代替エネルギー材料

イオン液体を用いた電解液の二次電池への応用

Meng-Chang Lin,1,2 Hui Chen,2 and Hongjie Dai3

1AB Systems Inc., 2458 Embarcadero Way, Palo Alto, California 94303, USA
2College of Electronic Engineering and Automation, Shandong University of Science and Technology, 266590, Qingdao, China
3Department of Chemistry, Stanford University, Stanford, California 94305, USA

Material Matters 2018, 13(1), 31 → PDF版

はじめに

常温イオン液体(RTIL:room temperature ionic liquid)は、100℃よりも十分に低い融点をもつ溶融塩です。ほとんどの常温イオン液体は、分子設計により制御できる多様性をもつ有機塩です。イオン液体(IL:ionic liquid)は、低い蒸気圧、液体となる広い温度範囲、高い化学的・熱的安定性、広い電気化学的電位窓、不燃性、高イオン導電率、そして様々な有機・無機材料との良好な溶解性といった利用しやすい物性をもちます1。イオン液体は、(1)化学合成、触媒、分離および抽出のための有機溶媒の、環境にやさしいグリーン代替材料、(2)電気化学や光電変換で用いられる用途の広い電解質、そして(3)潤滑、マイクロ流体技術、推進剤(propellant)およびセンサーのための新機能材料の有力候補としてふさわしいものです1

近年、イオン液体を様々な二次電池、いわゆる蓄電池用の新しい電解質として使用する可能性に、大きな注目が集まっています。アルミニウムベースの電池の開発2-9、リチウムベースの電池の難燃化10-13、デュアルグラファイト電池のサイクル安定性とクーロン効率の向上の加速14-16に使用されてきました。アルミニウム負極は、低コスト、難燃性かつ3電子酸化還元性という特徴を示します。このため、アルミニウム蓄電池は、コスト削減と高い安全性が保証されており、蓄エネルギー技術が新しい方向に進む可能性もあります2。イオン液体は、水性電解液中でアルミニウム表面の水酸化アルミニウムが不動態化する問題のないアルミニウム電池を開発する上で、理想的な電解質です。イオン液体を用いたアルミニウム電池では、黒鉛2-6や遷移金属酸化物7-9を含む正極が、研究されてきました。一方、黒鉛またはリチウム金属負極と有機溶媒中電解質からなるリチウムベースの二次電池は、高い駆動電圧、高いエネルギー密度や良好なサイクル安定性といった可能性をもちますが、安全性の問題となりかねない可燃性電解液の不利な特性も持ち合わせています10-13。イオン液体は、長年にわたり、このリチウムイオン電池の安全性を向上させるためにも研究されてきました。低コストの黒鉛を負極と正極に採用し、不燃性のイオン液体電解質を用いたデュアルグラファイト電池では、環境対策、安全性向上とコスト削減が可能になります14-16

本稿では、高性能で安価なアルミニウム電池、不燃性のリチウムベースの電池および高いサイクル寿命と安定性をもつデュアルグラファイト電池を含む、最先端の蓄電池に使われているイオン液体電解質の研究動向について論じます。イオン液体開発の将来的な方向性を見極めるための重要検討事項についても概説します。さらに、蓄エネルギーのための蓄電池開発を促進しうるイオン液体の多様性についても議論します。

イオン液体の合成

イオン液体は、イミダゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウムなどのかさ高い非対称性カチオンと、ハロゲン化物イオン(塩化物イオン [Cl-]、臭化物イオン [Br-]、ヨウ化物イオン[I-])、酢酸イオン [AcO-]、テトラフルオロホウ酸イオン [BF4-]、ヘキサフルオロリン酸イオン [PF6-]、テトラクロロアルミン酸イオン [AlCl4-]、bis(trifluoromethanesulfonyl)imide [TFSI-]、エチル硫酸イオン [EtSO4-]、ジシアンアミドイオン [N(CN)2-] およびチオシアン酸イオン [SCN-]を含む種々の無機・有機アニオンの組み合わせからなります1図1に蓄電池によく使用される常温イオン液体のカチオンとアニオンの分子構造を示します。

