核酸の増幅 (PCR/RT-PCR)

実験のヒントとトラブルシューティング

このセクションでは、収量およびfidelityの向上など、ベーシックなPCR技術を身に着けるための方法について、いくつかのパートに分けて説明しています。

目次

一般的に懸案となる事項

コンタミネーション回避のためのラボ・セットアップ

PCRには1個の分子でも増幅できる能力があります。
これは、ごく微量のDNA夾雑物でもテンプレートとして機能し、誤ったテンプレートが増幅され、偽陽性となるおそれを示唆します。
以下の汚染源由来のコンタミネーションが多くの実験室で発生しています。

  • 実験室のベンチや機器、ピペッティング装置が、前回のDNA調製物やプラスミドDNA、制限酵素断片などにより、汚染されている。
  • サンプル間のクロスコンタミネーション。
  • 前回のPCR増幅反応由来の産物。

Laboratory facilities

  • 以下の作業には、必ず物理的に隔離された作業スペースを確保しましょう。
    • PCR前のテンプレート調製
    • PCR反応液の準備
    • PCR後の解析
  • DNaseおよびRNase Freeの薄壁PCRチューブを使用してください。
  • 特殊なAerosol-Resistantのピペット チップ、およびPCR専用の(他の実験には使用していない)ピペット セットを使用してください。できればPositive Displacementタイプのピペットを用意しましょう。
  • 可能であれば、UV照射装置を備えたベンチ下でPCR反応液を準備してください。ベンチには、PCR専用の微量遠心機およびDisposableの手袋を常備してください。

Sample handling

  • PCRエリアで作業をする際には、無菌技術を用い、常に新しい手袋を着用してください。
    手袋は頻繁に交換し、特にテンプレートDNAを含む溶液で汚染されたことが疑われる場合は必ず交換してください。
  • PCR試薬やテンプレートDNAを調製するためのガラス器具やプラスチック器具、ピペットは必ず、滅菌済みの新品を使用してください。
  • オートクレーブ可能なすべての実験用具は、オートクレーブを実施してください(当然ですが、プライマー、dNTP、Taq DNAポリメラーゼはオートクレーブ処理してはいけません)。
    実験にはPCR作業専用の試薬類を用意し、試薬はあらかじめ使いやすいスケールで分注しておくのが理想的です。
  • DNAをピペット操作する際は、夾雑物を保持する可能性のあるエアロゾルを発生させないように注意しましょう。
  • 例えば、(テンプレートDNAを除く)すべての反応成分を含むネガティブ コントロールなどのコントロール反応液、および前回のPCRで使用して有効であったポジティブ コントロールを、必ずサンプルに含めるようにしてください。

専用機器

Type of thermal cycler

サーマルサイクラーは、少なくとも、3つのPCRインキュベーション温度(標準的PCRにおけるサーマル サイクリング プロファイルを参照)を正確に再現性よく維持し、1つの設定温度から別の設定温度へと指定可能な時間で変化し、大幅なオーバーシュートやアンダーシュートなしに選択した温度に達し、温度間を繰り返し再現性よく循環しなければなりません。

Note:サイクリング条件は、各サーマル サイクラーまたはプライマー テンプレートの組み合わせによって調整しなければなりません。

Type of reaction tubes

マイクロチューブは、サーマル サイクラーから反応混合液への熱伝導に影響を及ぼします。
なるべくPCR用にデザインされた、使用しているサーマル サイクラーのウェルにぴったりはまる薄壁マイクロチューブを利用してください。

PCR反応成分

Template

テンプレートの品質はPCRの成績に影響を及ぼします。例えば、DNAテンプレート中の大量のRNAはMg2+をキレート化し、PCRの収量を低下させます。また、不純なテンプレートはポリメラーゼの阻害物質を含み、反応効率を低下させる可能性があります。

Note: 最も純粋なテンプレートを得るためには、DNA精製用に特化してデザインされた精製用製品を常に用いるようにしてください。

テンプレートの完全性も重要です。 テンプレートDNAは高分子量と考えられます。DNAのサイズおよび品質の確認では、アガロースゲルに反応産物の一部を泳動してください。新しいテンプレートを試験する際は常に、既知サイズのPCR産物を増幅し、良好な収量を確保できるプライマーによるポジティブ コントロールを含めるようにしてください。

反応液中のテンプレート量は、PCRのパフォーマンスに強い影響を及ぼします。標準的なPCRの推奨テンプレート量は以下のとおりです。

  • ヒトゲノムDNAでは最大500 ng
  • 細菌DNAでは1~10 ng
  • プラスミドDNAでは0.1~1 ng

例えば10 ng未満のヒトゲノムDNAなど、低量のテンプレートは、サイクル数の変更やプライマーの再デザイン、ホットスタート法の利用など、反応方法に特殊な変更を要する場合があります。

Primers

大部分のPCRアプリケーションで、アッセイの全般的な成否を決定するのは、プライマーの配列と濃度です。
市販のプライマー デザインソフトウェアを用いて、プライマー配列が以下の一般的特性を満たしているかどうかを確認できます。

