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高純度無機化合物

圧電性結晶

Dr. Kevin T. Zawilski

BAE Systems, Advanced Systems and Technology Merrimack, NH
PMN-PT research performed at Stanford University, Laboratory for Advanced Materials, Stanford, CA

ChemFiles 2006, 5(13), 8.

ニオブ酸鉛マグネシウムとチタン酸鉛の単結晶成長

圧電材料は、機械的応力に応えて電圧を生み出す性質、あるいは逆に、電圧に応えて形状を変える性質を持っています。高性能な圧電性材料には、ソナーアレー、超音波映像装置、モーションコントローラなど、幅広い用途があります。高性能圧電材料が飛躍的に進歩したのは1997年で、リラクサー型強誘電体単結晶にて非常に優れた圧電特性がはじめて測定されました1,2。ニオブ酸鉛マグネシウム ‐ チタン酸鉛、(1-x)PbMg1/3Nb2/3O3-(x)PbTiO3PMN-PT)などの結晶を<001>方向で測定すると、電気機械結合係数(k33)は>90%、達成可能なひずみレベルは>1.5%でした。それ以前に最も優れた性能を誇っていた圧電性材料はPbZr(1-y)TiyO3PZT)セラミックで、k33は70%~75%、達成可能なひずみレベルは0.1%でした。PMN-PTは図1のようなペロブスカイト結晶構造を持ち、高温では立方晶、室温で低Ti濃度のときは疑似立方晶・三方晶系に、室温で高Ti濃度のときには正方晶系に変形します3。PMN-PTの圧電特性は、x が0.32 - 0.35の範囲の場合、固溶体構造が疑似立方晶・三方晶系から正方晶系に変わるモルフォトロピック相境界(MPB:Morphotropic phase boundary)付近で最高になります。

PMN-PTのペロブスカイト構造

図1 PMN-PTのペロブスカイト構造

Flux Growth(フラックス成長)

PMN-PT結晶は、フラックス技術を使ってParkとShrout1が初めて作製し、それ以来、他の研究者も彼らの後に続きました3-5。PMN-PT結晶のフラックス成長は通常、PbOまたはPbO/B2O3のフラックスの中で構成成分の酸化物(MgO、Nb2O5、TiO2)を溶かして行います。フラックスをゆっくり冷やすと、PMN-PT結晶が自然発生的に核となり、成長し始めます。こうした実験により、断面の大きさが1~数mmの結晶が得られます。

Bridgman Growth(ブリッジマン成長)

ブリッジマン法は、フラックス技術に比べて商業用デバイスで必要とされる大きくて配向された結晶の成長に非常に適しています。ブリッジマン法では、PMN-PT原料をルツボで融解し、炉内に温度勾配部を作ってルツボを通過させることで一方向凝固させます。最初に固化し、配向制御された単結晶は温度の低いルツボの先端に形成され、これを結晶成長の起点(種結晶)として順次結晶が成長します。PMN-PTの融点は1285℃~1320℃であるため、結晶の成長には高温炉と白金製ルツボが必要です6。複数の研究者がこの技術を利用し、大きくて配向性の良い良質のPMN-PT結晶を育成しました6-9図2は、典型的なブリッジマン法で育成した直径1.8cmの結晶です。この技術を利用して単結晶の育成が行われていますが、成長軸沿いの組成にばらつきが生じ、結果的に大部分の結晶が最適な圧電特性を持たないことになるため、大きな問題となっています6

PMN-PT結晶

図2 ブリッジマン法で育成した典型的なPMN-PT結晶(直径 = 1.8cm)

Zone Leveling(ゾーンレベリング)

PMN-PTのブリッジマン成長において偏析が見られることはよく知られていますが、これは固溶体系(この場合は、ニオブ酸鉛マグネシウム‐チタン酸鉛の疑似二元系)の熱力学的特性によるものです。ゾーンレベリング技術は、以前は偏析を起こした他の材料系の組成を均一にするために使われていたものですが、PMN-PTで見られる組成のばらつきをなくす魅力的な方法として提案されました。ブリッジマン成長のように材料全体を溶かすのではなく、ゾーンレベリング法では、狭い幅の「ゾーン(帯域)」だけを溶かします。最初の溶融帯域の一部を種結晶として単結晶の端から端まで溶融帯を順次動かしていきます。こうして、比較的組成が均一で、しかも大きくて方位制御された単結晶を成長させることができます10

PMN-PTを商業用デバイス向けに生産するためには、潜在的に難しい課題がいくつか残されています。実験室の工程を再生産可能な生産規模にスケールアップする方法や、生産コストを抑える方法などです(例えば、高価な白金製ルツボは、前述の成長工程では1度しか使用できません)。PMN-PTの物理的、化学的な性質についてはまだ研究途中ですが、この新素材は非常に興味深く、より多くの用途に利用できる可能性を秘めています。

高純度無機材料については左記のページもご参考ください。

References

  1. Park, S.-E.; Shrout, T. R. J. Appl. Phys. 1997, 82, 1804.
  2. Service, R. F. Science 1997, 275, 1878.
  3. Ye, Z.-G.; Dong, M. J. Appl. Phys. 2000, 87, 2312.
  4. Dong, M.; Ye, Z.-G. J. Cryst. Growth 2000, 209, 81.
  5. Jiang, X. et al. Physica C 2001, 364-365, 678.
  6. Zawilski, K. T. et al. J. Cryst. Growth 2003, 258, 353.
  7. Lee, S.-G. et al. Appl. Phys. Lett. 1999, 74, 1030.
  8. Zawilski, K. T. et al. J. Cryst. Growth 2005, 282, 236.
  9. X. Wan, X. et al. J. Cryst. Growth 2004, 263, 251.
  10. Zawilski, K. T. et al. J. Cryst. Growth 2005, 277, 393.
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