FLAG®発現システムは組換え融合タンパク質の発現、精製、検出用に確立されたシステムです。ウェスタンブロット、免疫組織化学、免疫沈降、フローサイトメトリー、タンパク質精製やタンパク質間相互作用、細胞の微細構造、タンパク質同定等、多くのアプリケーションで実績を残しています。このスモールサイズの親水性タグを使えば、特異性と感度にすぐれた弊社のANTI-FLAG®抗体での組換え融合タンパク質の検出、精製がさらに容易になります。
- 実績− 2,000以上もの報告があります。
- 超高感度− 100 fmolのタンパク質を検出できます。
- 包括的− 多種フォーマットで使用できる完全システムです。
FLAGタグ抗体入門編はこちら
1. FLAG、3xFLAG の概要
1-1. 理想的なエピトープタグ:スモールサイズ、親水性、切断可能
FLAGシステムではFLAGベクターにより目的タンパク質に融合して発現される短い8アミノ酸の、親水性ペプチド(Asp-Tyr-Lys-Asp-Asp-Asp-Asp-Lys)を用いています。FLAGペプチドには特異性の高いAnti-FLAGモノクローナル抗体(M1、M2、M5)およびポリクローナル抗体の結合部位があり、それぞれ異なる認識特性や結合特性を持っています。FLAGペプチドは親水性なので融合タンパク質の表面付近に存在しやすくなっています。そのため、抗体の接近やエンテロキナーゼによる切断が容易です。加えてFLAGペプチドは小さいので融合タンパク質の他のエピトープやドメインを覆ってしまったり、機能を変えたり、分泌、移動を阻害する可能性が少なく抑えられています。
3xFLAGシステムは融合タンパク質に3つのFLAGエピトープ(22アミノ酸)をタンデムに融合させる改良システムです。3xFLAGを用いることにより検出感度は200倍までに上昇します。発現量が低い場合、3xFLAGが最適です。従来のFLAGタグと同様に親水性でエンテロキナーゼ切断サイトを有し、22アミノ酸と比較的小さいためタンパク質機能の変化、他のエピトープタグのブロック、溶解性の低下等の可能性は小さく抑えられています。
FLAGタグと3xFLAGタグのアミノ酸配列

N末端FLAGタグ(アミノ酸8個)と3xFLAGタグ(アミノ酸22個)は、タグのC末端にあるAsp-Asp-Asp-Asp-Lys配列の下流でエンテロキナーゼに切断されます。
FLAGタンパク質発現システム

back to top
1-2. 高感度検出
- 超高感度:他のどんなタグシステムに比べ20 ~ 200 倍の感度(3xFLAG)
- 検出感度:≦10 fmol(3xFLAG)、≦100 fmol(FLAG)
- 哺乳動物細胞の低発現レベル遺伝子に最適(3xFLAG)
- FLAGの配列を3回タンデムリピート(3xFLAG)
- 免疫沈降、ウェスタンブロット、免疫細胞化学での検出を増強(FLAG1、3xFLAG)
3xFLAGの感度比較

各々のタグをGSTのC末端にクローニング。精製した融合タンパク質を1µgから0.01ngまで希釈して分析。ウェスタンブロットでの各々のタグの検出限界を、それぞれの1次抗体(推奨濃度に希釈)、2次抗体としてHRP標識Anti-Mouse IgG、ECL化学発光基質を用いて検出。
FLAGと3xFLAGのウェスタンブロットの感度比較