  • 18~24塩基長
  • 内部二次構造がない
  • G/C含有量40~60%
  • G/CおよびA/Tリッチ領域の分布のバランスが取れている
  • 3’末端が互いに相補的ではない(プライマーダイマーが形成されない)
  • アニーリング温度を55~65°Cとすることが可能な融解温度(特異性を最大にするためには、62~65°Cの温度を使用してください。)

Note: 至適アニーリング温度は、プライマーのTmより高くなることが多く(約5~10°C)、経験的に決定する必要があります。両プライマーのTmは同等になると考えられます。テンプレートにハイブリダイズしない塩基がプライマーの5’末端に添加されることもあります(例: 増幅産物に制限酵素部位を導入するため)。一般にプライマー濃度は0.1~0.6 µMが至適です。これより高いプライマー濃度では、ミスプライミングや非特異的産物の蓄積が促進されることがあります。またプライマー濃度が低いと、反応が完了する前にプライマーが枯渇し、望まれる産物の収量が低くなる可能性があります。

Note: 一部のシステムでは、プライマー濃度を上げると(最高1 µM)結果が改善されることがあります。新しいプライマーを試験する際は常に、PCRで機能試験済みであるテンプレートによるポジティブコントロール反応を組み込んでください。このコントロールにより、プライマーが機能するかどうかが示されます。ロシュのHuman Genomic DNAは、ヒトプライマー配列を評価するための優れたコントロール テンプレートです。

Choice of DNA polymerase

DNAポリメラーゼの選択はPCRの成績に甚大な影響を及ぼす可能性があります。大部分のPCRアッセイでは、Taq DNAポリメラーゼが長年、標準的な酵素でした。
しかし、Taq DNAポリメラーゼも万能ではありません。ほとんどのアッセイで、耐熱性ポリメラーゼ(またはポリメラーゼ ミックス)の至適量は反応容量50 µLあたり0.5~2.5 Uの間となります。必要以上に酵素濃度を上げると、特異性が低下する場合があります。

MgCl2 concentration

Mg2+はdNTPと可溶性複合体を形成し、ポリメラーゼが認識する実際の基質を生成します。遊離型Mg2+濃度は、dNTPや遊離型ピロリン酸(PPi)、EDTAなど、Mg2+に結合する化合物の濃度に依存します。最良の結果を得るためには、常に至適Mg2+濃度を経験的に決定する必要があります。至適Mg2+濃度は約1 ~5 mMの間とさまざまです。最もよく使用される濃度は1.5 mM(dNTP濃度はそれぞれ200 μM)です。Mg2+は酵素活性に影響を及ぼし、二本鎖DNAのTmを上昇させます。反応液中のMg2+が過剰な場合、非特異的プライマー結合が増加し、結果的に非特異的バックグラウンドが高くなることがあります。

Deoxynucleotide triphosphate (dNTP) concentration

ポリメラーゼのエラー率を最小限にするために、4種類のdNTPの量が均等である溶液を用いるようにしてください。各dNTP量が不均衡な混合液ではTaq DNAポリメラーゼのfidelityが低下する可能性があります。

Note: ロシュのPCR Nucleotide Mix, PCR Gradeなどのプレミックス型混合液は、各dNTP量が均等に調製されており、反応混合液に安心して添加することができます。 もちろん、個別にPCRグレードのdATPdGTPdCTPdTTPおよびDeoxynucleotideもお使いいただけます。

dNTP濃度を上昇させる場合、Mg2+濃度も増加させなければなりません。 dNTP濃度の増加によって遊離型Mg2+が減少し、ポリメラーゼ活性が阻害されプライマーのアニーリングが抑制されます。キャリーオーバーコンタミネーションを予防するため、通常は高濃度のdUTPがdTTPの代わりに用いられます(詳細はウラシルDNAグリコシラーゼによるキャリーオーバーコンタミネーションの防止を参照)。最終dNTP濃度は50~500 µM(各dNTP)となります。最も使用頻度の高いdNTP濃度は200 µMです。

pH

一般に、対応する耐熱性DNAポリメラーゼに同梱される反応バッファのpH (pH 8.3 ~ 9.0)により最良の結果が得られます。しかし、一部のシステムでは、pHを上昇させることによりテンプレートが安定し、結果が向上することがあります。

Reaction additives

一部の事例では、以下の化合物を添加することによりPCRの効率または特異性が向上することがあります。

  • ベタイン(0.5 ~ 2 M)
  • ウシ血清アルブミン(BSA; 100 ng/50 µl)
  • 界面活性剤
  • ジメチルスルホキシド(DMSO; 2 ~ 10%) (v/v)
  • ゼラチン
  • グリセロール (1 ~ 5%) (v/v)
  • ピロリン酸
  • スペルミジン
  • T4ジーン32プロテイン
  • ホルムアミド

標準的PCRにおけるサーマル サイクリング プロファイル

Initial denaturation

テンプレートDNAを完全に変性することはきわめて重要です。PCR混合液の94~95°Cでの2分間の初期加熱は、複雑なゲノムDNAを完全に変性するのに十分であり、反応混合液が冷却されるにつれてプライマーがテンプレートにアニーリングできるようになります。テンプレートDNAが部分的にしか変性されていない場合、きわめて急速に「元のサヤに収まる」傾向にあり、効率的なプライマー アニーリングおよび伸長が阻害されたり、セルフ プライミングが発生して偽陽性の結果が得られたりします。

