有機合成化学

セリン加水分解酵素阻害剤のスクリーニングライブラリー

はじめに

Bogerグループらにより、小規模ですが有用な尿素由来分子から構成される一連のセリン加水分解酵素阻害剤ライブラリーが開発されました。これらの尿素由来分子は、触媒セリンの活性部位をカルバモイル化することにより標的の酵素と不可逆的に結合します1。ヒトセリン加水分解酵素は約240種類ありますが、今までに特性が評価されているのはその半分にとどまり、大多数については酵素の役割や標的の基質の同定に役立つ選択的阻害剤がまだありません2-3。脱離基の置換基を変えたり(先端基、アニリンまたはピラゾール)、異なるリンカードメインを用いたり(環式および非環式ジアミン類またはピペリジン)、リンカーのBoc保護された窒素を異なる官能基で修飾することで、阻害剤の反応性と選択性を調節できることが示されています(Figure 2およびFigure 31

利点

  • 不可逆的セリン加水分解酵素阻害剤のライブラリーは、特性が評価されていないセリン加水分解酵素の機能を解明するin vivoの医薬プローブを開発する際に、最初のリード化合物となる可能性があります。
  • これらの化合物は、このクラスの酵素に対する新規阻害剤を創出するためのビルディングブロックとなり得ます。
  • Boc保護されたアミン類を誘導体化して活性部位を認識できる側鎖を導入することで、標的のセリン加水分解酵素に対する阻害活性と選択性を同時に向上できます。

代表的な方法および用途

Figure 2に、44種類の化合物に関する小規模なSAR研究を示します(3種類の先端基×3種類のリンカードメインおよび複数の多様化グループ)。8種類のセリン加水分解酵素に対して、3種類の先端基(2-アミノピリジン(2-AP)、4-トリフルオロメチルアニリン(4-TFMA)、2-フルオロアニリン(2-FA))、3種類の中央リンカードメイン(6員環ジアミン(6-CDA)、7員環ジアミン(7-CDA)、非環式ジアミン(ACDA))を評価しました1。各カテゴリー(先端基、中央リンカー)の多様な誘導体(5 µMで試験)の阻害率(%)を合計して傾向が示されました。

Figure 2 3種類の先端基および3種類の中央リンカーの8種類のセリン加水分解酵素に対する合計された阻害率(%)の比較

セリン加水分解酵素ABHD6-2は、先端基のアニリンとリンカードメインの双方で明らかに良好な傾向を示しています。この結果をふまえると、酵素ABHD6-2の阻害剤を開発するために最適な先端基とリンカードメインを有するのはセリン加水分解酵素阻害剤7(SHI-7)であると予想されます(Figure 3)。

Figure 3 異なる先端基(上)とリンカードメイン(下)によるABHD6-2の阻害の傾向

Technology spotlightに本記事をご寄稿いただいた、Manuela Brutsch氏、Aleksandar Radakovic氏、Dale Boger氏に深く感謝いたします。

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