有機合成化学

PEPPSIシリーズ最強の触媒:PEPPSI-IPENT

KitAlysis™ ハイスループット スクリーニング キット

はじめに

Mike Organらが開発したパラジウム錯体PEPPSI™(Pyridine Enhanced Precatalyst Preparation Stabilization and Initiation)は、かさ高いN-ヘテロ環カルベン錯体と電子供与性の3-クロロピリジンをPdに結合させて安定性を向上させたクロスカップリング反応の触媒であり、現在、パラジウム-ホスフィン錯体に代わる高効率的な触媒前駆体として利用が拡大している。

最近、PEPPSI™シリーズの中で、より高活性でありながら空気中で安定なPEPPSI™-IPent(732117)が開発され、さらに使いやすい触媒となった1。アルドリッチでは、Organ研究室の協力のもと、PEPPSI 触媒シリーズを提供している。

peppsi-ipent構造式

PEPPSI-IPENTの利点

  • 空気中で安定でありグローブボックスでの操作は不要
  • Pd触媒毒は認められない
  • ピロール類とのクロスカップリングが可能
  • ほとんどの場合にPEPPSI-IPr を上回るカップリング収率
  • かさ高い基質に対しても適用可能2

peppsi-ipent触媒反応例1

PEPPSI-IPENTの主な利用例

PEPPSI-IPENT(732117)は、これまで困難とされてきた鈴木-宮浦カップリング、根岸カップリングに対しても比較的穏やかな条件下で高活性である。PEPPSI-Pr(669032)にくらべ、テトラ-o-置換(ヘテロ)ビアリール化合物を高収率で与える。かさ高い酸性基質に対しても適用可能である1,2

peppsi-ipent触媒反応例2

以下に示す第2級アルキル亜鉛塩化物と塩化アリールの根岸カップリングでは、PEPPSI-IPr を大幅に上回る高い選択性で目的の枝分かれ構造の生成物が得られた1,3

peppsi-ipent触媒反応例3

Buchwald–Hartwig–Yagupol’skii アリールアミノ化反応は、反応を加速するために通常は強塩基条件下で反応を実施するが、その結果として基質適用性が狭くなることが欠点である。一方、PEPPSI-IPent は穏やかな条件下で様々な塩化アリールと第2級アミンとのカップリング生成物を与える。さらに、電子不足アニリンと電子豊富な塩化アリールとの反応にも効果的である。これらの反応において、PEPPSI-IPent はPEPPSI-IPr を常に上回る収率を与えている1,4,5

peppsi-ipent触媒反応例4

ヘテロアリールすず化合物と塩化アリールのStill-Migita クロスカップリング反応では、PEPPSI-IPENT の存在下、100℃以下で反応が進行し、温度に不安定なクロスカップリングパートナーにも適用可能であることが示された。Organらは、様々な基質に対して30~80℃で良好な反応収率が得られることを報告している1,6

peppsi-ipent触媒反応例5

一般にC-S結合形成反応はしばしば高温を要するが、PEPPSI-IPent の存在下では穏やかな反応条件で金属触媒スルフィン化反応によりチオールが得られる。硫化アリール、アルキルチオールをはじめその他のかさ高い基質と(ヘテロ)アリール塩化物とのスルフィン化が報告されている1,7

peppsi-ipent触媒反応例6

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