常温イオン液体の分子構造

図1 蓄電池で一般的に利用される常温イオン液体のカチオンとアニオンの分子構造のモデル図。A) イミダゾリウムカチオン、B) ピロリジニウムカチオン、C) ピペリジニウムカチオン、D) アンモニウムカチオン、E) ヘキサフルオロリン酸アニオン、F) ジシアンアミドアニオン、G) テトラクロロアルミン酸アニオン、H) Bis(trifluoromethane)sulfonamideアニオン。

多くの場合、イオン液体は、一段か二段の合成法で調製できます。例えば、ハロゲン化イミダゾリウム塩は、単純な1-メチルイミダゾールをハロゲン化アルキル(ハロゲン化物イオン(X-): Cl-、Br-またはI-など)とアルキル化することにより得られます(図2参照)。この結果得られるハロゲン化イミダゾリウム塩は、そのままイオン液体として、または次のメタセシス反応で目的のアニオンとのイミダゾリウム塩を合成するために使用されます。まず、ハロゲン化イミダゾリウム塩は、M+A-金属塩(M+: Ag+、Na+ または K+など。A-: BF4-、PF6-、TFSI-など)と混合されます。次に、ハロゲン化物イオンを目的のA-アニオンと置換し、A-イミダゾリウム塩を得ます。しかし、高純度イオン液体は、金属塩メタセシス反応では得ることが難しい場合もあり、これはM+A-(不純物として)がイオン液体中に溶解するためです。イオン液体の物性は、このイオン液体中に残留しているハロゲン化不純物により、影響を受ける可能性があります17。高純度イオン液体は、これに代わる方法として、金属塩フリー合成法により得ることができます18。例えば、1-alkane-3-methylimidazolium methyl carbonate塩は、1-アルカンイミダゾールを、210℃でPTFEコートされたオートクレーブ中で2時間、アルキル化して合成できます。イオン液体は、さらに溶液を酸で中和することにより得られ、不溶のメタノールと二酸化炭素ガスの副生成物も生成します。この不溶の副生成物は、真空加熱プロセスにより容易に除去されます。

アニオンとのイミダゾリウム塩の合成法

図2 A) 目的のアニオンとのイミダゾリウム塩の合成法。1-メチルイミダゾールをハロゲン化アルキルによりアルキル化し、生成したハロゲン化物塩を金属塩とメタセシス反応させます。B) アルキル化試薬としてジメチルカーボネートを用いた後、酸で溶液を中和する、1-Ethyl-3-methylimidazolium acetateの合成法。不溶な副生成物は、真空加熱工程で容易に除去できます。

イオン液体を用いたアルミニウムベースの電池

これまでの研究でイミダゾリウム塩([EMIm]Cl-など)またはアミド配位子(尿素:ureaなど)は、アルミニウム蓄電池用のイオン液体電解質または十分に共融した溶媒(擬似イオン液体)電解質を形成するのに使用できることが示されてきました2-9。これらの電解質は、塩化アルミニウムとの混合により、酸化還元活性なクロロアルミン酸イオン(AlCl4-やAl2Cl7-など)と[AlCl2・(ligand:配位子)n]+イオンを含んでいます。

1980年代後半、Giffordらは2、アルミニウム負極、黒鉛正極とAlCl3/1,2-dimethyl-3-propylimidazolium chloride電解質を採用したアルミニウム/塩素蓄電池を発表しました。黒鉛正極では、可逆的に塩素がインターカレーション(層間に挿入)します。この電池は、1.7 Vの平均放電電圧と黒鉛重量基準で35 mAh g-1の最大充電容量をもちました。しかし、100サイクル以降では、黒鉛の剥離によりおおよそ85%も充電容量が減少しました。2015年には、我々は、塩化アルミニウム/塩化1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(AlCl3/[EMIm]Cl)電解質を用いた超高速アルミニウムイオン蓄電池を発表しました3。この電池は、2 V付近に明瞭な放電電圧プラトー(放電曲線で、放電中に電圧がほとんど変化しない領域)、約70 mAh g-1の比容量、そして約98%のクーロン効率を示しました。高速アニオン拡散とインターカレーションを可能にする新規三次元黒鉛状炭素発泡体が発見され、4,000 mA g-1(3,000 W kg-1)の高電流密度で1分での充電が可能です(図3)。その後、天然黒鉛フレークを正極材料として用いた研究についても発表しました5,6。天然黒鉛フレーク5を用いた正極材料は、AlCl3/[EMIm]Cl電解質を用いて、優れた電気化学特性を示しました。この電池は、約99 mA g-1の電流密度(0.9 C)および98%のクーロン効率で110 mAh g-1の比容量と明瞭な放電電圧プラトー(2.25~2.0 Vと1.9~1.5 V)の出現を達成しました。