Denaturation step during cycling

通常は、94~95°Cで20~30秒間の変性で十分といわれていますが、この数値を使用するサーマル サイクラーやチューブに至適化させなければなりません。 例えば、500 µLチューブでは200 µLチューブよりも長い加熱時間が必要です。 変性温度が低すぎると、不完全に融解したDNAが前述のように元のサヤに収まるため、プライマーと接触できなくなるためです。 GCリッチなテンプレートDNAの場合、変性時間を延長させるか、変性温度を上昇させてください。

Note: テンプレートDNAの完全変性に絶対的に必要とされる時間以上に、変性時間を延長しないでください。 必要以上の変性時間はTaq DNAポリメラーゼの活性を低下させるおそれがあります。

Primer annealing

大部分のPCRにおいて、アニーリング温度は経験的に至適化しなければなりません。 高特異性PCRのデザインでは、アニーリング温度の選択が最も重要な因子となります。 温度が高すぎるとアニーリングが起こらず、低すぎると非特異的アニーリングが劇的に増加します。 プライマーが1つ以上の相補的塩基を有し、2つのプライマーの3’末端間で塩基対が形成されると、プライマー ダイマーが発生してしまいます。

Primer extension

3 kbまでの断片については、プライマーの伸長は通常72°Cで行われます。 72°Cでは、Taq DNAポリメラーゼにより1秒間あたり約60個の塩基が追加されていきます。 1 kbまでの断片であれば45秒間の伸長で十分です。 3 kbまでの断片の伸長には、1 kbあたり約45秒間が必要です。しかし、これらの時間は、テンプレートごとに調整する必要があると考えられます。 収量の向上には、サーマルサイクラーの伸長特性を利用してください。 例えば、最初の10サイクルは一定の伸長時間(例: 1 kbの産物あたり45秒間)で実施します。 次の20サイクルは、伸長時間を1サイクルあたり2~5秒間延長します(例: サイクル11には50秒間、サイクル12には55秒間など)。 PCRが進行するにつれて増幅されるテンプレートが増加し、伸長を行う酵素が少なくなる(高いPCR温度で長時間経過し、生じる変性により)ため、サイクルを延長することによって、酵素が機能できる時間が長くなります。

Cycle number

至適反応では、10個未満のテンプレート分子でも40サイクル未満で増幅され、その産物はEB(エチジウムブロマイド)により染色されたゲルで容易に検出されます。 このため、ほとんどのPCRはわずか25~35サイクルで実行されます。サイクル数が増加するにつれて、非特異的産物が蓄積される可能性も高まります(Figure 1)。

Figure 1: 産物(ドーパミン2受容体遺伝子のエクソン6由来の245 bpアンプリコン)を一連の反応液で再増幅しました。1つ目のエクスペリメントセットでは、テンプレートを使用前に精製しませんでした。2つ目のセットでは、テンプレートを再増幅前にアガロースゲル電気泳動により精製しました。両セットにおいて、テンプレートは40、60、72回のサイクルのいずれかで増幅しました。産物の一部(8 µL)を3%アガロースゲル上で解析しました。
MWM: Molecular Weight Marker
40, 60, and 72: Number of amplification cycles.

Result: いずれのセットでも、最小サイクル数(40回)で最も特異的な産物が得られました。60回と72回の増幅では、多量体の「特異的」PCR産物を含むスメアが出現しました。
Photo courtesy of U. Finckh and A. Rolfs, Free University of Berlin, Germany.

Final extension

通常、最後のサイクル終了後、マイクロチューブは72°Cで5~15分間維持し、部分的伸長産物の完了と一本鎖の相補的産物のアニーリングを促進します。

PCR酵素の特性

Table 1に、ロシュの提供するPCR酵素のアプリケーション特性を例示します。

Table 1: Application profile of PCR enzymes provided by Roche Applied Science.
Length 増幅可能な断片長。
Specificity 特に困難なテンプレートにおける非特異増幅の度合。数値が高い = 特異性が高い、数値が低い = 副産物が多い。
Reproducibility 異なる酵素製造ロット間での、結果の一貫性。
Sensitivity より少量のテンプレートを用いても、高い増幅効率を得られるかの指標。
テンプレート数が少なければ高いsensitivityが必須。
Robustness 夾雑物など、増幅効率の脆弱性を高める物質に対する耐性の高さ。
Accuracy 標準的なTaq DNAポリメラーゼと比較しての増幅ミスの少なさ。倍率の基準値は各メーカにより異なる。
Carryover Prevention 当該試薬を使用する際、dTTPの代わりにdUTPを使用し、UNGによるキャリーオーバー予防措置が可能か否か。

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RT-PCRに特異的な事項

RT-PCR酵素の選択

RT-PCRで最優先に考慮すべき主なファクターは、cDNAの合成に用いるリバース トランスクリプターゼの選択となります。 酵素はそれぞれ異なる特性、すなわち特定の実験系への向き・不向きがあります。 最も重要な酵素特性を以下に説明します。

Temperature optima(至適温度)

