、および物理蒸着法はすべて、複雑な構造を持つナノ構造膜の作製に用いることができますが、これらは多くの場合form-in-place法と呼ばれます12。nCCVCの一種である「combustion chemical vapor deposition(nCCVD)法」と呼ばれる方法も、このカテゴリーに分類されます14。このnCCVD法は、超疎水性、抗菌性、酸素遮断性、および防湿性を有するナノ構造薄膜コーティングの作製に使用されていますが、バッテリー電極材料の堆積にも使用されています5。以下のセクションでは、リチウムイオン電池へのナノ粒子またはナノ粉末の応用について解説します。

nCCVC法で合成したナノ粉末のリチウムイオン電池への応用

前述のnCCVC法を使用して、現在研究されている各種リチウムイオン電池電極用化合物を合成することが可能であり、特に、金属酸化物と金属りん酸塩材料の作製に最適です。図2は、これら2つの化合物の代表的な物質であるLiCoPO4とLiMn1.5Ni0.5O4の透過型電子顕微鏡(TEM)写真です。この2つの材料は異なる粒子形態を示し、前者は球状であるのに対し後者は面を有する粒子であることがわかります。いずれの場合も、平均粒子サイズは100 nmを大きく下回っています。LiMn1.5Ni0.5O4ナノ粒子の高倍率写真では、ナノ粒子の結晶構造を確認することができます。

nCCVC法で合成したナノ粉末の透過型電子顕微鏡写真

図2りん酸コバルトリチウムLiCoPO4(左)およびマンガンニッケル酸リチウムLiMn1.5Ni0.5O4(中央、高倍率写真は右)ナノ粒子の透過型電子顕微鏡写真

LiMn1.5Ni0.5O4とLiCoPO4は、いずれも次世代リチウムイオン電池用高電圧Liイオンカソードの候補材料です2。たとえば、LiMn1.5Ni0.5O4は、LiCoO2やLiMn2O4の充電電圧が4.2~4.3Vであるのに対して4.8~5.0Vの範囲まで充電できます15。このLiMn1.5Ni0.5O4の高い充電電圧と、約155 mAh/gという高い理論容量とによって、従来のリチウムイオンカソードよりエネルギー密度が25%改善されます。nCCVC法で合成されたカソード用ナノ材料のその他の例には、LiCoPO4、スピネルLiMn2O4、斜方晶LiMnO2があります。

nCCVC法で作製された上記カソード材料および代表的なアノード材料のX線回折(XRD)パターンを図3に示します。パターンはすべて、文献で公表されている標準ピーク値とよく一致しています16。nCCVC法で作製されたアノード用のナノ候補材料には、SnO2やLi4Ti5O12があります。これらの材料は異なる用途を目標にしており、SnO2は、今日の一般的なグラファイトアノードが370 mAh/g、0.5V未満であるのに比べて、理論容量は750 mAh/g以上に達し、リチウム金属に対する電圧は1V未満という高エネルギー密度アノードの候補物質です5,6。対応する高電圧カソードと組み合わせたときの電圧とエネルギーを最大化するために、一般にアノードには低い電圧が望まれます。一方、Li4Ti5O12は約1.5Vの公称電圧で約160 mAh/gの容量を持っています17。エネルギー密度は低いものの、zero-strainスピネル構造により、容量低下を最小限に抑えながら多数回の充放電サイクルに耐えることができます。さらに、ナノ粉末状のLi4Ti5O12を用いた場合、以下に示すように高い充放電速度を示すことも知られています。

nCCVC法で合成したナノ粉末のXRDパターン

図3nCCVC法で合成した酸化すず(SnO2)、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)、りん酸コバルトリチウム(LiCoPO4)、マンガンニッケル酸リチウム(LiMn1.5Ni0.5O4)、およびマンガン酸リチウム(LiMnO2)ナノ粉末のX線回折パターン16

nCCVC法で合成した、3種類のナノ粉末電極の代表的な放電電圧特性を以下の図4に示します。このデータは、リチウム金属を対極とした小型試作セルで得られたものです。グラフ上部の2つのカーブは、LiCoPO4とLiMn1.5Ni0.5O4のカソード材料に対する0.1Cレート(Cレート:電流値(A)/容量(Ah)で表される。全電池容量を1時間で充電した場合の電流値を1Cレートとし、どの程度の電流値で充放電しているかを表したもの)の特性を示したものです。予想されるように、いずれの材料も4.7~4.8Vの範囲に高電圧の平坦域を持っています。下のカーブはLi4Ti5O12のCレート特性を示したもので、この材料の場合、約1.5Vに平坦域を持つフラットな放電カーブを示しています。

nCCVC法で合成したナノ粉末を用いた電池セルの放電電圧特性

図4nCCVC法で合成し、リチウム金属をアノードとした試作型半電池の中に組み込んだ3種類の代表的なリチウムイオン電池用ナノ粉末の放電電圧特性。チタン酸リチウムLi4Ti5O12(青色の線、下部)、りん酸コバルトリチウムLiCoPO4、およびマンガンニッケル酸リチウムLiMn1.5Ni0.5O4(赤色および緑色の線、上部)