Al/黒鉛セルのモデル図およびその特性

図3 A) AlCl3/[EMIm]Clイオン液体電解質の最適組成での放電中のAl/黒鉛セルのモデル図。負極側では、放電過程で金属AlとAlCl4-はAl2Cl7-に変わり、充電過程でこの逆反応が起こります。正極側では、充電過程でAlCl4-が黒鉛の層間にインターカレートし、放電過程でデインターカレートする反応が支配的になります。B) 4000 mA g-1の電流密度でのAl/黒鉛状炭素発泡体のパウチセルの定電流充放電曲線。C) 4000 mA g-1の電流密度での7500充放電サイクルにわたるAl/黒鉛状炭素発泡体のパウチセルの長期安定性試験。文献3より許可を得て転載(copyright 2015 Nature Publishing Group)。

我々は、アルミニウム負極、黒鉛正極および塩化アルミニウムと尿素を1.3:1で混合した低コストの擬似イオン液体電解質を用い、高いクーロン効率(約99.7%)をもつアルミニウムイオン電池を開発しました6。1.9 Vと1.5 V(平均放電電圧:1.73 V)付近に放電電圧プラトーを示し、100 mA g-1の電流密度(約1.4 C)で約73 mAh g-1の比正極容量でした。適当な充放電速度の範囲であれば、150~200サイクルまで安定して、このような高いクーロン効率を達成することも難しくはありません。しかし、AlCl3/[EMIm]Cl電解質に比べて約10倍も高い粘性と低いイオン導電率をもつ尿素ベースの電解質(例えば、25℃で、約1.23 mS cm-1であるAlCl3/尿素比が1.3(モル比)の電解質)では、尿素ベースのアルミニウム電池の可能なCレートの範囲が小さくなることが難題です。

アルミニウム負極/黒鉛正極電池では、充放電過程での酸化還元反応を分かりやすく説明すると、次のようになります3

Cn + AlCl4- ⇄ Cn[AlCl4] + e- (1)

4Al2Cl7- + 3e- ⇄ Al + 7AlCl4- (2)

ここで、nは黒鉛中にインターカレートされたアニオンに対する炭素原子のモル比です。黒鉛の充電つまり黒鉛内部へのインターカレーションに使われるのに余りある量のAlCl4-式1参照)と負極にアルミニウムを電着させるのに十分な量のAl2Cl7-を用い(式2参照)、電解質中のAlCl4-とAl2Cl7-の濃度が平衡状態にあることで、正極での電荷容量が最適化されます。尿素ベースの電解質の場合、AlCl4-とAl2Cl7-アニオンおよび[AlCl2・(urea)n]+カチオンが塩化アルミニウム/尿素電解質中に共存します。アルミニウムの電着は、アニオン(式2)とカチオン(式3)が関わる2つの経路で進んでいると予想されます6

2[AlCl2・(urea)n]+ + 3e- ⇄ Al + AlCl4- + 4(urea) (3)

黒鉛の他にも遷移金属酸化物7-9が、アルミニウムイオン電池の正極材料の候補として提案されてきました。Cornell大学のArcherグループは7、五酸化バナジウム(V2O5)ナノワイヤ正極、アルミニウム負極およびAlCl3/[EMIm]Cl 電解質を採用しました。しかし、後続の研究では、V2O5はAlCl3/[EMIm]Cl 電解質中では電気化学的に不活性で、集電体のステンレスが活物質として働いていることが明らかになりました。このように、主たる活物質は知られていなかったのです19。こうした議論があったにもかかわらず、VO2正極内(AlCl3/1-butyl-3-methylimidazolium chloride電解質)やアモルファスV2O5正極内(AlCl3/dipropylsulfone/toluene電解質)でのAl3+のインターカレーションとデインターカレーションが数グループにより報告されています9。Brownらによると8、実験の詳細についての説明はありませんが、スピネル型のMn2O4も、AlCl3/[EMIm]Cl 電解質を用いたアルミニウムイオン電池に適した正極であることが確かめられています。遷移金属酸化物の正極については、Al3+が放電中に正極表面に蓄積されることが提案されており7,9、束縛されていないAl3+が正極内部に拡散し、アルミニウムがインターカレートした化合物の形成が示唆されています(式4参照。V2O5正極を例として9(b))。