インキュベーション温度が高いと、テンプレートの二次構造という問題を取り除くのに役立ちます。 また、高温ではミス プライミングが減るため、リバース トランスクリプターゼの特異性が向上します。すなわち高温(50~70°C)でインキュベートできる、熱活性の高いリバース トランスクリプターゼのほうが、mRNAの正確なコピーを生成する可能性が高くなるわけです。 特にGC含量が高いテンプレートの場合には、この関係が当てはまります。

Note: 高温状態では特異的プライマーのみを使用し、オリゴ(dT)またはランダム ヘキサマープライマーを用いないでください。

Divalent ion requirement(二価イオンの要件)

大部分のリバース トランスクリプターゼは、その活性に2価イオンを必要とします。 Mg2+を利用する酵素は、Mn2+を利用する酵素よりも正確なcDNAコピー数が多くなると考えられます。 これは、Mn2+がDNA合成のフィデリティにネガティブな影響を及ぼすためです。

Specificity and sensitivity(特異性および感応性)

リバース トランスクリプターゼは、少量のテンプレートをコピーする能力(sensitivity)、さらには、RNAの二次構造を正確に転写する能力(specificity)においても、それぞれ独自の特色を有しています。

Enzyme profiles(酵素のプロファイル)

Table 2 はロシュが提供しているRT-PCR酵素およびキットのアプリケーション プロファイルを示しています。

Table 2: Application profiles of RT-PCR enzymes and kits provided by Roche Applied Science.

逆転写プライマーの選択

プライミングは、生成されるcDNAのサイズおよび特異性に影響を及ぼします。 逆転写に用いられる可能性のあるプライマーには3種類あります。

  • Oligo(dT)12~18: 哺乳類mRNAの3’末端において内因性ポリ(A)+テールに結合します。 本プライマーでは、完全長cDNAが作成されることが多くなります。
  • ランダム ヘキサヌクレオチド: 多様な相補的部位でmRNAに結合し、部分長(短い)cDNAが得られます。 本プライマーは、テンプレートにおける広範な二次構造により現れる問題を克服するのに理想的であると考えられます。 これらのプライマーはmRNAの5’領域も、より効率的に転写します。
  • 特異的オリゴ ヌクレオチド プライマー: ターゲットのmRNAを選択的にプライミングします。このタイプのプライマーは、診断において用いられ、優れた評価を得ています。

テンプレートRNAの調製

RT-PCRの成功には、高品質の完全なRNAテンプレートが必要です。 こうしたテンプレートの調製には以下のガイドラインを利用してください。

  • 細胞溶解中に放出されるRNase活性を最小限にするには、懸濁液にプロテクターRNaseインヒビターを含めるか、細胞を破壊すると同時にRNaseを不活化させてください。
  • ガラス器具、プラスチック器具、試薬などからのRNaseコンタミネーション源をすべて除去するための措置を講じてください。
  • 核酸抽出用製品など、テンプレートRNAを調製するための核酸精製に特化してデザインされた製品を用いてください。
  • テンプレートにはtotal RNAではなく精製mRNAを使用してください。ポリ(A)+ mRNAで開始すると、存在量の少ないmRNAの増幅成功率が大幅に向上します。 これは、total RNA調製物におけるmRNAの比率がきわめて低いためです(一般に、哺乳類細胞由来のtotal RNAの1~5%)。
  • mRNAをテンプレートとして用いる場合、RT-PCRで用いる前にゲル電気泳動によりmRNAの完全性を確認してください。 mRNAは500 bp~8 kbの間にスメアとなって現れます。 その大部分は1.5~2 kbにみられます。

プライマーデザイン

特定のmRNA配列のRT-PCR増幅には、そのmRNA配列に特異的な2つのPCRプライマーが必要です。 そのプライマーデザインによって、cDNAの増幅産物と混入したゲノムDNA由来の増幅産物の識別も可能になります。 必要なプライマーのデザインには、2種類のアプローチ法があります。(Figure 2)

Figure 2: Primer design approaches.
Panel 1: イントロンの両側にあるエクソンの配列にアニールするプライマーを作成します。 これらのプライマーにより、ゲノムDNAから増幅される産物はすべて、イントロンのないmRNAから増幅される産物よりもはるかに大きくなります。
Panel 2:mRNA 上のエクソン/エクソン境界をまたぐプライマーを作成します。 そうしたプライマーはゲノムDNAを増幅しないと考えられます。

RT-PCRの手順

RT-PCRは1ステップまたは2ステップの手順で実行でき、両者にはそれぞれの利点があります。

1. Two-step procedures

A. Two tube, two-step procedure

In the first tube, first-strand cDNA synthesis is performed under optimal conditions, using either random hexamers, oligo(dT) primers (generating a cDNA pool), or sequence-specific primers. An aliquot of the RT reaction is then transferred to another tube (containing thermostable DNA polymerase, DNA polymerase buffer, and PCR primers) for PCR.

Advantages of this approach: This method is useful for experiments where multiple transcripts have to be analyzed from the same RT reaction or for specific applications, such as Differential Display Reverse Transcription (DDRT) or Rapid Amplification of cDNA Ends (RACE). Also, since the RT reaction is performed under optimal conditions, this approach produces the longest RT-PCR products (up to 14 kb in length, if the appropriate enzymes are used).

