ADME/Tox & DMPK in vitro systems

イヌ腎臓尿細管上皮細胞株 MDCK II
イヌMDR1ノックアウト細胞株と
ヒトトランスポーターノックイン細胞株

Madin-Darby Canine Kidney(MDCK:イヌ腎臓尿細管上皮細胞由来)細胞は、薬物透過およびトランスポーター研究を含む、様々な研究用途に最も広く使用されている細胞株の1つです。 MDCK細胞には由来P-糖タンパク質(cP-gp)cMDR1が高発現しているため、透過性およびトランスポーターアッセイの正確性に影響を与えることが知られています。
シグマ アルドリッチでは、CRISPR ゲノム編集技術を用いて、cP-gpノックアウトMDCKII細胞株を樹立しました。これは薬物トランスポーターおよび透過性試験のより予測モデルとして利用可能な株です。
さらに、ヒトP-糖タンパク質(hPg-p/hMDR1)またはヒトBCRP(hBCRP)のいずれかをノックインしたMDCKII cP-gpノックアウト細胞株も樹立されています。これらは、刷子縁膜極性を持ち、薬物輸送研究に有用です。
シグマ アルドリッチのトランスポーターノックアウト/ノックイン細胞株は、薬物トランスポーター相互作用の正確な同定に用いることが可能です。再現性のある結果、時間とコストの節約、柔軟性の高いアッセイを実現します。

Figure 1.
MDCKIIイヌP-gp(cP-gp)トランスポーターノックアウト細胞株の細胞形態

Figure 2.
MDCKII細胞株におけるイヌP-gp(cP-gp)トランスポーターノックアウトおよびヒトトランスポーターノックイン細胞株の模式図

特長

  • cP-gp薬物トランスポーターの遺伝子ノックアウトによりバックグラウンド活性が排除
  • 基質の能動輸送を担うトランスポーターを明瞭に判断可能
  • 薬物トランスポーターの検査ワークフローに適合可能

イヌcMDR1ノックアウト ヒトhMDR1ノックインMDCK II細胞株

ジゴキシン、エリスロマイシンおよびキニジンは、排出比(ER値)≧2のP-gp基質です。 対照的に、トリプロリジンはP-gp基質ではありません。これらP-gp基質を用いた複数の実験からイヌ由来cMDR1ノックアウト細胞株ではP-gpの機能を消失、ノックインしたヒト由来排出トランスポーター(hMDR1)が機能していることが確認されています(Figure 3-9)。

A. ジゴキシン 透過性

B. ジゴキシン 排出比

 

Figure 3.
野生型(WT)、cMDR1ノックアウトhMDR1ノックインMDCKII細胞におけるP-gp基質ジゴキシンの(A)透過性(Papp)および(B)排出比(ER値)

cMDR1ノックアウト細胞におけるジゴキシンの透過性(B>A)は有意に排出比(ER値)が2未満まで減少したことから、cMDR1ノックアウト細胞におけるMDR1の機能消失を確認した。一方、hMDR1ノックイン細胞株の透過性(B>A)は劇的に増加し、排出比(ER値)が有意に戻ったことは、hMDR1ノックイン細胞においてhMDR1が機能していることを示している。

エリスロマイシン 排出比(2 μM)

キニジン 排出比(2 μM)

Figure 4.
P-gp基質エリスロマイシンおよびキニジンの排出比(ER値)

両基質の排出比(ER値)は、cMDR1ノックアウト細胞株で2未満に減少した。一方、 hMDR1ノックイン細胞株では、排出比(ER値)が2を大きく上回った。

トリプロリジン 透過性

トリプロリジン 排出比

Figure 5.
非MDR1基質トリプロリジンの透過性(Papp)および排出比(ER値)

Papp値(A>BおよびB>A)は、野生型、cMDR1ノックアウトおよびhMDRノックイン細胞株の間で有意差がなく、排出比(ER値)はすべての細胞株で約1を示した。A>Bの Papp値は、化合物が高透過性クラスに属することを示し、これは文献報告※と一致する。また、これらのデータはMDR1遺伝子に対する操作が非MDR1基質の透過性に影響しないことを示した。
※ Cuiping Chen, et al. P-Glycoprotein Limits the Brain Penetration of Nonsedating but not Sedating H1-Antagonists. Drug Metabolism and Disposition 2003, 31 (3) 312-318 PMID:12584158

データ提供:SOLVO Biotechnology社(Figure 6-9)

Figure 6.
cMDR1ノックアウト(KO)およびhMDR1ノックイン(KI)MDCKII細胞株のジゴキシン透過性(Papp)および排出比(ER)

排出比(ER値)はcMDR1 KO≦2、およびhMDR1で> 2を示した。
TEER値:100-125 Ωcm2

Figure 7.
P-gp阻害剤ベラパミル有無によるcMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhMDR1ノックイン(KI)MDCKII細胞株のジゴキシン透過性(Papp)および排出比(ER)

ベラパミルの有無にかかわらず、cMDR1 KOの排出比(ER値)≦2であった。hMDR1はベラパミル存在下で排出比(ER値)≦2だった。

Figure 8.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhMDR1ノックイン(KI)MDCKII細胞におけるキニジン透過性(Papp)および排出比(ER値)

排出比(ER値)はcMDR1 KOで≦2、およびhMDR1で> 2を示した。
TEER値:100-125 Ωcm2

Figure 9.
P-gp阻害剤ベラパミル有無によるcMDR1ノックアウト(KO)およびhMDR1ノックイン(KI)MDCKII細胞におけるMDR1基質キニジン透過性(Papp)および排出比(ER値)