Al3+ + 3e- + V(V)2O5 ⇄ AlV(IV)V(III)O5 (4)

イオン液体電解質を用いたリチウムベースの電池

高い耐熱性が、常温イオン液体を用いたリチウムベースの電池では期待されています。ローマ大学のLombardoグループは10N-butyl-N-methylpyrrolidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(Pyr14TFSI)を市販のカーボネートベースの電解液(1M LiPF6のEC:DMC(LP30)溶液)に添加すると、Li4Ti5O12負極とLiFePO4正極から成るフルセルのリチウムイオン電池内部に直接炎を当てた時に、混合電解液の自己鎮火までの時間が大幅に減少したと報告しました(図4)。栄部らは11N-methyl-N-propylpiperidinium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide(PP13TFSI)にLi-TFSIを添加した電解質が、最も有望なリチウム電池用電解質の候補であると指摘しました。この電解質、LiCoO2電極とLi箔電極を用いた電池では、充放電サイクルの間は安定したLiCoO2の容量と良好なクーロン効率(>97%、充放電速度:C/10)を達成しました。Li/LiCoO2電池は、充電直後に大気中で分解しても、電池内部の電解液に直接炎を当てても発火しませんでした11

イオン液体の可燃性試験

図4 イオン液体の可燃性試験の写真。LP30のA) 試験開始直後、B) 10秒後、C) 15秒後、D) 20秒後。LP30/Py14TFSI(重量比70/30)のE) 試験開始直後、F) 10秒後、G) 15秒後、H) 20秒後。LP30/Py14TFSI(重量比50/50)のI) 試験開始直後、J) 10秒後、K) 15秒後、L) 20秒後。文献10より許可を得て転載(copyright 2012 Elsevier B.V.)。

様々なイオン液体を用いたリチウムベースの電池のサイクル安定性についても調べられました。Holzapfelらによると12、LiCoO2正極とLi4Ti5O12負極を用い、5%のビニレンカーボネートを添加した1M LiPF6の1-Ethyl-3methylimidazolium-bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(EMI-TFSI)電解液で充放電サイクルを行うと、300サイクル以上でも良好な容量保持率を示しました。しかし、EMIのみを電解質に用いた場合は、リチウム負極で還元され、安定性が不十分と考えられます。Ellaらは13、Pyr14TFSI-LiTFSIの不燃性イオン液体電解質、スズー黒鉛のナノ複合材料負極と層状のLiNi1/3Co1/3Mn1/3O2正極を採用し、より長寿命のリチウムイオン電池を作製しました。この電池は、40℃でのサイクル試験で、約140 mAh g-1の安定した容量と99%の容量保持率を400サイクル以降でも維持しました。

イオン液体を用いたデュアルグラファイト電池

最初のデュアルグラファイト電池は、1-ethyl-3-methylimidazolium tetrachloroaluminate (EMI+AlCl4)のような常温イオン液体を用いて、Carlinらにより提案されました14。充電過程で、EMI+は黒鉛負極中に、AlCl4は黒鉛正極中にインターカレートします。この電池の放電電圧は、3.15 Vでした。しかし、EMI+は黒鉛にインターカレートされると不安定なために、インターカレーションとデインターカレーションの可逆性は比較的乏しいものでした14。特に、デュアルグラファイト電池では、正極の駆動電位が非常に高いため(対Li/Li+で5 V以上)、電解液については特に高い酸化耐性が要求されます15。Münster 大学のWinterグループは15、Py14TFSI/LiTFSIと固体電解質界面(SEI: solid electrolyte interface)を形成するための添加剤である亜硫酸エチレンを混合したイオン液体を用いたデュアルグラファイト電池が、高い電気化学的特性を示すことを実証しました。この電池は、対Li/Li+で5.14 Vの充電カットオフ電圧で約50 mAh g-1の放電容量で安定したサイクル特性を500サイクルまで示しました(図5)。さらに、平均クーロン効率は、99.8%でした。