B. One tube, two-step procedure

In the first step, reverse transcriptase produces first-strand cDNA in the presence of Mg2+ ions, high concentrations of dNTPs, and either specific or nonspecific [oligo(dT)] primers (reaction volume, 20 µl). Following the RT reaction, an optimized PCR buffer (without Mg2+ ions), a thermostable DNA polymerase, and specific primers are added to the tube and PCR is performed. This approach may be useful when template amounts are limited, since the entire RT reaction is used in the subsequent PCR.

A two-step procedure has the following advantages:

  • Optimizes reaction conditions. The two-step format allows both reverse transcription and PCR to be performed under optimal conditions to ensure efficient and accurate amplification.
  • Provides flexibility. Two-step procedures allow the product of a single cDNA synthesis reaction to be used for analysis of multiple transcripts. This flexibility is valuable for such specialized applications as rapid amplification of cDNA ends (RACE) and Differential Display Reverse Transcription (DDRT).
  • Amplifies long sequences. With the right combination of reverse transcriptase and thermostable DNA polymerase, two-step RT-PCR can amplify RNA sequences up to 14 kb long.

2. One tube, one-step procedure (coupled RT-PCR)

Both cDNA synthesis and PCR amplification are performed with the same buffer and site-specific primers, eliminating the need to open the reaction tube between the RT and PCR steps. In addition to the higher sensitivity of this approach (as in the one tube, two-step reaction above), the one-step approach minimizes the chance of contamination, since the entire reaction is performed with minimal pipetting steps and without opening the tube. In addition, this approach permits direct analysis of a specific transcript, since the primers used in both steps are sequence-specific. Finally, the thermoactive reverse transcriptase used in this procedure allow a high RT reaction temperature (+50 to +72°C), which reduces false priming and increases the specificity of the reaction by eliminating secondary mRNA structure.

A one-step procedure has the following advantages:

  • Minimizes time required. The one-step reaction has fewer pipetting steps than the two-step reaction, significantly reducing the time needed to perform RT-PCR and eliminating pipetting errors.
  • Reduces the risk of contamination. The entire one-step reaction takes place in a single tube, with no transfers required and no need to open the reaction tube (steps where contamination of the PCR sample can take place).
  • Improves the sensitivity and specificity of cDNA synthesis. Two characteristics of the one-step reaction provide increased yield and efficiency: (1) the cDNA reaction is performed at a high temperature (to eliminate problems with RNA secondary structure), and (2) the entire cDNA sample is used as template for PCR.

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キャリーオーバー コンタミネーション

ウラシルDNAグリコシラーゼによるキャリーオーバーコンタミネーションの防止

PCR反応は1個の分子を10億倍にも増幅できます。このため、ごく微量の夾雑物でも増幅され、偽陽性の結果となるおそれがあります。そのような夾雑物はしばしば、それ以前にPCR増幅した産物に由来します(キャリーオーバーコンタミネーション)。したがって、研究者は、そうしたコンタミネーションを回避するための手法を開発してきました。

一般的な手法としては、PCR増幅時にdTTPをdUTPに置き換え、ウラシル含有DNA(U-DNA)を作成することです。 その後のPCR反応液を増幅する前に、ウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)で処理しておきます。 初期変性ステップ中に、アルカリ条件かつ高温(95°C)でピリミジン塩基のないポリヌクレオチドを切断することによって、汚染したU-DNAをサンプルから除去できます(Figure 3)。 この手法を行う場合、実験室におけるすべてのPCR反応を、dTTPではなくdUTPで実施する必要があります。

Figure 3: Removal of contaminating U-DNA with uracil-DNA glycosylase.

ダウンストリーム アプリケーションにおいてdU含有PCR産物を用いる場合、以下の点に留意してください。

  • ハイブリダイゼーションターゲットまたはジデオキシ シークエンシングのテンプレートとして用いる場合、dU含有PCR産物はdT含有PCR産物と同様に機能します。
  • dU含有PCR産物は、UNG-細菌宿主に形質転換される場合、直接クローニングできます。
  • dU含有基質は一部の一般的な制限酵素(例: Eco RIおよびBam HI)により容易に消化されます。 これに対し、別の酵素(例: Hpa I、Hind II、Hind III)は同基質に対する活性が低下します。
  • dU含有DNAは、タンパク質結合研究またはDNA-タンパク質相互作用研究用途には、適していません。

ロシュのPCRコンタミネーション予防のための製品群を含む試薬については、ウラシル-DNA グリコシラーゼおよびExpand High Fidelity PLUSを参照ください。

RT-PCRにおけるキャリーオーバーコンタミネーションの防止

RNAの増幅時にキャリーオーバー コンタミネーションを防止する方法は2つあります。

  • RT-PCRの手順によって、ピペット操作ステップの数およびマイクロチューブの開閉回数を最小限に抑えること。 物理的にRT-PCRにおけるキャリーオーバー コンタミネーションの危険性を最小にします。
  • dUTPの存在下で1ステップRT-PCRを実施し、すべての産物にdUが含まれ、その後のUNGを用いたPCRにより除去できるように処置すること(ウラシルDNAグリコシラーゼによるキャリーオーバーコンタミネーションの防止を参照)。 その後のPCRにおけるキャリーオーバーコンタミネーションが防止されます。

