ADME/Tox & DMPK in vitro systems

ヒト小腸様細胞株 Caco-2 (C2BBe1)
各種トランスポーターノックアウト細胞株

薬物動態および薬物間相互作用(DDI)における膜トランスポーターアッセイは、新薬の安全性評価にとって非常に重要です。
ヒト小腸様細胞株Caco-2を用いた、経口投与薬物に対する腸内トランスポーター関与の評価には、特異性の低い薬物トランスポーター阻害剤が使用されることが多く、結果を特定のトランスポーターと紐づけることは通常困難です。シグマ アルドリッチはCompoZrジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)技術を、Caco-2細胞の亜株C2BBe1細胞株に適用し、一連の腸排出トランスポーターノックアウト細胞株を作製しました。C2BBe1細胞株は複数の薬物トランスポーターを発現する単層培養細胞であり、ヒト腸内薬物透過の予測、薬物排出の評価に一般的に使用されます。
シグマ アルドリッチの薬物トランスポーターノックアウト細胞株は、基質や阻害剤の非特異性に左右されず、トランスポーター活性の特異的かつ迅速な同定が可能です。

特長

  • 特定の薬物トランスポーター遺伝子ノックアウト細胞株を用いて、試験化合物の動態を評価可能
  • 薬物トランスポーターの検査ワークフローに適合
  • ダブルノックアウト細胞を用いれば、複数のトランスポーターを含む薬物間相互作用の精密な解析が可能
  • 対象薬物トランスポーターは米国食品医薬品局(FDA)、欧州医薬品庁(EMA)、日本厚生労働省(MHLW)の薬物間相互作用(DDI)評価ガイドラインに収載
    対象薬物トランスポーター:MDR1(P-gp)、BCRP、MRP2
    MRP1、MRP3、MRP4、MRP5、MRP6、MRP7

Figure 1. 細胞培養プレート上で培養されたCaco-2細胞の明視野像

Figure 2. C2BBe1細胞株におけるMDR1(P-gp)、BCRPおよびMRP2トランスポーターノックアウトの模式図
各それぞれの細胞株におけるMDR1、BCRPおよびMRP2の機能喪失はトランスポーター-基質相互作用を明らかに同定できる。

参考文献

  1. Sampson KE, et al. (2015) Zinc finger nuclease-mediated gene knockout results in loss of transport activity for P-glycoprotein, BCRP, and MRP2 in Caco-2 cells. Drug Metab. Dispos.43(2):199-207. PMID: 25388687
  2. Pratt J, et al. (2012) Use of Zinc Finger Nuclease Technology to Knock Out Efflux Transporters in C2BBe1 Cells. Curr. Protoc. Toxicol. 52:2. 23.2.1-23.2.22. PMID: 22549270
  3. The International Transporter Consortium, et al. (2010) Membrane transporters in drug development. Nat. Rev. Drug Discov. 9(3): 215-236. PMID: 20190787
  4. Zamek-Gliszczynski MJ, et al. (2012) Highlights from the International Transporter Consortium Second Workshop. Clin. Pharmacol. 92(5):553-556. PMID: 23085880
  5. Matsson et al. (2009) Identification of Novel Specific and General Inhibitors of the Three Major Human ATP-Binding Cassette Transporters P-gp, BCRP and MRP2 Among Registered Drugs. Pharm. Res. 26(8):1816-1831. PMID: 19421845

MDR1 薬物トランスポーターノックアウト細胞株

野生型、MDR1ノックアウトC2BBe1細胞株において、MDR1基質であるジゴキシンおよびエリスロマイシンの排出比を測定しました。

Figure 3.
いずれのノックアウト細胞でもジゴキシンおよびエリスロマイシンの排出が有意に減少していることから、MDR1の機能喪失が示された。エラーバーは平均+/-標準偏差、1回の実験がn≧3となる実験を3回繰り返した。

BCRP 薬物トランスポーターノックアウト細胞株

野生型、BCRPノックアウトC2BBe1細胞系において、BCRP基質であるエストロン-3-硫酸およびニトロフラントインの排出比を測定しました。

Figure 4.
いずれのノックアウト細胞でもエストロン3-硫酸およびニトロフラントインの排出が有意に減少していることから、BCRPの機能喪失が示された。エラーバーは平均+/-標準偏差、1回の実験がn≧3となる実験を3回繰り返した。

MRP2 薬物トランスポーターノックアウト細胞株

野生型、MRP2ノックアウトC2BBe1細胞系において、MRP2基質であるCDCFの排出比を測定しました。

Figure 5.
いずれのノックアウト細胞でもCDCFの排出が有意に減少していることから、MRP2の機能喪失が示された。エラーバーは平均+/-標準偏差、1回の実験がn≧3となる実験を3回繰り返した。

MDR1 / BCRPダブルノックアウト細胞株によるシメチジン排出の解析

シメチジンは、単一薬物トランスポーター遺伝子ノックアウト細胞株では排出比が> 2である非特異的基質です。

薬物トランスポーターダブルノックアウト細胞株を解析した場合、MDR1 , BCRPダブルノックアウト細胞株の排出比は2未満でした。
この輸送活性の喪失は、シメチジンがMDR1およびBCRPの両方の基質であることを示しています。
このデータは、両トランスポーターによるさらなる研究がシメチジンにとって必要であることを示唆しています。

Figure 6. シメチジンの排出比
エラーバーは平均+/-標準偏差、1回の実験がn≧3となる実験を3回繰り返した。

アプリケーション例トランスポーターノックアウト細胞株と阻害剤を組み合わせた解析

スルファサラジンの輸送は、MDR1、BCRP、MRP2のシングル/ダブルノックアウト細胞株においても妨げられません。 そこでトランスポーターノックアウト株と阻害剤MK571(MRPファミリー阻害剤)およびKo143(BCRPファミリー阻害剤)の組み合わせを用い、この化合物のトランスポーター依存性を詳細に解析しました。

全てのBCRPノックアウト細胞株ではMK571存在下(白)で、スルファサラジン輸送の喪失が観察されました。また、野生株を含む右図に示したすべての条件でMK571とKo143を同時に作用させると(赤)、その場合もスルファサラジン輸送が喪失することが確認されました。一方、MRP2ノックアウト細胞株は、薬剤未処理の状態でスルファサラジンの輸送能に有意な差を示しませんでした。

Figure 7. スルファサラジンの輸送
エラーバーは平均+/-標準偏差、1回の実験がn≧3となる実験を3回繰り返した。

製品情報

製品名 包装単位 保管 カタログ番号
MDR1 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1001-1VL
BCRP Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1002-1VL
MRP2 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1003-1VL
MDR1/BCRP Double Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1004-1VL
MDR1/MRP2 Double Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1005-1VL
BCRP/MRP2 Double Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1006-1VL
MRP1 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1092-1VL
MRP3 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1093-1VL
MRP4 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1094-1VL
MRP5 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1095-1VL
MRP7 Knockout Caco-2 Cells ~2 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1097-1VL

※Caco-2細胞亜株であるC2BBe1細胞株はATCC® カタログ番号:CRL-2102に対応します。

継代培養をしてご使用になる場合は、Millipore Sigma社とライセンス契約を締結いただく必要があります。詳細はお問い合わせください。