デュアルグラファイトセルのモデル図およびその特性

図5 A) 充電過程で有効な黒鉛負極上のSEI層のあるデュアルグラファイトセルのモデル図。黒鉛負極はSEI層によりピロリジニウムカチオンの共挿入反応が起こらないよう保護されています。つまり、リチウムイオンがSEI層を通過して、黒鉛にインターカレートされます。B) 定電流充放電サイクル過程での典型的なサイクルにおけるCG/KS6Lデュアルグラファイトセルのセル電圧 vs. 時間のグラフ(黒点線)と負極と正極の電位(vs. Li/Li+)vs. 時間のグラフ(赤実線)。1~3サイクルの比電流は10 mA g-1、その後は50 mA g-1。セル電圧範囲:3.0~5.1 V。C) CG/KS6Lデュアルグラファイトセルの定電流充放電サイクル特性の放電容量曲線とクーロン効率曲線。セル電圧範囲:3.0~5.1 V。1~3サイクルの比電流は10 mA g-1、4~500サイクルでは500 mA g-1。文献15より許可を得て転載(copyright 2014 The Royal Society of Chemistry)。

Fanらは16、1-butyl-1-methylpiperidinium bis(trifluoromethylsulfonyl)imide(PP14TFSI)電解質を用いて、4.4 Vで始まる高い充電プラトー、常に82 mAh g-1の容量、1.0~5.0 Vの極めて広い充放電電位窓、600サイクル後でほぼ100%の容量保持率という非常に高い安定性を、イオン液体デュアルグラファイト電池で報告しました。

イオン液体電解質を用いたデュアルグラファイト電池は、不燃性で、3.0~5.0 Vという高い放電電圧も許容でき、研究者の注目を集めています。イオン液体電解質は、電荷キャリアとしてだけではなく、黒鉛負極・正極のインターカレーションのゲスト用材料としても機能します。提案されている電気化学的インターカレーションの反応過程は、次のように記述できます:

cation+ + xC + e- ⇄ cationCx (5)

anion- + yC ⇄ Cyanion + e- (6)

ここで、カチオンはEMI+、 Li+ または Na+、そして、アニオンはAlCl4、BF4、TFSI または PF6とすることが可能です14–16

おわりに

AlCl3/EMImClイオン液体を使用すると、黒鉛電極を用いたアルミニウム電池は、優れたサイクル安定性とC-レート特性を示します。AlCl3/EMImClに加え、高価でないAlCl3/ureaもアルミニウム電池用の電解質して使用可能であり、この場合、大きくコストを削減できます。しかし、尿素ベースの電解質は、高粘度であるため、アルミニウム電池では、C-レート特性と比容量が制限されてしまいます。

リチウム電池では、EMImClベースのイオン液体電解質は、イオン液体の中でも高導電率と低粘度を示しますが、不十分なサイクル安定性が原因で、負極にリチウム箔の利用を考えると、利便性が限定的になります。ピロリジニウム塩は、耐炎性を向上させるために従来のアルキルカーボネートベース電解質と混合して使用されてきました。一方、ピペリジニウムのみのイオン液体電解質を用いたリチウムベースの電池では、難燃性およびリチウム箔の負極でも良好なサイクル安定性を示します。市販のリチウムイオン電池と競合できるようになるためには、長期サイクル安定性(2000サイクルで80%の容量保持率など)の確立が、イオン液体を用いたリチウム電池の主要課題となるでしょう。

高導電率のEMImClベースのイオン液体を用いたデュアルグラファイト電池では、自然放電容量が高いためにクーロン効率が低下してしまう課題が注目されています。ピロリジニウムとTFSIの混合塩は、サイクル安定性とクーロン効率を増加させるために、デュアルグラファイト電池の電解質として使用されてきました。しかし、低いC-レート特性は、現在でも、イオン液体ベースの電解質を用いたデュアルグラファイト電池の最大の課題となっています。

イオン液体は、最高5 Vまでの電気化学的に安定な広い電位窓をもち、直火でも着火しない難燃性と比較的高い導電性をもちます。この特性ゆえに、イオン液体は、高性能かつ低コストのアルミニウム電池と不燃性のリチウムベースの電池のための、そして、デュアルグラファイト電池の高サイクル安定性を引き出すための有望な電解質とされています。これらの研究成果は、エネルギー貯蔵用の先進的な電池に使用されるイオン液体の市場の将来が明るいことも示すものです。

Acknowledgement

M.-C. L. acknowledges support from the Taishan Scholar Project of Shandong Province of China (No.tsqn20161025).

イオン液体、電池材料については右記のページもご参考ください。
     

References

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