有機合成化学

DMPU-HF:新しい求核的フッ素化試薬

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

フッ素は全元素中最も電気陰性度の高い元素であり、有機化合物に導入することで大きくその性質を変えることができます。このためフッ素化反応は、医薬、有機電子材料などの開発において高いニーズを有し、有機合成化学における重要なフロンティアとなっています。

フッ素化試薬の研究は近年大いに進展しており、求核的フッ素化剤・求電子的フッ素化剤とも多くの種類が登場しています。しかし、コストやアトムエコノミーの面からいえば、フッ化水素(HF)に勝るものはありません。

フッ化水素そのものは極めて腐食性の高い気体であり、取り扱いには大きな危険を伴います。そこで、塩基と塩を形成させ、扱いやすさを改善したのが、HF-ピリジン錯体(Olah試薬)やHF-トリエチルアミン錯体であり、簡便な試薬として広く用いられています。

しかしこれらも、ピリジンやトリエチルアミンの塩基性が系の酸性度を下げてしまうこと、金属触媒の反応を妨害する可能性などの難点を残しています。たとえばピリジンは、多くの遷移金属に強く配位するため、その反応性に大きな影響を与えてしまいます。

HFをベースとした新試薬であるDMPU-HF(802794)は、これらの欠点を解消するものです。これは、非プロトン性溶媒として広く用いられるDMPU(N,N’-ジメチルプロピレン尿素)と、フッ化水素の錯体です。DMPUは、ピリジンやトリエチルアミンと違って塩基性や求核性を持たず、金属カチオンへの配位能も比較的弱いという性質を持ちます。このためDMPU-HF(802794)は酸性度が高く、かつ金属触媒の作用を妨害しにくいという特質を有します。同時に、DMPUは優れた水素結合受容体であり、このためフッ化水素と安定な錯体を形成します。

アルドリッチでは、Hammond教授Xu教授の協力の下、この新たなフッ素化剤を提供いたします。

DMPU-HFの構造

DMPU-HFの特徴

  • 金属触媒と共存可能1
  • HF-ピリジン錯体及びHF-トリエチルアミン錯体に比べて強い酸性を示すため、酸触媒反応において高い反応性を示す2
  • 安定で、通常の実験室環境で取り扱い可能

代表的反応例

  • 金属触媒との併用1

    金錯体の触媒存在下、アルキンに対してDMPU-HFを作用させることで、高収率でフルオロアルケンを得ています。基質としては末端アルキン、内部アルキンともに利用可能です。DMPU-HFの代わりにHF-ピリジン錯体を用いた場合には、収率は13%に低下します。

    DMPU-HFの反応例1

  • 酸触媒反応での高い反応性(Prins反応)2

    ホモアリルアルコールと各種アルデヒド、DMPU-HFを溶媒中室温で3時間撹拌することで、優れた収率及び立体選択性で4-フルオロテトラヒドロピラン誘導体が得られます。DMPU-HFの代わりにHF-ピリジン錯体を用いた場合には、反応に48時間を要し、立体選択性も低下します。

    DMPU-HFの反応例2

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