ナノ材料の急速放電性能は、Li4Ti5O12材料を使用した試作セルでも明らかになりました。図5に示すように、Li4Ti5O12は5Cと10Cレートでの連続放電が可能で、それぞれCレート容量の80%および60%まで維持できます。これに対して、LiCoO2のような従来のカソード材料を3Cレートを超えて使用することは一般的に推奨されません。Li4Ti5O12ナノ材料のCレートでの代表的な放電容量は、約145 mAh/gです。また、Li4Ti5O12材料はCレートで200サイクルを超えて繰り返し放電可能でした。この結果は、単に実験室で組み立てた試作セルで得られたことを考えると、ナノ材料の持つ非常に優れた性能を表しているといえます。商用セルの製造方法に近いプロセスで組み立てた場合、性能の大幅な改善が期待できます。

異なる放電レートを繰り返したときの相対容量の比較

図5試作型のLi4Ti5O12-リチウム金属半電池で、急速放電レート(5Cおよび10C)と1C放電レートを16サイクル繰り返した場合の相対容量の比較

条件が適切であれば、nCCVC法で電極粒子に表面コーティングを行うことができます。炭素を電極粒子に直接被覆すると電子導電率が高くなり、バッテリーの充放電速度性能が改善されます。また、表面に炭素が被覆されているため、カーボンブラックのような導電助剤を添加する必要がなくなり、セルのエネルギー密度向上が期待されます。前駆体物質とnCCVC処理条件を調整することにより、炭素被覆したLi4Ti5O12ナノ粉末を1段階で合成可能です12。従来のリチウムイオン電池電極材料の作製方法では、炭素被覆した材料を合成するためには、新たに下流工程が必要になります18

カーボンナノチューブ(CNT:carbon nanotube)もまた、高表面積である上に極めて優れた電気的および機械的性質を持っているために、高性能リチウムイオン電池のアノード用材料として有望な候補材料であると考えられています19。ところが、実験結果によると、CNTに対するリチウムの吸着が弱いために、グラファイト電極と比較した可逆容量の増加はわずか20~25%に留まっています20。Liの吸着特性を改善するために、化学/プラズマエッチングによる欠陥形成、もしくはフラーレン(C60)をカプセル化した単層カーボンナノチューブ(フラーレン‐ピーポッド)の利用などの研究が行われています21,22。また、場合によっては、Li2.7C6に相当する約1,000 mAh/gの最大容量を持つ材料も合成されています。ただし、これらの方法には複雑な高温処理が必要であり、多くの場合、性能の劣化につながります。

リチウムイオンエネルギー貯蔵材料の将来

新たな用途の登場によって、リチウムイオン電池材料の研究開発はナノ材料電極の開発をはじめとする新たな方向に向かって進んでいます。初期に開発されたナノ材料は、主に携帯型電動工具用として限られた数量ですが、すでに市場に供給され始めています。また、今後数年以内には、PHEVなどの自動車用およびバッテリーによる電気エネルギー貯蔵システム用にもナノ材料が採用されていくと予測されます。携帯型電子機器などのリチウムイオン電池の利用が完全に定着している既存の用途においても、ナノ材料電極の実装によって、サイクル寿命を犠牲にすることなく、求められる出力レベルで高い放電容量を持つ電池の実現が期待されます。

新たな用途で求められる電気的性能を満たすと共に、市場の要求するコスト条件も考慮して材料とプロセスを選択しなければなりません。つまり、原材料コストの低減とプロセス内の複数工程の統合は、あらゆる商用化の取り組みに不可欠です。リチウムイオン電池電極は、ニッケル水素電池と比べて大量のエネルギーを蓄え、非水系電解質の近くに配置されるため、セルレベルでもバッテリーパックレベルでもパッケージコストが上昇します。そして、セル内のサーマルカットオフ素子および電池パック内の安全回路と温度管理システムによって、バッテリーの安全動作が保証されています。長期的には、リチウムイオン電池がもたらす性能の優位性と、とりわけスケールメリットによって、これらの追加コストを相殺して余りある利点が得られると思われます。

謝辞

本論文の研究成果に貢献したnGimat社チームの他のメンバー、特にMichael Sapp、Nina Vylkov、Chris Rockett、Yongdong Jiang、およびDavid Kraussの各氏に感謝します。本研究で使用した材料の透過型電子顕微鏡による観察は、ジョージア工科大学のYong Ding博士によって行われました。また、リチウムイオン電池用ナノ材料の開発とスケールアップに関する、米国エネルギー省(DOE)の研究助成金の支援に感謝いたします。

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