ロシュのPCRコンタミネーション予防のための製品群を含む試薬については、ウラシル-DNA グリコシラーゼおよびExpand High Fidelity PLUSを参照ください。

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トラブルシューティング

PCRで一般的に起こりやすいトラブルとその対策のヒントを紹介します。

(1) PCR産物が生じない場合

考えられる原因 その1

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度が適切でなかった。

推奨される対策

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度を検討する。

考えられる原因 その2

テンプレートDNAの量が適切でなかった。

推奨される対策

ヒトDNAをテンプレートにする場合の一般的な使用量は、100 µL反応液に対して100-750 ng (105 - 106 コピー) が用いられます。また、PCR酵素によっても変化します。
テンプレートの量を検討する。
PCR酵素の量を検討する。PCR酵素の量としては0.5から5.0 unitsの範囲で、0.5 units刻みで条件検討をします。

考えられる原因 その3

反応液中に酵素の阻害物質が含まれていた。
PCR酵素の阻害物質として下記の物質が知られています。

 50 mM 塩化アンモニウム
 EDTA (金属キレーター)
 >0.8 µM ヘパリン
 PBS (リン酸がフリーのマグネシウムに結合するため)
 >0.02 %サルコシル
 0.5 M 尿素
 >5% DMF
 >10% ホルムアミド
 ヘパリン
 >20% PEG deoxycholate
 >0.01% SDS
 >10% DMSO
 >20% グリセロール
 >0.4% N-octylglucoside
 フェノール
 >0.06%デオキシコール酸

推奨される対策

テンプレートDNAを精製してこれらの阻害物質を除去する。

考えられる原因 その4

プライマーのアニーリング温度が高すぎた、または低すぎた。

推奨される対策

用いるプライマーに適したアニーリング温度に設定する。
一般的にプライマーのTm値から5℃前後がアニーリングに適し、Tmは下記の計算式などが用いて算出されます。
プライマーが20-35塩基の場合:
Tm = 22 + 1.46 (2(# G or C) + (# A or T))

プライマーが14-70塩基の場合:
Tm = 81.5 + 16.6 (log10 [J+]) + 0.41 (% G + C) - (600/l) - 0.063 F + 3 to 12
[J+] = 1価陽イオンの濃度 (この場合は一般的に Na+濃度)
F = ホルムアミドの濃度%
l = オリゴヌクレオチドの長さ

考えられる原因 その5

プライマーのデザインが適していなかった。
A+Tの数に対しG+Cの数が同等、14塩基以上のプライマーが適しています。

推奨される対策

プライマーが短い、またはA-Tが多い場合、0.9-2.0%のDMSOを添加する。
G-Cが多い場合、1-10%のホルムアミドを添加する。
プライマーの配列を再確認する。
PCRが分解している場合は再度作り直す。

考えられる原因 その6

変性温度が適していなかった。
PCR反応は一般的に94℃、2分間の変性が行われます。変性後、すぐにアニーリング温度まで下げることが重要です。
また、反応液中のマグネシウム濃度が高い場合 (4-5 mM)、高い変性温度が必要になります。

推奨される対策

PCRの最初の変性温度を95-97℃にする。
変性の時間を15-30秒長くする。
ホットスタート法を試してみる。

考えられる原因 その7

PCR装置のエラー。

推奨される対策

PCR装置のメンテナンスを行う。

考えられる原因 その8

テンプレートDNAが二次構造を形成していた、またはプライマーの3’末端で過剰な相同性があった。

推奨される対策

PCRの最初の変性温度を95-97℃に設定する。
変性の時間を15-30秒長くする。
ホットスタート法を試してみる。
T4 Gene 32 proteinを3-5 µl/mL添加する。
プライマーの3’末端で相同性が2塩基を越えないように設計する。
反応液に下記の試薬を添加する。
・3-15% DMSO
・1-10% ホルムアミド
・5-15% ポリエチレングリコール
・10-15% グリセロール

考えられる原因 その9

NaClの濃度が50 mM以上だった。

推奨される対策

NaClの濃度を下げる。

考えられる原因 その10

KClの濃度が50 mM以上だった。

推奨される対策

KClの濃度を下げる。

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(2) 増幅後のエラーが多い場合

考えられる原因 その1

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度が適切でなかった。

推奨される対策

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度を検討する。

考えられる原因 その2

ヌクレオチドの濃度が適切でなかった。

推奨される対策

各ヌクレオチドの濃度を20-200 µMにする。

考えられる原因 その3

バッファーのpHが適切でなかった。

推奨される対策

バッファーを一般的に最適なpH 8.3にする。

考えられる原因 その4

テンプレートDNAが二次構造を形成していた、またはプライマーの3’末端で過剰な相同性があった。

推奨される対策

PCRの最初の変性温度を95-97℃に設定する。
変性の時間を15-30秒長くする。
ホットスタート法を試してみる。
T4 Gene 32 proteinを3-5 µl/mL添加する。
プライマーの3’末端で相同性が2塩基を越えないように設計する。
反応液に下記の試薬を添加する。
・3-15% DMSO
・1-10% ホルムアミド
・5-15% ポリエチレングリコール
・10-15% グリセロール

