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材料科学におけるポリマー分析

NMRによるポリマー分析

ポリマー研究者が直面している課題の1つに、ポリマーの分子量(高分子鎖の平均長さ)の測定方法があります。膜浸透圧測定、ゲル浸透クロマトグラフィー、粘度分析、および質量分析が一般的に使用される分子量決定法ですが、これらの方法は時間がかかる上に、対象となる分子量の範囲もあいまいであり、また特別な機器が必要となります。NMRによる末端基の分析法は、多くの分析ラボでよく使われる機器を使用できる簡便な代替方法です。さらに、NMR分析によって、さまざまな共重合体に対するモノマー比も正確に決定できます。

Sigma-Aldrichでは、平均分子量(Mn)が3,000未満のポリマーの分子量を決定するために、通常1H NMRを用いて末端基の分析を行っています。末端基プロトンの検出感度によって測定できる上限が決定します。この方法を使うには次の条件が必要です。

  • NMRによって繰り返し部分のモノマーのプロトンと末端基プロトンが識別可能であること
  • 末端基とモノマー両方のプロトンの正確な積分値が得られること
  • モノマーの分子量が既知であること

NMRによってポリマー鎖上のプロトンに対する末端基プロトンの比がいったん決まれば、簡単な計算によってMn値が得られます。

以下に、この方法を用いた簡単な例(437441:Poly(ethylene glycol) diacrylate)をご紹介します:

ポリマーの構造
ポリマーの構造

1)プロトン1個あたりのピーク面積の計算:

末端基のプロトンシグナルの位置を確認(約5.8、6.2、6.4 ppm)

プロトン1個あたりのピーク面積 = ビニルプロトンのピーク面積総和

2つのビニル末端基に含まれるプロトンの数
= 10.00 + 9.66 + 10.17

6
= 4.97/プロトン

2)モノマーユニット数(n)の計算:

OCH2CH2プロトン信号の位置を確認(約3.6、3.7、4.3 ppm)

n = (メチレンプロトンのピーク面積の総和)/メチレンプロトンの数

{ 前のステップで計算した1プロトンあたりのピーク面積 }
= (20.79 + 151.87) / 4

4.97
= モノマーユニットの数:n = 8.69

3)Mnの計算:

Mn = (末端基FW) + (モノマーユニットFW)(n)
= (55.06 + 71.60) + (44.05)(8.69)
= 509


NMRによる共重合体分析

1H NMRは、共重合体のモノマー比の計算にも有用です。次の例が示すように、モノマーユニットのプロトンシグナルが重なっている場合でも、明瞭に他と区別できるシグナルが反復ユニットの1つから得られれば、この方法を使用することができます。以下にPEG-PPG-PEG(435465)の例を示します。

共重合体の構造
共重合体の構造

1)プロピレングリコール(PG)の相対モル数の計算:

メチル基(CH3)のプロトンを表すシグナルの確認(約1.0 ppm)

ポリプロピレンの相対モル数 = メチル基プロトンのピーク面積

メチル基プロトンの数
= 30.00

3
= 10.00(PGの相対モル数)

2)エチレングリコール(EG)の相対モル数の計算:

注記:3.0~4.0 ppmの範囲に3つのPGプロトンシグナル(プロピレングリコールのCH基とCH2基を表します)があり、同じ領域内に現れるエチレングリコールメチレン(CH2)基のプロトンと重なっています。この3つのPGプロトンのピーク面積積分値は、上の例で同定したプロピレングリコールメチル(CH3)プロトンのピーク面積に相当します。EGユニットのモル比を決定するためには、3.0~4.0 ppm領域の全ピーク面積からPGに起因するピーク面積を差し引く必要があります。

メチレンプロトンを表すシグナルの位置を確認(3.2~3.7 ppm)

EGの相対モル数 = CH2プロトンのピーク面積総和 – CH3プロトンのピーク面積

EGプロトンの数
= (31.50 + 18.76 + 13.10) – 30.00

4
= 8.34(EGの相対モル数)

3)エチレングリコールのモル%の計算:

EGのモル% = 相対モル数:EG × 100%

EGの相対モル数 + PGの相対モル数
= 8.34 × 100%

8.34 + 10.00
= 45.5(エチレングリコールのモル%)

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