ニトロセルロースメンブレンに転写した3xFLAG-BAP* およびFLAG-BAP* のウェスタンブロット。1次抗体にAnti-FLAG M2モノクローナル抗体、2次抗体にHRP標識Anti-Mouse IgGを使用。ECL™化学発光基質で検出した。(*BAP:Bacterial Alkaline Phosphatase)
back to top
1-3. 特異性の高い抗体
- FLAGタグと3xFLAGタグの配列には、認識性と結合性がそれぞれに異なる高特異性のANTI-FLAGモノクローナル抗体(M1、M2、M5)、ポリクローナル抗体、複合体の結合部位が含まれています
- ANTI-FLAG抗体は、ほとんどの哺乳動物細胞および細菌細胞のライセートで交差反応をほとんど、またはまったく示しません
FLAG融合タンパク質のAnti-FLAG M2抗体による検出
 |
Lane1: FLAG-BAP* コントロールタンパク質
Lane2: COS-7細胞抽出液(ネガティブコントロール)
Lane3: pFLAG-CMV-2-BAP* をトランスフェクションしたCOS-7細胞抽出液
*BAP : Bacterial Alkaline Phosphatase
|
back to top
1.4. ワンステップ精製
- たったワンステップのクロマトグラフィーでシングルバンドまで精製
- 非変性条件下での精製
- FLAG、3xFLAG合成ペプチドによる単純で拮抗的な溶出
- アフィニティゲルと96ウェルプレートでの精製が可能
Anti-FLAG M2アフィニティゲル精製によるSDS-PAGEの結果
 |
Anti-FLAG M2アフィニティゲルで精製しpFLAG-ATS™ -BAPをトランスフェクトした大腸菌ライセートの SDS-PAGE。(クマシーブリリアントブルーで染色した)
Lane1: 大腸菌ライセート(精製前)
Lane2: 大腸菌ライセート(精製後)
|
back to top
1-5. 細菌系と哺乳動物系に適したベクター
- 細胞質発現または分泌
- T7プロモーターまたはtacプロモーターの配列を有する細菌ベクター
- FLAGタグ同様、3xFLAGタグも哺乳動物系に使用可
- 二重タグ融合タンパク質が可能
- N末端FLAGタグ、3xFLAGタグのEk切断部位で融合タグを切断できます
- 哺乳動物細胞におけるバイシストロン性発現ベクターの新製品BICEP™シリーズは、FLAG融合タンパク質の効率的な安定発現と多重遺伝子発現を実現
細菌系と哺乳動物系に適したベクター

back to top
1-6. FLAGによる染色例

|
FLAG-p53 and mock transfected COS-7 cells were permeabilized, fixed, blocked, and incubated with Anti-FLAG M2, affinity purified antibody. |
back to top
3. 技術情報
3-1. 米国情報
3-2. プロトコール
3-2-1. ベクターへの目的遺伝子の挿入
- ベクター調整(PDF 239KB)
- インサート調整(PDF 310KB)
- ベクターへのインサートのクローニング(PDF 238KB)
- 陽性クローンの確認(PDF 306KB)
- インサートの塩基配列決定(PDF 242KB)
3-2-2. FLAG融合タンパク質の発現誘導(大腸菌、哺乳類、昆虫)
- 大腸菌(PDF 249KB)
- タンパク質発現宿主
- FLAG融合タンパク質を発現する形質転換体のスクリーニング
- 融合タンパク質発現の最適化
- 哺乳類細胞(PDF 236KB)
- トランスフェクション
- 一過性発現/安定発現
- FLAG融合タンパク質発現確認
- 昆虫細胞
3-2-3. FLAG融合タンパク質の単離・精製・検出
- 細胞溶解(PDF 236KB)
- 精製
- 検出
- 除去
back to top
4. トラブルシューティング
FLAG製品に関するトラブルシューティングはこちら
back to top
5. 受託カスタムFLAGペプチド合成
FLAGペプチドは化学合成による作製をおこなうことができるため、様々な応用が可能となっております。化学合成をおこなう際には、一般的にはFmoc固相合成法によるペプチド合成が採用され、アプリケーションに応じて必要な修飾をFLAGペプチドに施すことが可能となっています。Fmoc固相合成法によるペプチド合成の利点は、任意の配列に希望の修飾を比較的容易におこなえることです。
また近年注目を集めているクリックケミストリーを利用したアプリケーションに対応できる点も、ペプチド合成によるメリットといえます。詳しくはこちらをご覧ください(PDF 2.8MB)
back to top
おすすめ |
お役立ちツール |
Sigma News
キャンペーンや製品情報をお届けするメールニュース(配信登録はこちらから)
|
- PDFカタログをダウンロードすることができます。
- 製品検索には、「製品名・製品番号・CAS番号など」、もしくは「製品カテゴリ」の方法があります(製品検索方法)。
- 規格書やSDS(安全性データシート)、ロットごとの分析表のほかに、日本円価格、国内在庫情報も確認することができます(製品情報の見方)。
|