考えられる原因 その5

テンプレートDNAが損傷していた。

推奨される対策

PCRのサイクル数を最小にする。
PCRの変性時間を15-30秒少なくする。
テンプレートDNAの損傷を確認する。

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(3) 非特異的なバンドが多い場合

考えられる原因 その1

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度が適切でなかった。

推奨される対策

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度を検討する。

考えられる原因 その2

ヌクレオチドの濃度が適切でなかった。

推奨される対策

各ヌクレオチドの濃度を20-200 µMにする。

考えられる原因 その3

DNAのコンタミネーション、キャリーオーバー。

推奨される対策

すべての試薬、特に水を新しいものに換える。
フィルター付きピペットチップを使用する。
DNA抽出、PCRのセットアップ、PCR産物の解析など、それぞれの実験区域を分ける。
各実験区域間でピペット、ラック、遠心機などの設備を移動させない。
UVランプを使用して実験室のコンタミネーション除去を行なう。
dTTP(200μM)の代わりにdUTP(600μM)を使用し、dUTPを含んだPCR産物を熱感受性UNG(50μl反応当たり1U)を用いて前処理する。

考えられる原因 その4

プライマーのアニーリング温度が高すぎた、または低すぎた。

推奨される対策

用いるプライマーに適したアニーリング温度に設定する。
一般的にプライマーのTm値から5℃前後がアニーリングに適し、Tmは下記の計算式などが用いて算出されます。
プライマーが20-35塩基の場合:
Tm = 22 + 1.46 (2(# G or C) + (# A or T))

プライマーが14-70塩基の場合:
Tm = 81.5 + 16.6 (log10 [J+]) + 0.41 (% G + C) - (600/l) - 0.063 F + 3 to 12
[J+] = 1価陽イオンの濃度 (この場合は一般的に Na+濃度)
F = ホルムアミドの濃度%
l = オリゴヌクレオチドの長さ

考えられる原因 その5

テンプレートDNAが二次構造を形成していた、またはプライマーの3’末端で過剰な相同性があった。

推奨される対策

PCRの最初の変性温度を95-97℃に設定する。
変性の時間を15-30秒長くする。
ホットスタート法を試してみる。
T4 Gene 32 proteinを3-5 µl/mL添加する。
プライマーの3’末端で相同性が2塩基を越えないように設計する。
反応液に下記の試薬を添加する。
・3-15% DMSO
・1-10% ホルムアミド
・5-15% ポリエチレングリコール
・10-15% グリセロール

考えられる原因 その6

プライマーのデザインが適していなかった。
A+Tの数に対しG+Cの数が同等、14塩基以上のプライマーが適しています。

推奨される対策

プライマーが短い、またはA-Tが多い場合、0.9-2.0%のDMSOを添加する。
G-Cが多い場合、1-10%のホルムアミドを添加する。
プライマーの配列を再確認する。
PCRが分解している場合は再度作り直す。

考えられる原因 その7

プライマーの濃度が適していなかった。

推奨される対策

プライマーの濃度を見なおす (各プライマーの最終濃度を0.1-1.0 µMで試す)。

考えられる原因 その8

PCRのサイクル数が長かった。

推奨される対策

一般的なサイクル数25-30にする。
テンプレートDNAの濃度に応じてサイクル数を長くする。
・3 x 105 コピーの場合、25-30サイクル
・1.5 x 104 コピーの場合、30-35サイクル
・1 x 104 コピーの場合、35-40サイクル

考えられる原因 その9

テンプレートと酵素のバランスが適切でなかった。

推奨される対策

PCR酵素を0.5 units刻みで0.5-5.0 unitsの範囲で試し、最適な条件を決める。

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(4) バンドがスメアーになる場合

考えられる原因 その1

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度が適切でなかった。

推奨される対策

塩化マグネシウム (MgCl2) の濃度を検討する。

考えられる原因 その2

ヌクレオチドの濃度が適切でなかった。

推奨される対策

各ヌクレオチドの濃度を20-200 µMにする。

考えられる原因 その3

DNAのコンタミネーション、キャリーオーバー。

推奨される対策

すべての試薬、特に水を新しいものに換える。
フィルター付きピペットチップを使用する。
DNA抽出、PCRのセットアップ、PCR産物の解析など、それぞれの実験区域を分ける。
各実験区域間でピペット、ラック、遠心機などの設備を移動させない。
UVランプを使用して実験室のコンタミネーション除去を行なう。
dTTP(200μM)の代わりにdUTP(600μM)を使用し、dUTPを含んだPCR産物を熱感受性UNG(50μl反応当たり1U)を用いて前処理する。

考えられる原因 その4

プライマーのアニーリング温度が高すぎた、または低すぎた。

推奨される対策

用いるプライマーに適したアニーリング温度に設定する。
一般的にプライマーのTm値から5℃前後がアニーリングに適し、Tmは下記の計算式などが用いて算出されます。
プライマーが20-35塩基の場合:
Tm = 22 + 1.46 (2(# G or C) + (# A or T))

