ADME/Tox & DMPK in vitro systems

ヒト腎近位尿細管細胞株 RPTEC SA7Kクローンと
トランスポーターノックアウト細胞株

シグマ アルドリッチは腎バリアおよび腎毒性における特定の薬物トランスポーター研究のために、独自のヒト腎近位尿細管細胞株(Renal Proximal Tubule Epithelial Cells(RPTECs))においてCompoZrジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)技術を用いてトランスポーターノックアウト(KO)細胞株を開発しました。
SA7Kコントロール細胞株発現薬剤トランスポーター:OAT3、OCT2、MDR1、MRP2、MRP4、MATE1およびMATE2K

SA7Kコントロール細胞株の特長

  • 機能的な取り込みおよび排出トランスポーター
  • 既知のネフローゼに対する応答を保持
  • 堅牢な成長特性
  • 腎近位尿細管細胞特異的バイオマーカーの発現
  • 高再現性

Figure 1.
SA7Kコントロール細胞株の細胞形態(×10)

SA7Kクローン細胞株は、初代ヒトRPTEC(WT)と同様の形態を示す。 尿細管に似たドーム構造を形成するのが観察された(青丸)。

3D培養における腎臓モデル

ECMとフィブロネクチンによるサンドイッチ培養によって、腎近位尿細管細胞株(RPTECs)は細管を形成できます(Figure 2および3)。腎近位尿細管細胞株(RPTECs)は、アルブミン再吸収(Figure 4)、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)活性および副甲状腺ホルモンに対する応答(Data not shown)を含む典型的な近位尿細管機能を維持します。SA7Kコントロール細胞株はまた、CD13およびα-GSTといった近位尿細管特異的マーカーの正常な上皮形態および発現を示します(Figure 5)。

Figure 2.
細胞外マトリックスの有無によるSA7Kクローン細胞株の形態比較

細胞外マトリックス(ECM)存在下で7日間培養したSA7Kコントロール細胞株では、尿細管様構造の形成が観察された。
細胞播種濃度:1.25×106 cells / well (24ウェルプレート使用)

Figure 3.
SA7Kコントロール細胞株由来尿細管様構造におけるLucifer Yellowの取り込み

SA7K コントロール細胞由来構造体の(A)明視野画像、(B)DAPI 染色像、(C)Lucifer Yellow の分布、(D)BとCのMarge 画像( いずれもx40)。ECMを用いた培養で10日目に形成されたSA7Kコントロール細胞株由来尿細管様構造へのLucifer Yellow暴露の影響を観察した。尿細管様構造内腔へのLucifer Yellowの取り込みおよび細胞からの排出は蛍光イメージングによって測定された。

Figure 4.
SA7Kクローン細胞株におけるアルブミンの再吸収

SA7Kコントロール細胞株は、時間および温度依存的にアルブミン-FITCの取り込みを示した。

Figure 5.
SA7Kコントロール細胞株における近位細管マーカーCD13およびαグルタチオンS-トランスフェラーゼ(α-GST)の免疫細胞化学染色

SA7Kコントロール細胞株における刷子縁膜タンパク質アミノペプチダーゼN(CD13)を、マウス抗ヒトCD13蛍光標識抗体を用いて検出した結果(左)。ヒト腎臓は、α-GSTを高レベルに発現しており、SA7Kコントロール細胞株もα-GSTが検出された(右)。

腎毒性モデル

ジグリコール酸(Figure 6)、タクロリムス(Figure 7)および二クロム酸カリウム(Figure 8)に曝露された際、SA7Kクローン細胞株では、典型的な腎毒性応答が観察されました。

化合物 SA7Kコントロール細胞株 初代腎近位尿細管細胞 参考文献
ゲンタマイシン 3 mM > 2 mM Yao Li. et al., Mol Pharm. 2014;11(7):1982-90. PMID: 24495215
タクロリムス 75 μM 60 μM Yao Li. et al., Mol Pharm. 2014;11(7):1982-90. PMID: 24495215
    50 - 250 μM Atcherson MM and Trifillis AL. In Vitro Cell Dev Biol Anim. 1994;30A(9):562-7. PMID: 7529625
ニクロム酸カリウム 25 μM 30 μM Yao Li. et al., Mol Pharm. 2014;11(7):1982-90. PMID: 24495215
ジグリコール酸 9 mM 75 mM Greg M. Landry, et al., Toxicol Sci. 2011;124(1):35-44. PMID: 21856646

Table 1.
SA7Kコントロール細胞株と初代腎近位尿細管細胞に対する各化合物のIC50

典型的な腎毒性物質に対するSA7K細胞の応答は、初代ヒトRPTECに類似している。表中の値は各化合物への24時間暴露後のIC50を表す。

Figure 6.
ジエチレングリコールの代謝の2つの主要な代謝物のうち、1つがジグリコール酸(DGA)で、これは腎近位尿細管細胞に対して細胞傷害性である。 SA7Kコントロール細胞株は、データで示されるように、DGAに対して予想される感受性を示した。

Figure 7.
タクロリムスは、臓器拒絶反応のリスクを低下させるために臓器移植後に使用される免疫抑制剤である。臨床で生じる毒性が未知のメカニズムを有する慢性および進行性腎疾患として観察される。 SA7Kコントロール細胞株とのデータは、タクロリムスに対する感受性を示した。

Figure 8.
二クロム酸カリウムは、実験室および工業用の一般的な酸化剤で、 六価クロム化合物として急性腎不全を引き起こすことが知られている。SA7Kコントロール細胞株でその細胞毒性効果が確認された。

薬剤トランスポーター発現腎臓モデル

SA7K コントロール細胞株は、OCTおよびOATトランスポーターの基質および阻害剤に応答します。
OCT基質:Amantadine、MPP、 YH155 およびTEA
OAT基質:PAHおよび6-カルボキシフルオレセイン

これら基質の取り込みおよび対応する阻害剤による取り込み阻害を示しました(Figure 9)。 主要な薬物トランスポーターのmRNA発現のFold-inductionは、フィブロネクチンTCプレートおよびECMサンドイッチ培養の最適条件下で行われました(Figure 10)。

Figure 9.
トランスポーター阻害による薬剤取込への影響の測定

10 μM 基質+トランスポーター阻害剤(D: 10 μM Doxepin、V: 10 μM Verapamil)

ECM存在下で培養されたSA7Kコントロール細胞株では、ECM非存在下と比較して各基質(本データではAmantadine、PAH、6-Carboxyfluoreceinに関して示されている)の取り込み量が有意に増加し、トランスポーター阻害剤の添加によってPAH、MPP、TEAに関して50%以上の取り込み抑制が観察された。

Figure 10.
SA7Kコントロール細胞株における主要薬物トランスポーター遺伝子の発現解析

主要薬物トランスポーター遺伝子に対するqRT-PCRから、SA7K株のトランスポーター遺伝子発現解析を実施した。ECM存在下では、対照群と比較してMATE1(20倍)、MATE2K(50倍)、OCT2(5倍)、MRP2(2倍)、MRP4(1.5倍)の発現上昇が観察された。

製品情報

製品名 容量 保存温度 製品番号
Kidney PTEC Control Cell (SA7K Clone) 3 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1030-1VL
Kidney PTEC MDR1 Knockout Cells 3 × 106 cells/vial 液体窒素 MTOX1071-1VL

継代培養をしてご使用になる場合は、Millipore Sigma社とライセンス契約を締結いただく必要があります。詳細はお問い合わせください。

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RPTEC Complete Supplement 30 mL -20℃ MTOXRCSUP
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