ベラパミルの有無にかかわらず、cMDR1 KOの排出比(ER値)は≦2であった。hMDR1はベラパミル存在下で排出比(ER値)が≦2だった。

イヌcMDR1ノックアウト ヒトhBCRPノックインMDCK II 細胞株

トポテカン、テリフルノミドおよびSN-38は、排出比≧2を有するヒトBCRP基質です。これらBCRP基質を用いることでノックインしたヒト由来排出トランスポーター(hBCRP)が機能していることを確認しました(Figure 10-18)。

テリフルノミド 透過性

テリフルノミド 排出比

Figure 10.
野生型(WT)、cMDR1ノックアウト(KO)およびhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるhBCRP基質テリフルノミドの透過性(Papp)および排出比(ER値)

テリフルノミドの排出比は、野生型MDCKII細胞株について2未満だった。 排出比は、hBCRPノックイン細胞株ではcMDR1ノックアウトコントロール細胞株より十分に大きい。

Figure 11.
ヒトBCRPノックインMDCKII細胞におけるBCRP基質排出

cMDR1 ノックアウト(KO)細胞株と野生型MDCK II細胞株においてBCRP基質テリフルノミドとSN-38の両基質の排出比(ER値)は<2だった。また、hBCRPノックイン細胞株がテリフルノミド、あるいはSN-38に曝露された場合、排出比(ER値)は大幅に増加した。BCRP阻害剤Ko143を基質テリフルノミド、SN-38と共に添加した場合、hBCRPノックイン細胞株の排出比(ER値)は<2だった。

トポテカン 透過性

トポテカン 排出比

Figure 12.
野生型(WT)、cMDR1ノックアウト(KO)およびhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞におけるhBCRP基質トポテカンの浸透性(Papp)および排出比(ER値)

トポテカンの排出比(ER値)はcMDR1ノックアウト細胞株において<2だった。 cMDR1ノックアウトhBCRPノックイン細胞株では有意に2を上回ることが示された。

データ提供:SOLVO Biotechnology社(Figure 13-18)

Figure 13.
cMDR1ノックアウト(KO)およびhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるBCRP基質プラゾシン透過性(Papp)および排出比(ER値)

cMDR1ノックアウト細胞株の排出比(ER値)は≦2、hBCRPノックイン細胞の排出比(ER値)は> 2であることが示された。トランスポーターアッセイ後、測定されたルシファーイエロー透過性は、50 μM プラゾシンで処理したcMDR1ノックアウト細胞株のウェル以外のウェルにおいて3%未満だった。 (Data not shown)
TEER値:85-129 Ω cm2

Figure 14.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるBCRP阻害剤KO143の有無によるBCRP基質プラゾシン透過性(Papp)および排出比(ER値)

阻害剤の有無にかかわらず、cMDR1ノックアウト細胞株の排出比(ER値)は≦2だった。hBCRPノックイン細胞株の排出比(ER値)は阻害剤存在下で≦ 2だった。トランスポーターアッセイ後に測定されたルシファーイエロー透過性は、50 μMプラゾシン処理したcMDR1ノックアウト細胞株のウェル以外のウェルにおいて3%未満だった。 (Data not shown)
TEER値:85-129 Ωcm2

Figure 15.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるBCRP基質クロロチアジド (CHT)透過性(Papp)および排出比(ER値)

cMDR1ノックアウト細胞株の排出地(ER値)は≦2、hBCRPノックイン細胞株の排出比(ER値)は> 2を示した。トランスポーターアッセイ後測定されたルシファーイエロー透過性は、全てのウェルについて3%未満だった。 (Data not shown)
TEER値:85-129 Ωcm2

Figure 16.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるBCRP阻害剤Ko143有無によるBCRP基質クロロチアジド (CHT)の透過性(Papp)および排出比(ER値)

cMDR1ノックアウト細胞株の排出比(ER値)は≦2、hBCRPノックイン細胞の排出比(ER値)は>2を示した。トランスポーターアッセイ後、測定されたルシファーイエロー透過性は、 50 μMプラゾシン処理したcMDR1ノックアウト細胞株のウェル以外のウェルにおいて3%未満だった。 (Data not shown)
TEER値:85-129 Ωcm2

Figure 17.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞株におけるBCRP基質テリフルノミド透過性(Papp)および排出比(ER値)

dMDR1ノックアウト細胞株の排出比(ER値)は≦2、hBCRPノックイン細胞の排出比(ER値)は> 2だった。トランスポーターアッセイ後、測定されたルシファーイエロー透過性は、全てのウェルについて3%未満であった(Data not shown)。
TEER値:85-129Ω cm2

Figure 18.
cMDR1ノックアウト(KO)およびヒトhBCRPノックイン(KI)MDCKII細胞におけるBCRP阻害剤Ko143の有無によるBCRP基質テリフルノミド透過性(Papp)および排出比(ER値)

阻害剤の有無にかかわらず、 排出比(ER値)はcMDR1ノックアウト細胞株で≦2、hBCRPノックイン細胞株ではKo143存在下で≦ 2であった。トランスポーターアッセイ後、測定されたルシファーイエロー透過性は、全てのウェルについて3%未満であった(Data not shown)。
TEER値:85-129Ω cm2

製品情報

製品名 容量 保存温度 カタログ番号
Canine MDR1 Knockout MDCKII Control Cells 2-6 x 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1301
Canine MDR1 Knockout, Human MDR1 Knockin MDCKII Cells 2-6 x 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1303
Canine MDR1 Knockout, Human BCRP Knockin MDCKII Cells 2-6 x 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1304

※Canine MDCKII 野生型細胞株はECACCカタログ番号85011435です。

継代培養をしてご使用になる場合は、Millipore Sigma社とライセンス契約を締結いただく必要があります。詳細はお問い合わせください。