プライマーが14-70塩基の場合:
Tm = 81.5 + 16.6 (log10 [J+]) + 0.41 (% G + C) - (600/l) - 0.063 F + 3 to 12
[J+] = 1価陽イオンの濃度 (この場合は一般的に Na+濃度)
F = ホルムアミドの濃度%
l = オリゴヌクレオチドの長さ

考えられる原因 その5

テンプレートDNAが二次構造を形成していた、またはプライマーの3’末端で過剰な相同性があった。

推奨される対策

PCRの最初の変性温度を95-97℃に設定する。
変性の時間を15-30秒長くする。
ホットスタート法を試してみる。
T4 Gene 32 proteinを3-5 µl/mL添加する。
プライマーの3’末端で相同性が2塩基を越えないように設計する。
反応液に下記の試薬を添加する。
・3-15% DMSO
・1-10% ホルムアミド
・5-15% ポリエチレングリコール
・10-15% グリセロール

考えられる原因 その6

DNase活性が混入していた。

推奨される対策

試薬を新しく調製し直す。
DNAテンプレートに損傷がないか確認する。

考えられる原因 その7

テンプレートと酵素のバランスが適切でなかった。

推奨される対策

PCR酵素を0.5 units刻みで0.5-5.0 unitsの範囲で試し、最適な条件を決める。

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(5) 収量が少ない場合

考えられる原因 その1

プライマーのアニーリング温度が高すぎた、または低すぎた。

推奨される対策

用いるプライマーに適したアニーリング温度に設定する。
一般的にプライマーのTm値から5℃前後がアニーリングに適し、Tmは下記の計算式などが用いて算出されます。
プライマーが20-35塩基の場合:
Tm = 22 + 1.46 (2(# G or C) + (# A or T))

プライマーが14-70塩基の場合:
Tm = 81.5 + 16.6 (log10 [J+]) + 0.41 (% G + C) - (600/l) - 0.063 F + 3 to 12
[J+] = 1価陽イオンの濃度 (この場合は一般的に Na+濃度)
F = ホルムアミドの濃度%
l = オリゴヌクレオチドの長さ

考えられる原因 その2

テンプレートDNAがきれいではなかった、または損傷していた。

推奨される対策

ホットスタート法を試してみる。
テンプレートDNAを精製する。

考えられる原因 その3

反応液中に酵素の阻害物質が含まれていた。
PCR酵素の阻害物質として下記の物質が知られています。

 50 mM 塩化アンモニウム
 EDTA (金属キレーター)
 >0.8 µM ヘパリン
 PBS (リン酸がフリーのマグネシウムに結合するため)
 >0.02 %サルコシル
 0.5 M 尿素
 >5% DMF
 >10% ホルムアミド
 ヘパリン
 >20% PEG deoxycholate
 >0.01% SDS
 >10% DMSO
 >20% グリセロール
 >0.4% N-octylglucoside
 フェノール
 >0.06%デオキシコール酸

推奨される対策

テンプレートDNAを精製してこれらの阻害物質を除去する。

考えられる原因 その4

テンプレートDNAが足りなかった。

推奨される対策

さまざまな量のテンプレートDNAを試す。

考えられる原因 その5

伸長温度が高すぎた。

推奨される対策

長い領域を伸長する場合、伸長温度は変えず、時間を延ばす。
・<500 bpの場合: 72℃ 20秒間
・1.2 bpの場合: 72℃ 40秒間

考えられる原因 その6

PCR酵素の活性が低かった。

推奨される対策

新しい酵素に変える。
ホットスタート法を試してみる。

考えられる原因 その7

PCRのサイクル数が少なかった。

推奨される対策

一般的なサイクル数25-30にする。
テンプレートDNAの濃度に応じてサイクル数を長くする。
・3 x 105 コピーの場合、25-30サイクル
・1.5 x 104 コピーの場合、30-35サイクル
・1 x 104 コピーの場合、35-40サイクル

考えられる原因 その8

ヌクレオチドが分解していた。

推奨される対策

新しいdNTPに変える。
dNTPのストック溶液を10 mMまたは100 mMで作成し、2か月以内に使い切る。

考えられる原因 その9

ヌクレオチドの濃度が適切でなかった。

推奨される対策

各ヌクレオチドの濃度を20-200 µMにする。

考えられる原因 その10

プライマーの濃度が適していなかった。

推奨される対策

プライマーの濃度を見なおす (各プライマーの最終濃度を0.1-1.0 µMで試す)。

考えられる原因 その11

PCR装置のエラー。

推奨される対策

PCR装置のメンテナンスを行う。

考えられる原因 その12

プラトー効果。

推奨される対策

各dNTPの濃度を20-200 µMにする。
サイクル数を20-35にし、リン酸化形成による阻害を抑える。
後半のサイクルで段階的に変性時間を延ばす。
後半のサイクルで段階的に伸長時間を延ばす、または酵素濃度を増やす。

考えられる原因 その13

蒸発。

推奨される対策

PCRチューブの蓋をしっかりと閉める。
ミネラルオイルを重層する (100 µl)。

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